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これは、楽しい楽しいただのおとぎ話です。でも、途中で作者がいなくなってしまいました。
このままだと、おとぎ話の世界は、終わってしまいます。
「おーい!そこのお嬢さん、そろそろ起きてや。」
花柄の綺麗な浴衣を着たお姉さんが、ボクに話しかけてくる。
切れ長の目、シャープな輪郭、高い鼻、いわゆる狐顔という物なのだろう。ショートカットで、大きめのピアスをつけている。それに、右頬の大きい傷が特徴的だ。
「寝とるん?それとも死んどる?そろそろ返事してもええんとちゃうん?」
「え、、、?」
かすれて無くなりそうな声でボクは返事をする。
「あれ、生きとったんやな。三日間寝たきりやったから死んどるのか思ったわ。あと二日起きるのが遅かったら死んどったかもしれないんやで!お姉さんに感謝しいや。」
あと二日起きるのが遅かったら死ぬ?後半に気を取られて、話が入ってこない。
冷静に考えるとボクは三日間寝たきりだったのか。そうであれば、三日間も迷惑をかけたことになる。
「えっ、と、すみませ、んでした、」
文章が途切れ途切れになる。声を三日間も出していなかったからだろう。
「いやいや、ただ感謝して欲しかっただけやねん。ちっとも迷惑だなんて思ってへんわ。」
綺麗な狐顔がくしゃっと笑う。
「あ、りがとうござい、ます?」
「ところで君、体は大丈夫なん?」
ありがとうに対する返しがなくて、ちょっとムッとする。感謝して欲しかったと言ったじゃないか。
「雲の上に飛んでたヘリコプターから落ちたんやで。」
ヘリコプターから落ちた?身に覚えがない。大体、そんなところから落ちたらもう死んでいるのではないか。それに比べて、今のボクはちゃんと息ができている。声はかすれているが話もできる。
「これ、覚えてないやつやなぁ、まぁいいけど困るんよなぁ、」
お姉さんは、タンスを開け、浴衣を選んでいるようだ。何が困るのだろう。ボクはベットに座りながら考えていた。
「君、名前は?」
「えっ、ボクですか?」
だんだんかすれなくなってきた声で答える。
「君しかいないやろ」
「、、、蓮花です。」
名前も知らない他人に名前を教えるのには、少し迷ったが、結局教えてしまった。
お姉さんの狐顔が、少し優しくなった気がしたからだと思う。
「へぇ、可愛い名前やん。じゃぁコレ着て。」
そう言って差し出したのは、モクレン柄の浴衣。小さい頃に、親友と育てていたものなので、思わず頬がゆるんでしまう。
「親友と育てたやつなん?」
蓮花は、思っていることをずばりと当てられてしまい、一瞬戸惑いの表情を見せる。
「あれ、もしかしてアタリ?勘で言ってみただけなんだけなんやけどな、じゃ、行くで〜」
素早く話を切り替えられてしまった。
「あっ!待ってください!」
目に入っていく景色は、どれも不思議なもので、自然と興味がわく。ただ、
お姉さんは足が速く、追いかけるだけで必死なのに、着物を着ているせいなのか、走りにくい。
追い打ちをかけるように、お姉さんが足を速める。
「早くついてきいやーおいてくで!」
必死ついて行った先には、ボクが以前住んでいたマンションと同じぐらい、いや、さらに大きいかもしれない旅館が建っていた。
「おじゃまします〜」
「お、お邪魔します?」
「あれぇ?いなりちゃんじゃぁん。お久しぶり〜」
おっとりしている女の代表みたいのが出てきた。ただ、身長は高い。ぱっと見、ニメートルぐらいあるのではないか。蓮花は、少し驚き、「いなり」と呼ばれるお姉さんの後に隠れた。
「蓮花ぁ、この人は悪い人ちゃうよ〜!雪乃ちゃんって言うんやで!」
少し驚いただけだが、怖くはない。悪い人でもなさそうだ。大人しく前に出ることにした。
「珍しく素直やん。このでっかい子は雪ちゃんって呼んであげてな〜」
「え、あ、はい?」
返事に困っていると、雪ちゃん?が声をかけてくれた。
「初めましてだよね、あたしは雪乃。雪ちゃんって呼んでほしいな〜それと、コレから一ヶ月よろしくね♪」
「、、、え⁉︎」
「いなりちゃんから聞いてなかったの?あたしと蓮花ちゃんは、今日から一ヶ月間一緒にくらすのよ〜♪」
「え、えぇぇぇぇぇぇ⁉︎」