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絵里はケンに電話をした後、結香と別れた。 そして駅前のロータリーに向かう。
ロータリーに向かう最中も頭の中はグチャグチャだった。
茜にバレてしまった。
本人の口から言うより、他人から聞いた茜のショックは想像できる。
ケンと待ち合わせしているロータリーは、一ヵ月半前に茜と二人でケンを待った場所だった。 もう茜と二人、楽しく過ごす日は来ないだろう。
あの日と同じようにケンの黒い車が近付き、窓を開けケンの顔が見えた。
助手席に乗り、ケンを抱き締めた。
『どうしたんだよ?』
ケンは少し驚いて、絵里を背中をさする。
また涙が出る。
「ケン、逢いたかったぁ・・・」
『俺も。
でもさ、後ろに車つまってるから、後にしよーぜ』
後ろの車からクラクションを鳴らされ、二人で笑う。
車はケンの家に向かい、車内にはおだやかな空気が流れていた。
ケンがポツリポツリと話しだす。
『俺さぁ・・・。
絵里と離れてからまた登校拒否児になっちゃってたよ。で、毎晩酒、酒、酒って感じ』
ケンは苦笑いをする。
「絵里も、5キロやせた」
『だよな?俺も3キロやせた。
半月くらい会わないだけでこれだけ痩せるのすごくねーか?』
二人で顔を見合わせ笑ってしまう。
「確かに!
一番のダイエット法はストレスかもね」
そんな会話をしていると、あっとゆうまにケンの家についた。
部屋に入るとケンが絵里を抱き締め、二人は抱き合いながらソファーに座る。
そして数えきれない位のキス・・・
久々にしたキスは、ケンの煙草の匂いがした。
絵里はケンの両足の間に座り、ケンに後ろから抱き締めてもらう。
「あー。おちつく」
『俺もー』
二人はこの幸せな時間を壊したくなかった。 茜の話題を自然とさける。
その時、ケンの携帯が鳴った。
『あ。優さんだ。
あれから連絡なかったんだよな・・・』
ケンはとまどいながら、電話に出た。
『・・・はい』
『おー。ケンか?
久々だなぁ。この前は茜って子にやりすぎちゃって悪かったなぁ!』
優さんの声は大きく、近くにいた絵里にも聞こえた。
怒りで体が震えた・・・。
『悪かったじゃないですよ!!俺の女のツレなんですよ!!』
『でもアイツ、ヤリマンで有名じゃん?
今も噂がすげーよ。』
『なんですか、それ・・・』
絵里とケンは顔を見合わせた。
『俺の友達、クラブの店員多いだろ?
クラブでネタ食ってヤリまくりらしーぞ』
『・・・』
ケンも黙る。
『また拉致っちゃおっかなぁーとか思うだろ?!
顔かわいいし。』
くやしかった。
絵里はケンの携帯を奪い、優にどなった。
「あんたのせいでしょ!!あんたたちがあんな事するから茜がおかしくなったんじゃない!!
茜、自殺未遂繰り返して大変だったんだから!!
あんたなんか・・・
あんたなんか、殺してやりたいくらい!!」
『絵里!やめろ!!』
ケンに携帯を取り返される。
絵里は悔しくて、涙が溢れた。 こんな野獣みたいな男に大事な友達が・・・。
絵里は床に座り込み、頭を床につけて声をあげて泣いた・・・。
『すいません、絵里が・・・』
ケンが優に謝る。 優は地元では有名な男で、誰も逆らえなかった。
ケンも本当は謝りたくない。 でも、絵里や自分の事を考えると謝るしかなかった。
『茜が一緒にいるサヤカとかその周りはみんなジャンキー(麻薬中毒)でヤバいから、彼女の大事なツレなら早く離した方がいいぞ。』
優は最後にケンに言った。
ケンが電話を切っても絵里は泣き続けていた。
ケンは絵里を抱き締めて、『もう大丈夫だから』と頭をなで続けた。
その日以来、絵里は茜に毎日電話をした。
やっぱり茜を見捨てられない。 嫌われてるのはわかるけど、茜にはクスリからも今の友達からも離れてほしい。
それから一ヵ月が経った。
十二月に入り、風も冷たさを増してくる。
絵里はケンと時間があれば会い、逢瀬を重ねた。
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