菊の家にて。
「久しぶりに休暇を頂きましたし、掃除でもしましょうか」
と言い、いつものかっぽう着を着て、はたきを手に掃除を始めるつもりでも……
やはりこの人たちは大人しくしているはずはない。
ピンポーン…とインターホンが鳴る。菊にはもちろん察しがついた。
「菊菊〜!」
「遊びにきたんだぞー!!」
「靴脱ぐんだったよね?」
「そうあるよ」
フェシリアーノやアルフレッド、イヴァン、王耀……と続々と菊の家に上がってきた。
「菊、このラビットの人形気になってそうだったから買ってきたぞー」
「お兄さんのおすすめのワインあげちゃう〜♡」
「アーサーさんとフランシスさん、こんなに素敵なものを……ありがとうございます…!!」
「へへ……」
「キモ……今更照れてんじゃねぇよ」
「はぁぁ!?!?俺の自由でしょ!?!?」
また言い合いが勃発した。やはり言い合いに場所は関係ないようだ。
一同が呆れている最中、ルートヴィッヒが声をかけた。
「……菊、本当に邪魔してしまったか…?」
「え?」
「その格好、掃除しようとしていたんじゃないかと思ってな…………」
「あぁ、いえ………私の気まぐれなのでお気になさらず、笑」
いつも迷惑をかけてると感じているのか、今回も……と、少し申し訳無さを感じた面々。
そんな中、イヴァンが
「あ、じゃあみんなで掃除手伝おうよ!」
と呼びかけた。
「あ!いいね〜それ!」
「ははは…菊の秘密を知れるチャンスだ………!!」
「本当に煩悩しかないあるね……」
ということで。
「……、、本当によろしかったのですか…?」
「あのまま帰ったとしても暇なだけだったからね!」
手を止め、アルフレッドが言う。
「うん、暇つぶしに付き合ってると思ってくれればね〜」
次いでイヴァンも。
「皆さん……」
「あ!!!!!」
感極まる菊を他所に、フェシリアーノが大声をあげた。
「どうかしたのか?」
「見て〜!この着物、俺見たことないんだけど!
………すんすん…菊の匂いがする……………♡」
「え……!?!?臭いますか…………!?!?
やはり捨てたほうがよろしいのでしょうか…………」
そっちの〝臭い〟ではなくこっちの〝匂い〟なのだが……という訂正の前に、後半の言葉の方が気になり、
「何か捨てたくない理由があるの?」
とフランシスが問うた。
「これは……頂いたものでして──────────えぇえぇえぇえぇ!?!?」
菊は瞬く間に座らされ、近くで全員の強い視線を浴びせられていた。
「だ、だだだだ誰なんだそれは!?!?!?」
「白状してよねー?」
「他のヤツかよ…!!!菊、俺と最近疎遠すぎじゃないか?俺から乗り換えたのか?なぁ……」
「自意識過剰すぎあるよ」
「あぁん?!?!」
「で、誰なの菊……?」
ごくり……と全員の喉仏が動いた。
「……………………………………………………………王耀さんです」
「「「「「「「!?!?!?!?」」」」」」」
視線が菊から一気に、鋭い眼光に変わり犯人へ向かう。
「王耀だったの……!?」
「残念だったあるねぇ〜………抜け駆けだったあるか〜〜?笑」
「クソ……!!!」
「皆さん……?そこまでされなくても………」
「何を言ってるの菊くん?こんな悪趣味な話ないよね?」
「えっと………どういうことで…??」
「着たの……着たのかい菊……!?!?」
「?は、はい……………、、、?」
「……………っ、///」
急にルートヴィッヒが顔を両手で覆う。
「……どうされたのですか…?少しご様子が……、、」
「そりゃあおかしくなるでしょ!?!?こんな服……!!」
「……普通の着物でしたけれど………」
「本当に違和感なかったの?」
「え、えっと………そうですね……………
、、あまり当時は思いませんでしたが……少し私にはぴったりしすぎていたのかもしれませんね…………」
「そこだよそこ!!!あれだけ菊のこと知ってるかんじなのにサイズが合ってないのはおかしいと思わない!?」
「………確かにそうですね……」
「きっと王耀くんは何気なくこの着物をプレゼントして、一見普通のこの着物を危機感持たせずに、その場で菊くんに着させたんでしょ?」
「ま、まぁ…………はい………」
言い方は少し気になるが、今は良しとする。
「ピタッとしてるから体型は分かっちゃうはもちろんだし、薄いから菊くんの胸の部分とか色々……
わぁーー♡」
「〜〜〜〜〜!?!?!?//////」
熟れた林檎さながらの赤面を両手で覆い、うずくまる菊。
色々と平常ではいられない面々であった。
色々と。
「あいやぁ〜、美味しかったあるよ〜菊…♡」
「お前………!!!!!!」
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