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テラーノベル(Teller Novel)
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その不良たちは、廃病院をねぐらにしていた。彼らは幼少期から育児放棄や親からの暴力を受け、学校では反抗的な態度をとって教師から嫌われ、家にも学校にも居場所がなかった。そんな似たような境遇の子どもたちが、いつの間にか廃病院に集まり、つるむようになった。

最初は小学生くらいだった。あるとき、廃墟に肝試しに来たグループを見かけた。そのときはいたずらでからかって追い返した。大の大人が慌てふためいて逃げていく姿に、彼らは大喜びした。もしかしたら、普段は自分たちが親から受けている暴力の仕返しが出来たような気がしたのかもしれない。

そのときの面白さが忘れられなかった彼らは、やがて、あえて「この廃病院は有名な心理スポットだ」という噂を流すようになった。それにつられてやってくる大人たちを怖がらせるためだ。

あるとき、大学生ぐらいの男女のグループが肝試しにやってきた。しかし、すぐに一人の女性がグループから離れた。トイレだったようだ。彼らはそれを見逃さず、グループを十分離れたところで襲いかかった。小学生相手とはいえ、トイレをしようと無防備だったところを襲われ、女性は抵抗できなかった。彼らは女性を囲むと、自分たちの目の前で排泄をするよう強要した。彼らはその様子をスマホで写真や動画に撮った。それが終わると今度は服を脱ぐよう命令した。女性は恥ずかしさに耐えきれず、泣きながら拒否したが、結局言うことを聞かないなら写真をばらまくぞ、と脅され、泣く泣く服を脱いだ。もちろんそれも写真や動画に収めた。

女性にとって幸いだったのは、彼らが小学生だったため、性的暴行を加えようとしなかったことだ。しかし、だからといって安心できるはずもない。彼らは女性の身体を触り始めた。最初は胸などを中心にして。それから徐々に下腹部の方へと手を伸ばしていった。

結局、そのときは触っただけで終わったが(女性はその後にがした)、彼らの中に性についての興味が芽生えた。そこで、スマホなどを使って情報を集め、ドン・○ホーテでアダルトグッズを万引きした。次に女性をつかまえたら、これらでどんなふうにするのか研究しようと思ったのだ。

中学生ぐらいになり、彼らはだんだん知恵をつけてきた。まず、廃墟の入り口にあるフェンスを壊した。そこから廃病院の中へ侵入するルートを作った。さらに、入り口に監視カメラを設置した。また、入り口だけでなく、二階への階段付近などにも監視カメラを設置した。これにより、入り口からは見えないところでも見張れるようになった。これらはもちろん盗んだり、盗んだものを売ったりして手に入れたものであった。

そうやって準備を整えた後、彼らは再び廃病院を訪れた。そして、以前と同じように女性たちを襲い、撮影を行った。その後で彼らの中でルールが作られた。それは、「このビデオはネットには流さない」というものだった。つまり、この映像は自分たちのものだけにしておくということだ。もし、これを流せば、自分たちの存在が警察にバレてしまう。そうなれば、今までやってきたことがすべて水の泡となってしまう。それだけは避けたかった。

その代り、やることはエスカレートしていった。トロフィー感覚で、襲った女の子の下の毛を剃り、集めたりもした(髪の毛だと犯行がばれてしまうので、人に見られない下の毛にした)。それから、自分たちが直接ヤれない代わり、ホームレスたちと協力して、若い女性たちを襲わせたりした。そして、その一部始終を撮影した。まっとうなホームレスの人はそんなことに反対したが、そういう人はぼこぼこにして廃病院に近づけないようにした。

こうした行為を繰り返すうちに、少年たちの中には、自分も女を犯してみたいと思う者が出始めるようになった。ただ、そうした思いがあっても実行に移すのは難しい。そもそも犯罪だし、たとえ成功したとしても、捕まってしまったら人生が終わってしまう。

そこで彼らは、警察に言わないだろうという理由だけで、小さな女の子を標的にした。ろくに教育を受けていない彼らは知らなかった。小さな女の子が、性的なことに向いていないということを。また、小さな命が、いかに儚いものであるかということを。さらって廃病院に連れてきた小さな女の子は、すぐに動かなくなった。彼らは それ を新聞紙などで包み、ガムテープでぐるぐるにまき、そのまま放置した。それから自分たちの犯行だとばれないように、誘拐を装った手紙を送った。そんなもの、すぐにばれるだろうに。

それでもしばらくの間、彼らには何事もなかった。そうするとすぐに、彼らは自分たちのやったことを忘れた。この間の大雨の日、自分たちがいない間に女が来ていたことを監視カメラで知り、彼らは悔しがった。今度女が来たら、ゲーム形式で楽しもうぜ、なんてことを話し合った。女を裸にして廃病院に置き去りにし、さんざん怖がらせてから襲うというものだった。前の小さな女の子では楽しめなかったので、今度こそ。そんなことを彼らは考えていた。


そんな彼らだったが、ある日、こつぜんと姿を消した。自分隊の考えた「ゲーム」を実行するため、いつものように廃病院に行き、そのまま帰ってこなかった。何があったか誰も知らない。そして、そのことを誰も気にもしなかった。(終り)


追記 心霊写真 3 で真理が踏んづけたのは、つまり……。

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