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錆の都へと戻った鋼谷が目にしたのは、かつての活気を失った街の姿だった。建物は寂れ、通りには鋼鉄結社の影も形もない。街全体がどこか不気味な静けさに包まれている。
「これは…一体どういうことだ…?」
鋼谷は状況が掴めず、目の前の異様な光景にただ呆然と立ち尽くした。かつて鋼鉄結社が力を持っていたこの錆の都で、冥王会が強大な力を振るっているという噂は耳にしていたものの、これほどまでに支配が進んでいるとは思わなかった。
街を歩くうちに、ところどころで冥王会の紋章を掲げる者たちの姿が目に入る。かつて鋼鉄結社のために働いていた者たちが、まるで吸い寄せられるかのように冥王会に取り込まれていたのだ。仲間だったはずの顔ぶれが、冥王会の一員として行動しているのを見て、鋼谷は内心で激しい怒りを感じた。
「鋼鉄結社は、こうもあっさりと…」
彼の胸には、当主からの宣戦布告が思い出される。冥王会の台頭がこの宣言と繋がっているのではないかという疑念が、徐々に確信に変わりつつあった。彼らが背後で暗躍し、結社の力を根こそぎ奪い取っていたのかもしれない。
「黙ってはいられない…」
鋼谷は固く拳を握りしめ、かつての仲間たちを取り戻すため、そして冥王会への復讐を誓い、ひとり歩き出す決意を新たにする。錆の都が変わり果てた真相を探るべく、彼の新たな戦いが静かに始まろうとしていた。