今回はかぶちゃ視点でーす
どぞー!
俺の名前は小峠華。絶賛窮地に立たされている20歳の女(元男)だ。
小峠「(やばいやばいやばいやばいやばい)」
夏祭りの帰りに、どうしても空龍堂の大福が食いたくなって買いに来たのだが……この2人と遭遇してしまった。
??「ジュン、少し遅いけどちゃんかぶの墓参り行こうぜ。せっかくの夏祭りだったんだ」
??「はい………小峠の兄貴と、花火見たかったですね……」
そう、俺の兄貴分だった青山の兄貴と、舎弟だった宇佐美純平。
どうやら俺へのお供え物を買いに来てくれたらしい。
小峠「(うれしい………けど!バレたらヤべぇ!しかもこれ大福最後の1個だし!)」
内心めちゃくちゃ焦りながら、どうすればいいのか脳をフル回転させ、考えに考えまくる。
そうだ、俺の横に来た瞬間反対方向へ行って、そのまま店出よう。会計ももう済んでるし。
青山「ここの大福人気だからな…残ってるかー?」
宇佐美「店員さん奥行っちゃったんですかね?カウンター誰もいませんけど」
そういいながら青山の兄貴と宇佐美はこちらに歩いてくる。
小峠「(今!)」
俺はくるりと反対方向を向き、そのまま歩く。
あと少しで入口だ。
よかった、このまま無事に…
ガシッ
小峠「え?」
誰かが俺の腕を後ろから掴んだ。
青山「お嬢さん、こんな遅くに1人なんて危ないですよ。誰か連れは?」
なんと青山の兄貴が、バレてはいないが話しかけてきた。
どうやら夜遅くに1人の俺を気遣ってくれたらしい。さすがホスピタリティの神だ。
小峠「大丈夫です…!家ちょうどこの近くなので…」
俺は顔を見られないように顔はそのままの向きで答えた。
青山「そうですか!急に不躾な質問、申し訳なかったです!……あれ、お嬢さんここの大福好きなんですか?」
青山の兄貴は納得したようにぱっと俺から手を離した。で、俺が持っている荷物を見て、大福好きだと勘づいたらしい。
そして宇佐美は電話が来たようで、そそくさと店を出ていった。
小峠「(1体1か………相手青山の兄貴だしキツイか…?)は、はい!昔から好きで……美味しいですよね、これ!」
青山「ええ、俺もちょうどこれを買いに来たんですよ。知人の土産にね」
そうなんですかと相槌を打って、その場を離れようとした。
が。
小峠「っあ!」
浴衣の裾に扉の突起が引っかかってしまい、俺はつまずいてしまった。
青山「危ねぇ!」
そして青山の兄貴は超反応で前に落ちていく俺の体に手を回し、しゃがみながら俺を横抱きにして持ちこたえた。
しまった!この体制だと顔見られる!!
青山「お嬢さん、怪我はないd…..」
そう言いかけた青山の兄貴の表情が一変し、瞳孔が思いっきり開く。
完全にやらかした。
青山の兄貴は俺を担ぎ上げたまま裏路地まで猛スピードで走っていく。
宇佐美「お待たせしまし………って、青山の兄貴ぃぃ!???」
驚く宇佐美を置いてけぼりにしながら、青山の兄貴はそのまま走る。
そして裏路地で止まると、俺の体を下ろして肩を両手でガシッと掴む。
青山「………………ちゃんかぶ………だよ、な………?」
青山の兄貴は掠れた声で俺の名前を呼ぶ。
小峠「っ!」
思ってなかったんだ。
無理だと思ってた。こうなった時点で。
もう名前を呼ばれることなんてないと。
名前で呼んでくれることがこんなに嬉しいなんて。
前までは、名前で呼ばれるなんて当たり前で。
でも、もう一度でいいから呼んで欲しかった。
『華太』
『兄貴』
って。
大好きな兄貴たちに。大好きな舎弟たちに。
大好きな場所で、大好きな人達に。
嗚呼、困ったな。
これじゃまた天羽組に戻りたくなっちまうじゃねえか。
俺はいつの間にか、青山の兄貴の腕の中で泣いていた。
小峠「あ゛っ、にぎ…………おれ………お゛れぇ…」ポロポロ
青山「やっぱ、そうだ……………華太……っ…」
青山の兄貴はもう離さないと言わんばかりに、ただ強く俺を抱きしめた。
程なくして俺はとりあえず泣き止んだ。
小峠「すみません……ハンカチ………」
青山「全然いーぜ。ところで……何がどうしてこうなったんだ?」
小峠「あー、それはですね………」
かくかくしかじかあれこれウマウマ………
青山「…な、るほど…?信じ難いけど、事実だしなぁ……(神様すげぇ)」
…まあそんな漫画でしか起こらんようなことを目の当たりにすりゃそんな反応にもなるわな。
青山「でも……………」
小峠「でも?」
青山の兄貴が突然しゃがみこむ。
青山「また会えてよかった………………」
小峠「……俺もですよ」
そして青山の兄貴がギャン泣きを始めてしまったので、俺が頑張って泣き止ませていると、息を切らした宇佐美が路地裏に飛び込んできた。
宇佐美「青山の兄貴!?何してんすか!?……って…は!?小峠の兄貴!?なんっ……は!?」
青山の兄貴が子供のようにギャン泣きしてるところに俺がいるんだから、まあそうなるよな。
宇佐美「………………兄貴………………?」
宇佐美は俺の前までフラフラとした足取りで歩いてきて問う。
俺は優しく微笑みながら答える。
小峠「おう、宇佐美」
いつものように。
すると宇佐美は何も言わずガバッと俺に抱きついてきた。
小峠「うおっ!?」
宇佐美「ぅ゛…………」
小峠「う?」
宇佐美「う゛ぁぁぁぁぁぁあ゛っ!(泣)」
宇佐美も泣いちゃったー!!!!!
青山「ぐぅぅぁああ゛んっ!(泣)」
小峠「収拾つかねぇぇぇ!!!!!」
小峠「はぁ………泣きやみました…?」
青山「すまん………つい……」
宇佐美「すんません…………」
まぁ俺もめちゃくちゃ嬉しかったからいいけど。
to be continued…
コメント
7件
好き… 続きが欲しい…
あ〜青山の兄貴と宇佐美くん泣いちゃった😊 これが、小林の兄貴とか須永の兄貴、香月ちゃんだとどうたなるんでしょうね? 続きが楽しみです