テラーノベル
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とある街にある喫茶店。昼下がり。ウエイターのコウとユキはランチで混み合った店内がサーっと波のように引き、ようやく昼休み。
カランカラン
入り口から誰か入ってきた。
「喫茶は3時から……って渚ちゃん?!」
出かけていた喫茶マスターの娘、渚が両膝から血を流してそして顔は半泣きで立っていた。
「痛かったヨォー!!!」
と泣き崩れた。
「転んで怪我した?!」
渚の膝を由貴が手当てをする。由貴は前から渚のことが好きなのである。
「白いものが動いてコロコローって気になってどんどん転がって……」
「誰にも助けてもらえなかったのか、それにスマホは?」
「電話したわよ! 店の忙しい昼時だったし」
コウはふと時計を見た。
「あーめっちゃ混んでたわ」
「たまたま通ったタクシーに乗れたから良かったけど」
「ん、てか話戻していいか?」
コウは何か気になったようだ。
「どこまで?」
「ハンコ落としたところ」
「……コロコロズコー! って」
「いや、そこじゃなくて……落として」
「あー、白いモノが動いて」
「それ!」
コウが手を叩いた。そしてノートパソコンを取り出した。
「なんだ、コウ……」
「数件ほど依頼であったやつだ」
とメールを確認して開いて2人に見せた。コウと由貴は普段は喫茶店のウエイターをしているのだが実際は除霊師としてコンビを組んでいる2人。
子供の頃に山で遭難して死にかけたところを天狗様に助けられたのだが、命を助けたしついでにと勝手に天狗様から街の幽霊達の統率をするよう霊能力をつけられてしまった2人。
それを生かして除霊の依頼を承っているのである。
「『白いモノを追いかけたら事故に遭いかけた、という噂があるけど本当? 調べてください!』『〇〇町の坂に出てくる白いモノを追いかけると死に繋がるから追いかけるな、という噂があります。ここ数日ここら辺で怪我をする子が増えていて……』」
すると渚は叫んだ。
「あ、〇〇町! 私そこに行ってたの」
早速2人は現場検証をする。坂は車は通れない歩道。
「車通りは激しいな。坂もそんなに急ではないが勢いよく走って躓いたら怪我はするがタイミングが悪いとーコリャ車道に転がって事故って死ぬな」
とくに幽霊の気配もなさそうだ。
「白いのって……一応渚さんにも書いてもらったんですけど」
由貴はメモ帳の絵をコウに見せた。コウはいつも身につけているサングラスを上げてその絵をまじまじと見る。
「白い綿? どう見ても綿……」
「僕……渚さんが怪我する原因になったこの綿……白いコイツの原因を解明したい!」
すると坂の上から
「ああああーっ!」
と叫び声がしたのだ。
コウと由貴はみえた。
「綿!」
坂から転げ落ちてきたのは女子高校生。コウと由貴はその白い綿が確かにみえた。
「大丈夫?!」
由貴はその女子高校生をガシッと抱き抱えた。
「ありがとうございます……」
「念のため病院に行きましょう」
「大丈夫です。それよりもさっきの白いふわふわ……」
この女子高生にもみえた謎の白い綿。
「どの辺りから追っかけたんだい?」
「うーん、なんかあのあたりかな。可愛く動く綿があって……追いかけたらそこの根っこのところに足を引っ掛けて転げ落ちちゃった……」
「君は白い綿の噂は聞いたことあったか?」
「……はい、追いかけてはいけないって。でもいけないとか言われると追いかけたくなるじゃないですか」
「まぁそうだけど……」
「つい追いかけてしまった、危ないって噂に聞いていたのに……でも渚さんは知らなかったけどつい追いかけてしまった……」
「なんか不思議の国のアリスみたいだなぁ、ウサギを追いかけたらメルヘンワールド行き……」
「でも転んだら怪我したり、危うく事故になりかねん。にしても俺らがいても綿は出てこない」
「怪我した人とか絡んだ人たちの共通点を調べるしかないな」
先ほどの女子高生と渚の共通点を頭に思い浮かべると女性であること、小柄であることくらいである。
「でも渚さんってアラサーだけど童顔だから高校生に見える」
2人は坂を上る。途中先ほど転んだ女子高生と同じ制服を着た生徒達が下る。
「髪型も自由になったもんだなぁ」
すると2人は足を止めた。目の前には生徒達が通う女子校があった。
コメント
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わあ、第42話お疲れさまです!喫茶店のウエイターが除霊師って設定、めちゃくちゃツボでした。今回の「白い綿」を追いかけてはいけないっていう都市伝説、なんだか不思議の国のアリスみたいでワクワクしながら読みました。渚ちゃんと女子高生、どちらも無意識に追いかけちゃうところが人間くさくて共感しちゃいますね。「いけない」って言われるほど気になる気持ち、すごく分かります。コウとユキのコンビの掛け合いも自然で好きです。続きが気になる終わり方でした!
#衝撃のラスト
山根利広
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