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「はるか」
私の名前を呼ぶ声がした。
暖かくて、でもどこか冷たくて。
寂しそうな声。
「……………んもぉ!寂しがり屋だなぁ!!このやろー!!」
そう言って頭を撫でてやる。
「…はるか」
「……んー?どうした?」
「もう、行く?」
オルカの暖かかった声が、3度くらい下がった気がした。
「んー、まぁね。仕事場の問題だよ!!まあまあ!すぐ戻ってくるって!!」
「…………それ、信じる。言葉」
「………おうよ!じゃあまたな!オルカ!」
寂しいね、オルカ。
オルカはまだ小さい子供だ。
冬の季節、オルカを見つけた。
ダンボールに入って寒そうに眠りについていた。
私はそれを見て分かってしまった。
あぁ、捨てられたんだな。
この世界では、産んだ親に感謝する事を”永遠に”忘れてはいけない。
忘れた者は捨てられて当然の世界だった。
私は、世界のルールが嫌いだった。
だから、オルカと名前をつけ、拾った。
最初は警戒されていたけど、時期に慣れた。
それから1年経ち、また、冬が来た。
私は仕事の都合で都会に行かなければならなかった。
「ルージュ」と言う、この世界で1番大きい都市。
オルカに伝えた時は、落ち込んだような顔をしていた。
私は、「捨てないから」と言い、落ち着かせた。
「うぅ〜、寒っ………」
ピコンッ(通知音)
「…………?オルカかな」
「どれどれ…………………は、っ、?っ、母さん、か」
私は、母さんが嫌いだ。
だから、この世界の、親に感謝を忘れるなと言う教育が好きではなかった。
皆、全員、愛されて育つ訳じゃねぇんだよ。
私みたいに、殴られて、感謝を伝えろと怒涛を浴びせられる家庭だってあるのさ。
だから、オルカを見た時、胸が苦しくなった。
私に似ている。いや、私もそうしたかったと。
親に反抗したからオルカは捨てられた。
なら、私だって感謝を忘れ反抗すれば、逃げれたのかもしれない。
まあ、そんなことを考えたって、意味が無いんだがな。
「家に、帰ってこい……ね。はぁー、やだな。本当に……」
スッスッスッ……シュポッ(送信)
「家にはすぐに帰るから。だから、オルカ。まだ待っててね」
ーーーーーーーーーーーー
「はるか、遅い………すぐ、戻る、言ってた」
はるかは、俺を育ててくれた親みたいな存在。
まだ、時計の読み方も、漢字も、分からないけど、はるかと出会えて感謝してるんだ。
それなのに、俺を置いて仕事に出かけちゃうとかさ。
一緒にくる?とか聞けよ、馬鹿。
「………寒い。はるか、大丈夫かな」
ーーーーーーーーーーー
「ふぅー、よし。仕事終了!!……………じゃあ、手短に家に帰るか、はぁ、」
本当に、なんで今帰って来いとか言うんだよ。
オルカと、一緒にいたいのに。
「………………ただいま」
ガシャンッ!!!
「っ、父さん。酒を投げるのは辞めてくれないか…」
「遅いぞぉ!!!早く酒を買ってこい!!!」
酒が臭い。鼻に突っ掛る匂い。
私は、その匂いが嫌いだ。
「………………」
「ぁ?なんだぁ?反抗するのか?親に向かってぇ?なぁ!!!」
「……ふぅー。はいはい、買ってきますよ」
「あら、はるか、来てたのねぇ。母さん嬉しいわ〜。母さんの為の”プレゼント”欲しいわねぇ………?」
「…………はいはい。後でね」
気持ちわりぃ。ほんっとに。
ーーーーーーーーーーーー
ガチャッ
「はい、酒。買ってきたよ」
「お”お、へへっ、サンキューなw」
「ほら、じゃあ母さんにプレゼントしてよぉ?」
「…っ、はぁ」
「……………は?母さんのこと嫌いなの!?ねぇ!?気もちよくしてよ!!!」
「〜〜〜っ!!!!気持ちわりぃんだよ!!!ほんとに!!!ご奉仕しろとか嫌に決まってんだろ!!!」
「…………なによ。私が幸せになるのよ!!?あんたが私の×××を×めたり×××に×れてくれたら私はそれでいいの!!」
「〜〜〜〜っ、」
本当に、私の親はどうなってるんだ。
そんなの父さんにしてもらえよ。
なんで私が、やらなきゃ行けないんだ。
「私は、お前らの道具じゃない……」
「………………あらそう。じゃああんたが気持ちよくなってからでいいわよ。私を気持ちよくするのは♡」
「…………は?ちょっ、!離せ!!」
「なによ!!捨てないだけ感謝しなさいよ!!!これ以上暴れたら父さんに殴ってもらうからね!!」
「っ、」
あぁ、本当に、
ー報われないなー
ーーーーーーーーーー
「……………」
遅いな………はるか
ガサッ…
「!!はるか!!?」
「あ、オルカ……ただいま」
はるかはニコッと笑う。
でもその笑顔はどこか歪で、不安から来ているようだった。
「…………なに、あった?」
「………………………っ、」
はるかは震えている手を必死に押さえていた。
ギュッ
「……!な、なに、っ、?」
「はるか。何あった?教えて」
「っ、それ、は………ごめん。まだオルカには、早い話だよ」
「……………そっか。俺、話せる時、話して」
タッタッタッタッ……
「はっ、はっ、ひゅっ、けぼっ………」
ごめんオルカ。
心配してくれたのに。
でも、オルカが大きくなっても、この話は、出来ないかなぁ、笑。
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題名「この世界で生きるには」