第三章 父と娘の確執
エピソード11
その日の夜、桜井さんは帰り、俺はまたいつものように縁側の中央に座り何年かぶりのたばこを吸う。
あまり怒らない父の怒りに家族は、騒然とするなか、父と娘の関係が崩れる事を良いとは思わない俺はどう修復しようか悩んでいた。こんな状態で未来は結婚など出来るのか。ましてや、お腹に赤ちゃんがいる。そんな事を考えて居たらある声がした。
「お兄ちゃん、驚いたよね。」と未来だった。
慌てて、たばこを消す。
「うーん。これは簡単な問題じゃない。」
と俺はいう。
「赤ちゃんが出来て私、とっても嬉しかったの。だから、お父さんにもこの子を祝福してもらいたかった。ただ、それだけなの。」とお腹をさすりながら、縁側の近くにある柱にもたれ掛けながらゆっくり座りいう。
「桜井さんってどんな人?」と俺は聞く。
すると嬉しそうに未来は俺に話す。
「1年くらい前に、私が働いてる保育園に就職してきて、私が教育担当だったんだけど、直人さん不器用で教えたことまるで出来ない、劣等生だったの。」
「けど、優しくて、子どもが好きで私の病気の事もちゃんと理解してくれて。無骨な人だけど、人の立場になって、物事を考えられる人だなって思ってね」と嬉しそうに語る未来。
「で、好きになったの?」と俺は聞く。
「うーん。そういうこと。」と照れながら未来は応える。
「大丈夫か?また騙されてないか?」と俺は茶化す。
「直人さんなら、一緒にいたいって思えたの。」と未来は話す。
未来が認めた人なら俺はそれで良いと思えた。
「あとは父さんだな。母さんはいいとしても。難解だよ。」と俺はため息混じりにいう。
「直人さんがどんな人か理解してもらえたらなぁ」と未来はいう。
俺はない知恵をしぼり考える。
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