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名前:吉崎 灕於(よしざき りお)※主人公「」
2008年7月12日生まれ
名前:兼澤 龍平(かねざわ りゅうへい)『』
2008年4月29日生まれ
新学期が始まって少し経ったころ。
まだクラスにも完全に慣れきっていない放課後、
プリントを職員室に届ける途中だった。
廊下の角を曲がった瞬間――
「うわっ、ごめん!」
軽くぶつかって、持っていたプリントが床に散らばる。
慌ててしゃがむと、同じタイピングで手が伸びてきた。
『大丈夫?けがはない?』
顔を上げた瞬間、思わず固まる。
そこにいたのは、どこかで見覚えのある整った顔の男子。
“兼澤龍平”だった。
『はい、これ』
集めたプリントを差し出しながら、少し照れたように笑う。
キラキラした雰囲気とは違って、目の前の彼はかっこいい高校生。
「ありがとう…」
声が小さくなる。
『同じ学校なのに、初めて話したな』
そう言われて、心臓がドクンと跳ねた。
確かに、廊下ですれ違ったことは何度もある。
でも話したのは、これが初めてだった。
『職員室行くの?俺も用事があるから一緒に行こ』
自然すぎる一言に、断る理由なんて見つからない。
並んで歩く廊下。
沈黙が続かと思ったのに、彼はぽつりと話始めた。
『さっきさ、めっちゃ真剣な顔して歩いていたよ』
「え、見られてた?」
『うん。なんか頑張ってる人って目に入るから』
何気ない言葉なのに、胸の奥がじんわり温かくなる。
職員室の前に着くと、彼はドアを空けながら言った。
『また、廊下で会ったら、今度はぶつからないようにね』
いたずらっぽく笑うその顔に、思わず笑ってしまう。
――その日から。
ただの「同じ学校の人」だった存在が、少しだけ特別になった。
廊下ですれ違うたび、
目が合うたび、
小さく手を振ってくれるようになって。
気付いた時には、放課後が少し楽しみになっていた。
まだ恋かどうかも分からない。
でも確かに、何かが始まりかけていた。