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Lの仕事を手伝うという条件の下、月は牢獄から出されることになった。職員に目隠しと耳栓をさせられ車に乗せられた月は牢獄を後にした。
「なあ竜崎。目隠しはまだ分かるけど耳栓までいるか?僕はそんなに信用出来ない?」
「いえ、信用しているからこそです。月くんと捜査本部でキラ事件を捜査して、やはり貴方は侮れないと思いまして。月くんは音だけでも何処に連れて行かれたのか分かりそうですし」
相変わらずLが飄々と答える。よく知っている長いこと聞く事の無かった低く乾いた声。先程は気持ち悪いと感じたがもうそんな事は微塵も感じ無くなっていた。月は懐かしいとばかりに頬を緩めその声に浸った。勿論Lには気付かれない様に。
やがて車がゆっくりと停車し、月は着いたんだなと考えながらLからの指示を待っていた。
「着きましたよ月くん、目隠しと耳栓は外してもらって構いません」
「…ん」
目隠しを外した事で外の夜光が瞳を突き刺してくる。月は少し眩しい、と目を細めた。
「ああ、イルミネーションですね。そういえば今日はクリスマスでしたか」
Lが言った様にクリスマスだからか周りの木々ははライトアップされて綺麗なイルミネーションになっていた。その木々の間を手を繋いだ恋人達が甘い雰囲気を漂わせながら歩いていく。遠くからはマライヤキャリーの恋人達のクリスマスが聞こえてくる。月はその光景を少し見てからLに向き直った。
「で、僕がLの仕事を手伝うのはここのビルで合ってるか?」
「はいそうです。綺麗でしょう。月くんの為に手配したんですよ」
「…僕の為に?」
確かに綺麗なビルだ。これなら部屋でも落ち着いて仕事を手伝う事が出来るだろう。Lにそんな気を遣うことが出来るなんて、と月は内心笑った。
「…竜崎、これは」
「驚きましたか?捜査本部と似たような部屋にしたんです。これなら月くんも落ち着いて手伝えるかなと思いまして」
「確かに…そうだな。竜崎もたまにはやるじゃないか」
がじと爪を噛みながらLは月に言った。
「たまにはじゃないですけどね。 ……月くんはまだ竜崎と呼んでくれるんですか。Lでも良いんですよ」
「…いや、僕は竜崎って呼びたいんだ」
「……そうですか」
少し気まずくなった空気を誤魔化すように月は窓の外を眺めた。イルミネーション、か。小学生の時に家族と行ったきりだなと思いにふける。
「…月くん、イルミネーション見に行きましょう」
「え」
「さっきから熱心に見られているようですし、クリスマスなので私も見たくなってきました」
「え、ちょ、竜崎」
Lが月の手を掴みぐいぐいと引っ張る。最初のうちは戸惑っていた月だが諦めたようにLに着いて行った。