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奈美とランチをする日、恵菜は待ち合わせ時刻よりも一時間早く立川に出て、駅ビル内のオシャレな雑貨屋に立ち寄った。
女性が好きそうなパステルカラーの小物やキッチン用品、バス用品など、ただ見ているだけでも楽しい。
店内をウロウロしつつ、何を購入しようか散々迷っていると、恵菜はアンティーク調のフォトフレームを見つけた。
本のような見開きのデザインは、くすんだゴールドの色合いがレトロで、左側に一枚、右側に二枚、写真を入れられる。
(結婚式の写真を飾るのに丁度いいかもしれない。これに決まり……!)
恵菜は、さっそく購入し、ギフト用にラッピングをしてもらった。
お店を出たのが十時五十分。
恵菜はウキウキしながら、待ち合わせ場所の壁画前へ足を向けた。
「恵菜!」
奈美は既に到着していて、恵菜を見つけると、大きく手を振ってくれた。
「奈美! 本当に久しぶりだね!」
二人は手を取り合い、久々の再会を喜ぶ。
しばらく見ないうちに、すっかり綺麗になった親友を見て、恵菜は柔和な笑みを浮かべた。
「今日はイタリアンのお店を予約したからね。全室個室で、雰囲気も素敵なレストランなんだよ」
「本当? すごく楽しみ!」
「この前会った時、私の上司がいたでしょ?」
「うん」
(上司って……私がぶつかった、あの男の人の事……だよね……?)
奈美の何気ないひと言に、恵菜の心臓が大きく弾んだ。
「彼、谷岡さんって言うんだけど、前に谷岡さんが夫と一緒に連れて行ってくれて、お料理もすごく美味しいの」
(あの人、谷岡さんっていうんだ……。でも、何でこんなに……ドキッとするんだろう……?)
純の名字を知った事で、恵菜の鼓動が早鐘を打ち始める。
「そろそろ予約の時間だし、行こうか」
彼女が腕時計に視線を落とし、微笑みながら時間を確認した。
女性らしいデザインの綺麗な腕時計は、ご主人に買ってもらったのかな、と恵菜は思う。
奈美の先導で、二人は他愛もない会話をしながら、予約してくれたレストランへ足を運んだ。