テラーノベル
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長崎に着くとオランダ商館の前で長崎の化身がウロウロソワソワ歩き回っていた。
「日本さん!」
「な、長崎さん。どうされましたか?」
「実は蘭さん、、、」
バタバタと襖を開ける。
いつも通り長崎の街を見下ろす大きな背中が黄昏ていた。
「オランダさん。」
静かに名を呼ぶとくるりとこちらを向いた。
「、、おう。久しぶりやな」
トタトタと近づき正座をして問う。
「戦争を、されたそうですね」
「、、、、ナガサキか?」
「ええ。」
よく見ると所々傷跡があるような気がする。
「貴方もよく知っているでしょう?服従されるとどうなっていくのか、、」
「おう」
「自国の民だけでなく自らもフッと消えることもあるんですよ」
「知っとる」
「じゃあなぜ、!」
「民は3000人死んだ」
サッと立ち上がってもう一度気づいた。彼は『私』とは違う。
そしてぎゅぅと抱きしめてきた。とても力強く。
「あっあの」「航海も制限された。」
静かになり、風の音だけが空間に流れる。
少し経つ頃日本も落ち着き出しそのタイミングを見計らってオランダが話し始める。
「また戦争が起きるかもしれん」「勘ですか?」
「や、今までの経験上。」
「もっとでかい戦争かもしれんな」
「、、、ふふ」
不意に笑みが零れた。 「どしたん」
「あなたなら大丈夫ですよ」
欧州の国、ただの貿易国
ただ自国の利益のために会う仲
それでも信頼というものが築かれている。
「まだ貿易は始まったばかりですからね。もっと沢山色々持ってきて頂かないと。」
「強欲やな」
「貴方が言いますか?笑」
向き合って日本はオランダの頬にそっと手を添える。それに応えてオランダはその上から手を被せる。そしてコツンとおでこをくっつけた後、静かに日本は応答する。
「きっと大丈夫です」
欧州
「アーサー。」
「なんだよ髭野郎 呼んでもねぇのにノコノコきやがって。」
英蘭戦争が長引き、一進一退が続く中フランスはある行動へうつす。
「同盟を組まないか?」「は?」
「苦しいんだろ?オランダとの戦争が長引いて。」
「それで借しをつくるってのか?ゴメンだな。
お前なんかにつくってなんの利益がある?」
「あるさ。、、、きっとすぐ君も分かるだろうしね」
薄暗い明かりの中で2人は会話を続けていく。
「というかさ。お前最近オランダが貿易盛んなの知ってる?だから余計に海上には厳しいんじゃないの?」
「知ってるよ。「日本」っつー国と貿易してんだ。俺も前までは、、、、」
静かに地球儀を眺め指さす。
「有効な貿易相手も盗られてんだ。大英帝国は常に覇者にならねぇと」
江戸時代、家康公の死去後にイギリスと日本の貿易は打ち切られ、オランダは約200年以上もの貿易をし続ける。
イギリスとフランスが同盟を組んだことで自体は変わる。そして、後にフランスもオランダ戦争をはじめる。(1672年)
オランダ商館
「来はりませんね。」「ええ」
もうしばらく会っていない。余程戦争が長引いているのだろうか。17世紀も終わりに近づいてきた。話題を変えようと大阪が話し始める。
「天下分け目からもう100年が迎えられるんですね。あの時と違って世も少しは平和になりはりましたか?」
長崎からのお菓子を頬張りながら言う。
「鎖国も伊達ではないですね。引きこもりも悪くないです。」
「でもいつかは外に出なくてはあかん状況になりはると思いますよ。」
「生きとー限りそうやとは思うばい。僕も。」
「久しぶりに長崎さんの方弁を聞いた気がしますね」「あはは」
外がより一層賑やかになった気がする。もしかしたらと思い、外に飛び出す。部屋に残された大阪と長崎は話を続ける。
「、、、さっきの話ほんまやと思いますか?」
「まぁ、、、おおかた?」
「いつかこの国も蘭以外と付き合って、強くなりはるんですかね。」
「大阪さんは戦ば心底嫌っとーね。」
「大阪っちゅー立場上な。ようけ見たから。何事も保身に走りおって、結局何も得られんくて。」
「、、、どうか、そうならんことを願います。」
「そうやね」
いつしか冬を迎え、白い息が漏れる。悴んだ手を擦りながら戸を開けた先に見たのは
「じいちゃん」
「こんにちは」
最愛の人
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