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「だめっ……、いやぁっ……そんなまだっ……待って……!!」
「待たない。ああ、すげえ、中こんなになってる」
腰を打ちつける音と、ぴしゃという水の音がいやらしく、激しく響く。胸の先端は舌で弄ばれ、きゅうきゅう引っ張られる。すぐいっちゃいそう……。
「だって……いま、いったばっかりだからぁ……ああんっ……!!」
「もう俺のがないと、生きてけない体にしてやるからな……」
ちょっと……先生通り越してホスト? なに? 男の人って理解できない……。
その間もガンガン下から突かれた。
「また……いっく……せんせっ……!!いやぁぁぁっ!!」
私は狂ったように嬌声をあげ、何度も達して頭が真っ白になる。
果てしない興奮の海に溺れて、意識が遠のいた。気がつくとソファーに横になっていた。厳密にはソファーはベッドになっていて、タオルケットをかけられているが裸だ。いつの間に服を脱がされたんだ?
覚えている時までは中途半端に脱がされた状態だったと思うんだけど?
それに、何個使ったんだろうか。床にはいくつもそれが包まれたティッシュの残骸が転がっていた。
体のあちこちが痛い。覚えていない間にいったいどんなことが? 思い出せないのがくやしいっ。
亮介は……、同じく裸。隣で寝息を立てている。昨日はいったいなんだったんだろう。これに味をしめられたら大変だ。
背筋がゾクゾクっとした。
もちろん亮介は味をしめ、しばらくこの調子でお医者さんと患者や、女教師と生徒など、いろんなキャラですることになるとは、私はまだ知らなかった。
11元カノの襲来
「篠田先生、亮介と付き合ってるって聞いたんですけと、ほんとですか? 私、亮介の元カノです」
未央はどうも最近、鉾先を向けられることが増えた。元カノです、そう自己紹介されても困る。
クッキングスタジオに最近通い始めた坂畑知世《さかはたともよ》は、未央を見るなり走り寄ってきてそう告げた。
「この前、亮介と先生が駅で手を繋いでるの見ちゃってぇ。付き合ってるのかなと思ったんですけど……」
だからなに? と、奈緒にいうように言えたらいいが、さすがに生徒じゃ言いにくい。
「ええ、仲良くさせてもらってます」
わざと幸せオーラ全開のぶりぶり笑顔で対応した。これでどうだ!?
「私と付き合ってたのは大学のときでずいぶん前になるんですけど……、すごいですよねあのM.Cafeホールディングスの御曹司だったなんて。先生もそれ知ってて付き合ったんでしょ?」
あぁ、なるほど。亮介が大企業の息子だとは知らずに付き合っていて、別れた後にそれを知り、地団駄踏んで悔しがったパターンだと未央は思った。
「いいえ、付き合ってから知って驚きました。そんな素振りまったく見せてなかったので」そんな訳ないだろうと顔に書いたような表情で知世は、そうですかとつぶやいて去っていった。
知世の左手にはキラキラと結婚指輪が光っている。先日入籍をし、半年後に結婚式をするそうだ。料理に疎いので、ブライダルコースに入会したとのこと。
すらっとして、きれいなロングヘアを上品に巻いた、大人っぽくてきれいな人。ミスK大候補だったと噂で聞いた。うん、そんな感じする。
ブライダルコースは、全10回の短期集中コース。料理、パン、ケーキの基礎コースのいいところだけをピックアップしたお手軽コースだ。
結婚前はもちろん、結婚後でも通える。実際に結婚しているか、その予定があるかどうかまで調べることはしないので、彼氏いないけど短期集中がいいからとか、お嫁にきて30年だけどこのコースで。という人もいる。
知世は通っている生徒の紹介で入会したらしい。レッスンではネイルが取れるからとか、においがつくからとか、いろいろ理由をつけては作業を人に押しつけてやろうとしないと、講師の間で話題になっていた。
自分でやらなきゃ意味ないのに、何しに来たんだろう。その理由はどうやら旦那さんと、義母にあるらしかった。ときどき、旦那さんと思われる人が知世をスタジオまで迎えに来ていた。なぜだか義母らしいひともよく一緒に迎えにくる。
見ためはニコニコとしている知世だが、その目の奥に静かな悲しみが燃えている。そこしれぬ深い事情を感じざるを得なかった。
「未央、あの坂畑さんが未央と彼氏のことかぎまわってるらしいわよ。何か関係あるの?」
休憩室で玲奈に聞かれた。こういう情報はすぐみんなに伝わるらしい。
「元カノらしいよ。大学のときの」
「へー、でも坂畑さんって人妻でしょ?よく旦那さんが迎えに来てるよね」
「何がしたいのか。よくわかんない。気が重いよ」
「イケメン御曹司を彼氏にもつと、辛いわねー」
玲奈はニヤニヤとうれしそうだ。
「ちょっと、うれしそうってどうなの?」
「ごめんごめん。結婚するとさ、良くも悪くも安定しちゃうのよ。恋愛の話聞くと、ついワクワクしちゃって。未央、本当に困ったらいつでも言って、私にできることはするから」
「うん、わかった」
結婚すると、安定する。それは他のスタッフを見ても感じる。精神的に安定するのか、丸くなる人も多い。
「来週なんでしょ? 彼の誕生日。もうプランは決まったの?」
「亮介は夕方まで仕事なんだって。私は休みだから、夕食うちでなにかごちそう作るつもり。まだメニュー決めてないけど」
「楽しそうね、未央と郡司くんがうまくいくこと祈ってる」
《《うまくいく》》とは、結婚できるといいねという意味だろう。以前はそう言われることが重たく感じていたが、いまはそう感じない。