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『よし、これで全額返済だ』
更に侑が念を入れるためなのか、ワントーン低い声色で止めとも取れる言葉をヤツらに突き付けた。
『ちなみにだが…………お前たちがうちに来てから今までのやり取りを、このスマホに録音させてもらった。もし女から再度金を脅し取ろうとしたり危害を加えるなら警察に通報し、この領収書とスマホを証拠として提出する。いいな?』
『あっあ……ありがとうござい……ました…………まっまっ……またのご利用……おっ……お待ちしておっ……おりますぅ……』
南洋ファイナンスの二人は、まさか返済のやり取りを録音されているとは思わなかったのか、慌てふためき引き攣った声で去っていったようだ。
侑が玄関に入ってきて鍵を掛けると、ホッとしたのか大きく息を吐き切った。
「フンッ…………何が『またのご利用お待ちしております』だ。バカが……」
瑠衣は、言葉を吐き捨てる侑に何かを言おうとするが、うまく言葉が出てこない。
「九條。ひとまず中に入れ」
侑はそのままリビングへと向かっていき、瑠衣も慌てて追い掛けた。
***
「せっ……先生!! どうして……!! 何で!!」
瑠衣が責め立てるように侑を問い詰めると、侑が事もなげに瑠衣をソファーに座るように促すが、彼女は興奮しているのか、立ったまま言葉を放ち続ける。
「あんな大金を…………それに忌々しいお金って!! 何で!!!」
「…………さっきも言った通り、『忌々しい金』だからだ」
「何で忌々しいんですか!!! 意味が分かりません!!!」
「…………」
侑が苦悶に満ちたような表情を浮かべ、頬骨まで伸びている前髪をクシャリと掴んで掻き上げ、大きく息を吸い込んだ後、フウッと吐き出す。
「…………まぁお前も、俺が払った金の出所を知っておいた方がいいのかもしれんな」
侑は独りごちた後、リビング右手にある防音室の中へ入っていった。