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空中列車に揺られぼうっとしながら家に帰る。食卓には三人分の食事しかなく、今日も兄が帰ってこないことを思い知らされる。 そんな中、母が私と父に向かいこう言う。
「明日の早朝、お兄ちゃんがお家に帰ってくるみたいよ」
その言葉に、私は嬉しくなった。
その夜はは眠りにつくまで浮かれたように過ごしていたと思う。
館長から借りたハンカチを洗おうと思い、柔軟剤を選ぶ。館長が好きそうな香りはどれだろうか。彼が好きそうな香り。
そう、考えているうちにやさしく私に寄り添い話を聞いてくれた館長を思い出す。
今日のことを考えていると天から何かが降ってきたように思い浮かぶ。きっと彼は、シトラスの香りだろう。いや、彼が好きな香りではなく、彼が、シトラスの香りなのだ。
私は、シトラスの柔軟剤を入れ洗濯機を回したのだった。