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ーー 一護
「俺自身が月牙になることだ」
オレンジの特徴的な髪の毛は黒く染まり風に揺れるほど長く伸びている。
死神の力を全て失う?藍染を目の前の奴を殺せるならそれで良い。斬魄刀を構え、ただ振った。
確実に殺すように。
「月牙天衝‼︎」
空中で振り下ろされた斬月の先から、黒よりも黎く壮大な刃となり藍染に向かって放たれた。
瞬時、響いた天を裂くほどの音が広がり消えていった。削られて抉られて変わるった地形、その先の藍染だったもの。
いや、正しくは致命傷と呼ぶには深すぎるほどの傷を負って血を流す藍染。
倒れていくのが見えた。
月牙天衝の威力に驚きながらも浦原さんが急いで駆けつけて藍染を捕獲する、藍染が逃げないように。
フッ、と息が口から溢れた。安堵の溜息
漸く、漸く倒せた
安堵を感じ息を吸う肺に入れた酸素は体の硬直を和らいでくれた。
呼吸に合わせて、切られた部分が響くように傷が痛み出した。さっきまで感じなかった痛みが徐々に身体に戻ってきた。
これで終わったのだ。
長い長い戦いも。
全部
死神の力がゆっくりと抜けていくのがわかった気がした。
「ーーーえっ?」
その瞬間予期せず、世界が逆さになった。
少しの浮遊感と体の重み
なんだよこれ
空が見える、瓦礫も全部
めっちゃゆっくりに動く…平子の逆撫か?
でも、こんな遅くはねぇな。なら藍染の攻撃か?でも藍染はいま浦原さんに捕まってるはずだろうし…
じゃあなんで…
そこまで考えて漸く気がついた、世界が逆さなんじゃない。ただ俺が倒れかけているってことだ。
後頭部に感じた衝撃、弓状に少し跳ね上がった体
全てがスローモーションに感じる。
遠のいていた音は既に聞こえなくなっている。
動くはずもない手が地面に触れているのか、それとも俺の体の上に置いてあるのかすらも、わからない。
目が、暗く霞んでいく時に映ったのは瞬歩で駆け寄り手を伸ばす平子だった。