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【ディフュージョン・ストーム】によって、残った傀儡とプリスマ・カーオスたちを一掃した私は、後方で佇む彼らの本体とも呼べる男へと狙いを定めた。

――これで終わりにする。

今さら躊躇するつもりはない。

確実に仕留められるようにしっかりと魔力を込めた矢を番え、解き放つ。


「なるほど……」


矢が到達するまでのほんの僅かな時間のうちに呟かれた彼の言葉を、私の鼓膜が拾った。


「よもや、これほどまでの力を有しているとは。どうやら、一筋縄ではいかないようだ」


光と闇の魔力防壁を展開した男だが、矢は少しずつ防壁を貫かんと前進し続けている。

それに私だってこのまま見ているつもりはない。

新たな矢を番えて追撃しようとしたとき、彼の周囲に殲滅したプリスマ・カーオスたちが蘇った。


「ならば――プリスマ・カーオスの名の下に集え、【アインクラング・カーオス】」


その言葉を契機に彼ら全員があの『私』と呼ばれる男の下へと集まり始め、その中に融け込むように消えていく。


『お姉さま~!』

「うん、わかってる!」


何を企んでいるのかは分からないが、下手に動かれて相手の行動が予測できなくなるのはまっぴらごめんである。


「【ゲイル・ストーム】」


今度こそ完全に仕留めるつもりで放った。

――だがそれは防壁の奥から飛び出してきた光線とぶつかり、相殺されてしまう。


『そんな~……』

「何が……」


衝突の余波により立ち昇った煙が晴れると、私たちの視線の先に1人の男が映る。


「貴様の力は実に見事なものであった。だが我もその力から着想を得て、全てを束ねることでこの境地へと到達できた」


落ち着いた調子で語る男は両腕を広げ、自らの存在を私たちに示した。

そうだ、彼は。彼らは――。


「我が名はプリスマ・カーオス。混沌を体現せし者なり」


あの男はプリスマ・カーオスたちが1つになった姿だ。

彼は私の力から着想を得たと言っていた。

ならあれは、まさか――。


「ハーモニクスの模倣……!?」

「ククッ、違うな。模倣などではない。我が力は貴様のような欠陥品とは違う。貴様の力はわざわざ歩調を合わせなければならぬのだろう。だが我が得た力は謂わば完成形。統一された意思の下、全ての力を束ねたものだ」


確かに私たちのハーモニクスは同じ方向を目指していないと力を発揮しきれないし、上手く心を通わせられていなければ1人で戦う時よりも弱くなる時だってある。

それが行き過ぎてしまえば不和だって起こるものだ。

だからといって、私たちのこの力を欠陥品と呼ばれる筋合いはない。


「欠陥品なんかじゃないもん~!」


私の口を使ってまでノドカが抗議する。それほどこの子も怒ってくれているということだ。


「私たちのハーモニクスは決してあなたの力なんかに負けない!」


これ以上の会話はもう必要ないだろう。

どれだけ姿を変え、力を得ようと私たちは彼らに勝って未来を掴むんだ。


「ならその根拠のない自信とやらを打ち砕いてみせよう」


不意に彼が光と闇の魔法を放ってきたため、私はそれを飛びながら回避して反撃する。

そうしてこちら側からの攻撃と相手側から迎撃のために放たれた魔法が衝突したものの、やはり先ほどのように相殺される。

だが本命はそれではない。


「【フェザー・ストーム】」


男を取り囲むように生成した小さな術式から、細長い羽根を模した魔力の塊を撃ち出す。

決して逃げ場はないだろう。するとこちらの狙い通りに彼は防壁を張ることで対応してきた。

これも本命ではない、次の攻撃への布石だ。新たな魔法の準備はもう間もなく終わる。


「【ブラスター・ストーム】」


魔力を込めた矢を番え、高出力の風魔法を解き放った。

標的にまっすぐ伸びていく矢に対して、防壁を解除してから対応に移ろうとしているプリスマ・カーオスだが、このタイミングからでは容易に防げるものでもない。


「その程度ではな」


そんな言葉と共に光と闇が混ざり合ったような魔力の塊が、矢に向かって突き出された彼の手から照射される。

その出力は明らかに私たちの攻撃を超えていた。

僅かな抵抗の末に打ち消された矢越しに、魔力の塊が私にも襲い掛かろうとしていたために高度を上げることで対処したが、私の頭の中は驚愕で埋め尽くされていた。


「ハーモニクスが圧されている……!?」

『お姉さま~! まだまだです~!』


ノドカの言葉を聞き、変な思考を振り払う。

元々、力技が苦手なノドカとのハーモニクスだ。力で負けているのなら、こちらはこちらの得意とする武器で戦えばいい。

魔力を翼の推力へと回した私は、急速に高度を下げながら敵のもとへと翔けていく。


「単純な力で勝てなくても!」


機動力を生かして飛び回り、あらゆる方向から攻撃を放つ。

そうすればどこかで隙を突けるはずだ。


『お姉さま~!』


ノドカが警鐘を鳴らしたため、私は急制動を掛けて高度を僅かに上昇させる。

次の瞬間には私のすぐ目の前に闇と光の刃が現れていた。

そして私の注意が逸れた一瞬の隙を突かれるような形で、無数の魔力弾が下方向より迫ってくる。


「【リフレクション・ウインド】」


風の結界でそれらを防ぎつつ、一気にその場を離れた私は攻撃を再開しようとする。

しかし、あらゆる方向から撃ち込まれる魔法がそれを容易にはさせてくれない。


「それでも!」


回避しながらもどうにか魔法を敵の死角となる位置から襲い掛からせているのだが、簡単に防がれてしまう。

だったら多少の無理をしてでもチャンスを生み出すしかない。

――付いてきてくれるよね、ノドカ。


『もちろん~! 覚悟は決めていますから~!』


私の周囲を取り囲む魔力弾を風の結界で強引に突破した私は、プリスマ・カーオスへと急接近する。

そして彼からの攻撃を避けつつ、すれ違いざまに急制動を掛けると同時に反転し、矢を放った。

吹き荒れる嵐によって視界が塞がれる中、私は高度を上げつつ砂埃の中心点に向かって魔法による攻撃を集中させる。

――流石にこれなら。

防壁で凌がれている可能性を考慮し、最後に大型の魔法を放とうとした――その時だった。

煙を掻き分けるようにして、凄まじい勢いの何かが煙の中から飛び出してくる。

回避しようとはしたものの魔力の翼に掠ってしまい、体勢が崩れてしまった。

そして体勢を整えているうちに、煙の中からはさらに数本の光と闇による光線が私を目掛けて襲い掛かってくる。

それを何とか風の結界で凌いだ私はその隙にその場から即座に離脱する。

だがその直後、風の結界を打ち破った光線が私を追いかけるような軌道で迫ってきた。

――追い付かれる!


決して速度を緩めているつもりなどないのに、明らかに距離が縮まっている。

数本の光線が束となり、出力を増しているその魔法に直撃するわけにはいかない。

だから敢えて翼への出力を抑えた私は精一杯の魔力を防御へと回す。

そして光線に向かって風の結界を展開した


『下から~!』

「えっ?」


下方向に視線を向けた私の視界が、光と闇のコントラストによって埋め尽くされていく。

咄嗟にノドカが魔力を操って、風の結界をギリギリのタイミングで下方向へも展開してくれたが、到底防ぎきれる強度にはなっていない。


衝撃の直後に平衡感覚を失い、自分がどこを向いているのかすら理解できない。

――ノドカ、結界を……!

こんな無防備な状態で追撃を受けるわけにはいかない。

感覚があてにならない以上、ここは守りを少しでも固めるしかないのだ。


「ぐっ……ぁ……」


自分の周囲に結界を展開した私の体を凄まじい衝撃が襲い、脳が揺さぶられたうえに肺から息が吐き出される。

そして今、やっとの思いで理解できたのは自分が地面の上に寝そべっているという状況だ。

私の鼓膜にゆっくりと迫ってくる足跡が届けられる。


「――これで理解できただろう。たった2体分の力を同調させた程度で限界を迎える貴様が、我に勝てる謂われはないのだよ」


意識がはっきりしない中、何とか力を振り絞ってふらつく頭を抑えながら体を起こそうとする。


「……同調、じゃない。私たちの力は……!」

「そんな状態のどこを見てそれを納得しろと? 単純に数字を足していけば答えは自ずと分かるものではあるがな」


こちらを蔑むような目で見下ろしてくる彼の両手には、光と闇の剣が1本ずつ握られている。

そして逆手に持ち直された闇の剣が私の足へと突き立てられた。

――貫かれた足から伝わる鋭い痛みが神経を駆け巡り、視界がチカチカと点滅を繰り返す。


「メフィスト様の御心を煩わせてきた大罪人よ。この我、プリスマ・カーオスが神意の代行者としてその罪を裁いてやる」


こんなところでまだ終われないのに。

せめてノドカだけでも逃がさないと。死ぬのは絶対に嫌だ、みんなと離れたくはない。

でも、まだ生きられるかもしれないのにその可能性を不意にしてしまうのはもっと嫌だ。

私の体は動かない。ならノドカだけでも逃げて生き延びてほしい。


『そんなこと許しません~!』


意思とは関係なく、私の両腕が振り下ろされてくる光の剣へと伸びる。

さらに知らないうちに魔力を纏っていた両手が、その剣身を包み込むように掴んで剣を食い止めようとする。


『ずっと一緒って言ったのに~……すぐに諦めようとするお姉さまなんて~大嫌い~!』


その言葉によって意識がはっきりとした。

また私はどこかでバカなことを考えていたらしい。

私の願いはただ1つ。みんなと一緒に未来を生きることだ。

私は弱くて、すぐに折れそうになるけど、みんなと一緒なら何度でも立ち上がれるんだ。


「無駄な抵抗を。完全たる我が力に敵うはずもないというのに」


ノドカが動かしてくれていた腕に私自身の意思で参加するが、その剣を押しとどめることはできない。

今も少しずつ押し込まれている。


「それでも、諦めてたまるもんか!」


脚を貫かれたままでは逃げることが叶わない。だったら立ち向かうだけだ。


「感心するよ……その意地汚さにはな」


グッと剣から伝わってくる力が強まり、一気に押し込まれそうになるが、そこで私は無数の術式を私たちを取り囲むような形で展開する。


「行って!」


両手が塞がっている今の状況では相手もこちらの攻撃への対抗手段が限られてくる。

その考えは間違いではなかったらしく、敵は私の脚に突き刺していた剣を引き抜いた。

痛みで集中が途切れそうになるが、私は唇を噛みしめて魔法の操作に意識を集中させる。


「小賢しいマネを」


闇の剣で術式から飛び出した小さな攻撃魔法を打ち払ってくるが、それだけでは死角となっている場所からの攻撃を防ぐことはできない。

僅かに眉を顰めた男は周囲に防壁を展開した。

――彼自身と私を取り囲む防壁を。


「テネラディーヴァ!」


押し込まれつつある剣を阻んでいた両手のうち、右手を離してその手の中に弓の形をしている霊器を呼び寄せる。

次の瞬間には抑えきれなくなった剣が私の左肩に突き刺さるが、その痛みに耐えつつ渾身の力を振り絞って右手を動かした。

そして今、私の右手には弓の代わりに矢だけが握られている。

純粋な魔力の塊でもあるこれを思いきり彼に突き刺そうと手を伸ばした――が、信じられないことに突如として虚空から飛び出してきた闇の棘によって、私の右腕が貫かれてしまった。


「――ククッ、愚かなものだよ」


闇の剣で矢を打ち払った彼がその剣先を私へと向ける。

両腕はもう満足に動かせない。それに剣が左肩に刺さっていては飛び立つことも。


「もう諦めるといい。これ以上苦しませずに殺すのは我からの慈悲だ」

「あき、らめない……まだ……これからも……絶対に……!」


――この瞬間、私はどうにも安心してしまったようだ。

何故なら私たちの感覚が助けに来てくれたあの子の存在を捉えたのだから。


「この力を得るきっかけとなったことには礼を言おう。我らが理想を実現するために有効に使ってやる」


今、振り下ろされた闇の剣が――月の輝きによって打ち払われた。


「――これ以上、やらせはしない」


ああ、やっぱり来てくれた。本当に嬉しい。


「アンヤ……」


内側にいるノドカからも湧き上がってくるような喜びが伝わってくる。

剣を打ち払われたことにより元居た場所から飛び退いたプリスマ・カーオスの視線から守ってくれるように、アンヤが私と彼の間に立ちはだかる。


「ますたー、姉さん……ごめん。でも間に合ってよかった」

「謝る必要なんてないよ……ありがとう」


何よりも頼もしいその背中を見つめていると、その背中越しに声が届く。


「貴様か。あの方の御力を拒みし罰当たりなモルモット。我らに楯突き、己が創造主に刃を向けるなど万死に値するぞ」

「……あなたの声には聞き覚えがある。ならやっぱりアンヤはあなたに……」

「いかにも。貴様に命を吹き込み、力を与えたのはこの我プリスマ・カーオスなのだよ」


衝撃を受ける。

だがアンヤの身の上は彼女自身から聞いていた。だから彼女に悪意を持って接していた誰かの存在が彼だと判明したに過ぎない。


「……あなたを親だとは思えない。アンヤはただ、大切な人たちを傷つけたあなたのことを許せないだけ」

「ほう、怒りか……生物としては欠陥品であった貴様も随分と生物らしくなったものだ。興味深いな」


彼の言葉には喜びが含まれているように聞こえる。

とはいえ彼のまるでアンヤを実験動物として見做しているような口ぶりには心中穏やかではいられない。


「我の下へ戻ってくるのだ。そうすれば貴様の肉体は丁重に扱ってやろう。あの御方の為に我が研究の糧となれるのだ、喜ぶといい」

「絶対にいや」


アンヤが即答する。


「ふむ、だが是非ともサンプルは欲しいものだ。あのお方の御力と精霊の肉体の親和性の高さを実証する存在は貴重であるからな」


どこまでも傲慢な物言いだった。

傷を治し終えた私はゆっくりと立ち上がるとアンヤの肩に手を乗せる。


「アンヤは私たちの大切な家族だよ。その家族に何かしようって言うのなら、私は――私たちは容赦しないから」

「ますたー……」


振り返ったアンヤと視線が交差し、頷き合う。


「立ち向かおう、アンヤ」

「……うん。アンヤたちの未来はアンヤたちの手で切り開く」


相手はハーモニクス状態の私たちを圧倒する程の力を持っているのだ。アンヤには荷が重いだろう。

でも彼女の力はきっとそれを乗り越えられる。何より、私たちも一緒なのだ。


「ほう。我は貴様の創造主であり、子だと思ったことなどはないが……謂わばこれは親子の語らいのようなもの。部外者は排除し、やんちゃな放浪娘には厳しい躾をしたうえで家へと連れ戻さなければな。それが家族というものなのだろう?」


彼は自らの周囲に光と闇の術式を無数に展開させる。

――数瞬後、それらの術式から一斉に魔法が解き放たれた。


「【リフレクション・ウインド】!」


テネラディーヴァをハープの状態で再展開し、私は敵からの射線を阻むように風の結界を構築する。

そして私が魔法を防いでいるうちにプリスマ・カーオスへと肉薄したアンヤが、彼の周りにある術式を月影の性質で切り裂いていく。


エクリプスの欠陥品の力など、その存在そのものが大罪であると知れ!」

「違う。この力はあんな全てを蝕むようなものじゃない、照らすためのもの!」

「貴様はあの御方を否定するつもりか!」


急に激昂した男がアンヤを取り囲むように術式を配置したため、私は風の結界をアンヤへと集中して展開する。


「だが防ぎきれるものではあるまい!」


彼は突き出した腕の先に構築した大きな術式から光と闇の光線を照射する。私たちも風の結界に精一杯の魔力を込めるが、やはり相手の出力の方が上だ。

突き破られた結界の内側にいたアンヤに光線が迫る。

それを彼女は自身の側方に投げた影のナイフへと潜り込むことで回避した。


「甘い!」


しかしその直後に男が光魔法を使い、影を照らしたことで影が維持できなくなる。

あの子の影を掻き消すほどの眩い光だ。射線から逃れることには成功したアンヤだが、すぐに掻き消された影の中から姿を現してしまう。

そこに再び光魔法と闇魔法が襲い掛かる。

だが風の結界を私が展開することで、あの子が射線上から逃れるための時間を確保することはできた。


「やはり厄介なのは貴様らしい」

「させない!」


男の視線がこちらに向いた瞬間、アンヤが彼に向かって投擲した影のナイフの中へと潜り込み、瞬時に彼との距離を詰める。

それに舌打ちし、対応しようとした彼の魔法術式はアンヤによって切断されたため、彼は後ろへ飛び退いた。

そこでアンヤは月影を片手に持ち直し、空いた左手の中に《ストレージ》から取り出した3本のナイフを持つとそれを投擲する。

男は瞬時に光と闇の剣を生成し、それらを打ち払った。

だがそんな彼の足元へ追撃として影が生まれ、その脚に絡みつこうとする。

彼はそれらも剣で切り刻むことで回避するが、そこに生まれた隙を逃すことはしない。

――既に矢を番え、弦を引き絞っている。後は弾くだけだ。


「【ゲイル・ストーム】」


プリスマ・カーオスは剣の出力を上げることで私の魔法に対応しようとしていたようだが、横合いからの斬撃によってその剣を消滅させられる。


「貴様ッ!」


アンヤは彼の剣を月影の性質を以て打ち消すと、影の中に潜って射線上から退避してくれた。

防ぐことができなければ、いくら力が上だろうとも貫くことができるはずだ。

――だが、それは当たりさえすればの話だった。

風の矢は虚空を貫く。


「そんな……」


私は彼の姿を見上げていた。


『あの人も~飛べるなんて~!』


プリスマ・カーオスの背中には彼の魔力によって4枚の翼が生成されており、まるで私とノドカのハーモニクスのように宙へと浮かんでいた。


「随分と調子に乗ってくれる」


風魔法による補助を使っていないということは、魔力の推力だけで空中に浮かんでいる状態であるということだ。

ならばまともに攻撃に回せるだけの魔力はない――はずだった。


「あくまで我が役割は足止めと認識していたが、下賤な者共にいつまでも大きな顔をされるというのは些か気分が悪い。ならば全力を以て貴様らを撃ち滅ぼすとしよう」


空の上に無数の術式が浮かび上がり、瞬いたかと思うと魔法の雨となってアンヤがいる場所へと降り注ぐ。

凄まじい光量の光魔法により、影の中に潜って回避することのできないアンヤは月影でどうにか凌いでいる状況だ。


「アンヤ!」


ハープ状態に変形させたテネラディーヴァを奏でた私は、彼女を守るために風の結界を彼女の周りへ展開する。


「ダメ、ますたー!」


こちらに振り向いた彼女の淡い黄色の光を灯した瞳が私を見つめている。


「しまっ――」

「【トロイメライ・カーオス】。儚い夢の果てに、貴様は永遠の眠りに就く」


体の中に凄まじい違和感を覚える。

それが外部からの魔力干渉だと気付いた時には、私の意識は暗闇の底へと落ちていった。

七重のハーモニクス ~異世界で救世主のスライムマスターになりました~

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