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定正との結婚生活は全てが順調だった、彼との夢の様なギリシャのハネムーンが終わっても、まだ百合は夢見心地だった
まずギリシャから帰って来た時、関西空港で出迎えたのはクリーム色の百合専用のリムジンだった、定正は仕事で別行動をしないといけないと言った、もちろん疲れていたので、百合は彼の館に直帰することを望んだ
「彼はお前の運転手の小保方さん、これからは行きたい所があったら彼に言うといいよ」
「分かったわ、あなた」
百合を乗せたリムジンは市内から東へ向かった、それから40分後、百合の目の前に現れたのは奈良の生駒山の丘の上に建つ、壮麗な館だった、リムジンは鉄製の巨大な門を通ってから石の防犯門をくぐり、手入れの行き届いた杉の並木道を走り、やがて白亜地中海風の青と白の明るい色の建物の玄関口に止まった、玄関柱には2メートルもの目を見張るようなギリシャ風の彫像が幾体も立ち並んでいた
まさにここは定正の館だと思った、この一週間で彼がどれほどギリシャを好きか思い知らされていたからだ、年中青い空、爽やかな風、すばらしい芸術の彫刻品、岩場の傾斜に起用に建てられたおとぎ話に出てくるようなカラフルな街並み
ギリシャの観光スポットにも出て来ない穴場を定正と回ってすっかり百合もギリシャに魅了されていたから、この館もすぐに百合は気に入った
さらに自分の住まいとなる館に入ると、百合は開いた口がふさがらなかった、隆二の六麓荘の館も凄かったが、定正の邸宅の方がとりわけ豪華で立派だった
広大な玄関ホールを抜けると家の中は骨董品や織物や、美しい絵画でそこら中飾られ、テニスコートにパターコース、ヘリポートまであった
居間に入ると三人の家政婦が待ち構えていた
「奥様、ご結婚おめでとうございます、私どもは奥様専用の使用人でございます」
召使い達が深々と百合に頭をさげた
―ええ?私専用の家政婦?―
さらに運転手の小保方が百合のスーツケースを引きずって来て言った
「お荷物運びやどこかお寄りになりたい所がございましたら、24時間私どもが待機しておりますので、これからは何でもお申し付けくださいませ」
「家の中の事は奥様の隣の部屋に私どもがおります、まずはお荷物をほどいて奥様のクローゼットをお衣装でいっぱいにしましょう、それから旦那様は8時にご帰宅されるとの事で、お夕食のメニューのご相談をさせていただきたいと思います」
「どうもありがとう」
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