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七松が1年生の頃の体育委員長の話
それでも宜しければお進み下さい
「ゆーびきーりげーんまん、うーそつーいたーらはーりせんぼんのーます」
ゆーびきった!
小平太は元気よくそう言って、僕の小指に絡めた小指を解いた。
丸と井桁。昔、僕も着たその柄がよく似合う、明るい子。服に着られているようだった小さな小さなその身体は、いつの間にか大きくなっていた。「せんぱい」とその丸くて大きな目で見つめてくる小平太を、もう可愛がってやれないのが少し悲しい。「卒業しても学園に来てください! わたし、ぜったい強くなりますから!」そう言って僕の小指を勝手に借りてした約束も、もう守れる気がしない。
ああ、今の君には、どれだけの夢があるだろうねえ。三つ目の、若葉色の制服を着る君が見たかった。委員会の後輩はできただろうか。きっといい忍びになるよ、君の後輩なんだから。でも僕は、もうダメみたいだ。体はほとんど動かなくなって、あの日小平太と約束した小指もなくなってしまった。苦無ももうまともに持てない僕は、敵に皆殺しにされる前に時間を稼ぐくらいしかできない。こんな姿、君には見せられないや。
ごめんね。会いに行けなくて、ごめんね。