もりさこの続きです!
(んっ……)
赤い光が頬に差し込む向きになったとき、佐古の重い瞼が開いた
「ここは…」
見慣れのない広い部屋に佐古は戸惑いを見せた
だが、佐古は誰かのベットで寝ており、でこには水で濡らされたタオルが置いてある。横を見るといつも着ている赤のジャケットが少し乱雑に畳まれていた。
誰かがここまでやってくれたのだろう?
あたりを見渡すため体を起こそうとしたが、再び蘇ってきた猛烈な頭の痛みに唸り枕に頭を埋め込ませた。
ふと、扉の方面から聞いただけで肝を冷やすような呪いがかけられているであろう声が聞こえてきた。
「あ、佐古起きたぁ?」
「え、あ、兄貴…?」
佐古は全てを察した。
この男は守若冬史郎。人間を刺し身にするのが大好きな佐古の兄貴分だ。
「ねぇ、もう平気なの?」
佐古はいつも守若に、飛ばされ坂道自転車をさせられたりととても危険なことをさせられているため、目の前に守若が居るだけできっと失神できるぐらい恐怖しているだろう
「も、もしかしてここって…」
「ん?俺の家だよぉ。ここまで運んだんだからなぁ」
「えっ!あ、すみま」
「ゔっ…!」
自分を自分の兄貴分の家に運んでもらったことに対し急いで謝罪をしようと起き上がったが、さっきよりも鋭い痛みの稲妻が頭を支配し佐古はまたもや枕に頭を沈ませた。
「じっとしとけよ?熱38℃もあるんだからさぁ」
話を聞くと意識がなくなった後の佐古を医者には連れて行かず守若の家で看病していたらしい
風邪なんだろうが、完全に独自の判断で動いているため佐古は少し不安になった
佐古の寝ているベットに守若が腰掛けた所で、佐古は質問を投げかける。
「…あ、あの…兄貴、なんで俺が行くって知ってたんすか?今日の朝は、居なかったですよね?」
「ん〜?あぁ、今日朝に久我くんから佐古の様子教えてもらったんだよぉ。で、GPSが指してるとこ行ってみたらお前が道にばったりー」
「…すいません…ありがとうございます」
GPSには触れず、ほんのり熱で赤くなった頬を上げ微笑みながら佐古はお礼を言った
「今、久我くんが買い出し行ってくれてるからちょっと待ってろよぉ」
「えっ、久我の兄貴が」
守若と二人きりでは無くなることがわかり、佐古は心の中で密かに安堵した
「あぁ〜伝説の男が倒れるのかぁ。そのぐらい重症なんだな〜」
「でも一日で復活だぁ!流石伝説〜」
「 ただの風邪の拗らせだと思います…」
子供と戯れているように話していた時、守若のところから機械的な音が聞こえてきた
「あ、この着信音…久我くんだ」
黄土色のチノパンのポケットからさっと携帯を取り、すかさず応答した
「久我くん?どうしたぁ」
「〜〜っ、〜、〜…」
携帯から久我の声らしき小さい音がぶつぶつと聞こえる
「ん〜…ん、わかったぁ」
「ちょっと遅くなるかもだって〜…なんか絡まれたところをシメるのに時間掛かってるらしいよぉ」
ピッと電話を切り、少し悲しげな声で佐古にそう伝えた
安堵した時間は一瞬で過ぎ去り、二人きりの時間が増えると分かった佐古は久我を少し恨んでから絶望した。
「ほ、ほんとですか…?了解致しました…」
しばらく無言状態が続き、一秒でも早く久我が来てくれないかと神頼みしていた時、守若が急に話しだした。
「佐古、俺さぁ…お前が倒れてるの見つけた時さ、なんかすっごい胸が苦しくなってさ」
「 …え?」
「他の舎弟とかが倒れててもあんまり焦んないの。まあ平気だろって。そういうやつは血だらけのボロボロなのにさ、無傷で倒れてるお前の方が心配したんだよねぇ」
佐古の方は向かずに肘付きをしながら真正面を見ながら話している守若の目は、横から佐古が見ていても真剣なのが凄く伝わる目をしていた。
「俺も風邪なのかなぁ…」
自分のでこに手を当て無い熱があるか調べている中、佐古の顔の熱はみるみる上がっていき真っ赤になった
「…あっ、えぇ…?」
「そ、れは…どういう…」
「ねぇ佐古」
「は、い…っ!?」
守若は横たわっている佐古をまるで床に押し倒したようにし、顔と顔の距離を鼻先が当たるか当たらないかのところまで近づけた
「ひっ…!」
「俺、茹でだこ好きになっちゃったみたい」
「…はい?…」
「食べたいな〜…いいだろぉ?」
「え、あ、どうぞ…?でもどういう…」
「あ〜〜んっ」
「ゔあっ!?」
佐古の黒シャツから出ているほんのり赤みが差している首にかぷっと噛み付いた
ビクッと跳ねてもお構いなしに守若はどんどん顎に力を入れていく
「あ、あに、き!!何してっ!」
「いたいっ!痛いですからぁ!」
抵抗するも動く度にくる頭痛で力も出しにくく、しかも、兄貴相手に力で敵うわけなく無意味なことに終わった
(ん〜…茹でさこ美味しい〜)
「っ…!やめっ」グスッ
「!」
佐古は血が滲むほどの首の激痛と全くやめてくれない恐怖に泣き出しそうになってしまった所で守若は口を外した
「あ〜…結構跡ついちゃったぁ…」
八重歯の歯型の傷がくっきりとついた首を指でなぞる
「い゛っ…!」
「ごめんねぇ…もうしないからさぁ」
「…もう嫌いです…」
「そっかぁ…佐古に嫌われちゃったなぁ…」
守若は、眉をひそめ涙目になっている佐古の頭を意味なく撫で続けた
「…」
(本当は…嘘だ、けど…)
佐古は深海に沈むように眠りに入っていった
「…」
「これ、しばらく残るかもなぁ」
「うん!マーキング成功♪やったね」
自分の歯型を佐古に付けることができ、気分がいい守若は眠っている佐古の顔と噛み跡を弄りながら久我が帰ってくるのを待つのであった…
続く…
コメント
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もりさこ最高すぎるよォ!そのままヤんないかなぁ( ᐛ )