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「望月さん。ちょっといいかしら」
「はい。部長なんでしょう」
翌日。
仕事中、部長に呼ばれて部長の元へ。
「今度の新しいプロジェクトの件で商品企画1部の早瀬くんがどうしても急用で相談があるらしいの。ちょっと今日時間作ってあげてもらえないかしら?」
樹・・・。
まさかの部長から指示させるとは・・・。
ホントにプロジェクトの話・・・?
「わかりました」
部長から言われたら、会いたくないとか言って逃げられないじゃん!
「今、望月さんが時間大丈夫なら、すぐに、とのことなんだけど」
「あっ、大丈夫です」
部長に直接言われたら断れない。
「じゃあ今から1部に行ってもらえる?」
「わかりました」
なるほど。こう来たか。
昨日の夜結局メッセージ読むことも出来ず返信ももちろんせず。
多分昨日も樹チャイム鳴らして訪ねて来たっぽいけど、それも出る気持ちになれず居留守。
さすがの樹もおかしいと気付くか。
私ももうちょっと要領よく出来ればいいんだけどな・・・。
大人げないのは充分わかってるんだけど・・・。
でもこうなれば仕方ない。
ここは仕事モードで対応するか。
1部へ到着して部署を覗く。
「すいません。早瀬さんは?」
近くにいる人に声をかけて呼び出してもらって、入口に来た樹。
「お疲れ様です」
「お疲れ様です」
お互い久々に顔を合わせて交わした言葉は職場での”お疲れ様です”。
直接こんな風に言葉交わしたのもいつぶりだっけ。
ホントだったら嬉しいはずのこの時間も、今は色々考えすぎて職場用の笑顔でさえも作れない。
「すいません。忙しいのに時間作ってもらっちゃって」
「いえ。プロジェクトの件で急ぎみたいだったので」
「はい。どうしてもすぐ望月さんに説明しなければいけない案件だったので」
なんだか意味深な言い方に聞こえるのは、私がその考えを引きずっているからだろうか。
「いつもの会議室でご説明しても?」
「わかりました」
だけど樹はここで説明はせずにいつもの会議室へと促す。
一緒に会議室へ移動するこの時間もやけに長く感じる。
会議室に着くまでお互い一言も発せず。
それがまた更にこの時間を長く思わせる。
そして会議室へ到着し、お互いテーブルを挟み向かい合わせに座る。
「プロジェクトの資料受け取った」
「そうですか」
「ごめん。一昨日の夜届けに来てくれたみたいで」
「いえ」
「なんで敬語?今更」
「なんとなく・・・」
今の気持ちと同じで自然に距離を置いてる自分がいる。
「・・・聞いたんだよね? 高杉から」
「あぁ。うん」
きっともう樹はわかってるんだろうな。
「ごめん。嘘つくような形になって」
すると樹はすぐに認めて謝って来た。
「ずっと仕事で忙しかったワケじゃなかったんだね。でもまだしばらく会えないって、何・・・」
「いや、仕事で忙しいのはホント。高杉が知らない仕事なだけで」
「何その都合いい理由」
「だから透子が気にする必要ないって伝えたくて」
それだけじゃないんだよ・・・。
それ以上にあの女性の存在なんだよ・・・。
61
ぽっぴあ
「私、一昨日、見たんだよね」
「・・・何を?」
「一昨日の夜、樹が女の人と歩いてるとこ」
「・・・あぁ。そっか」
そこは否定せず受け入れるってことは、やっぱりあれ樹だったんだね。
「あの女性も仕事関係の仲間」
「うちの会社の人?同じ部署?」
「いや・・・同じ会社ではないけど」
「にしては、なんか親密に感じたけど・・・」
なんか私完全に責めてるよね・・・。
「あぁ・・・あれ、いとこ」
「いとこ!?そんな都合いい話ある・・・?」
なんでそんなスラスラと・・・。
「オレ嘘どれも言ってないし、やましいこと一つもないから」
それ言い切れるんだ・・・。
「なら・・なんで仕事って言って嘘ついて、あの人と一緒だったの・・?」
「それは・・嘘ついてたワケじゃなくて」
「私と会う時間はなくても、あの人とは会う時間あるってことだよね・・」
わかってる。
ただのヤキモチだって。
忙しい仕事がずっと続いても、お互い頑張ってるから会えなくても我慢出来た。
早く会いたくて仕事も頑張った。
だけど。
樹は違ったってことだよね・・?
その間に樹は他の人と会ってたってことだもんね・・。
きっともう同じ気持ちなんだと思ってた。
だけど、やっぱりまだ樹の中に私以外の誰か他の人が存在している。
「あの人・・・樹がずっと好きだって人なんじゃないの・・?」
結局そこまでして会う理由。
知りたくないけど、やっぱり確かめたくなる。