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ガチャッ、ガダガダッ!
「……あれ?」
「どうした、狭いから早くしてくれ」
リアンが何度も押すが、扉が開かない。力任せに押してみたりもしたのだがビクともしてくれず、大きな音だけが虚しく響く。
「……開きません」
「は?」と間の抜けた声を出し、焔が「俺が開ける」と体を無理にずらして腕を伸ばし、扉を押そうとする。体勢の問題も多少はあれど、力自慢的な分類に属する鬼の彼が押しても無機質なロック音が無常に響くばかりで全然扉は開きそうになかった。
「鍵でもかかっているのか?でもそうだとしたって、鍵ごと壊せるくらいには押したぞ?」
そう言う焔の声には焦りが混じっている。狭くって、互いの匂いが充満している室内は心音を早め焔の焦りに拍車をかけた。リアンの勃起しているモノが体に当たり続け、扉を無理矢理開けようともがいているせいで勃起しているモノが擦れて刺激されてしまうのか、ちょっと彼の息が上がってきているのも要因かもしれない。
「——あ!」
「どうした?」
「……もしかすると、コレは」
「コレは?」
「『〇〇しないと開かない扉』系のイベントが発生しているのかもしれません」
「……は?」
何を言っているのか全くわからない焔が間の抜けた声を再度あげた。
「たまにあるんですよ、小説や漫画とかで。カップルなどの二人が狭い空間に閉じ込められ、例えば『キスをしないと扉が開かない』とかいう状況に無理矢理置かれて、『もしかして誰かの監視下にあるのでは?』と動揺しながらも指示に従って行動してしまう、その過程を楽しむ物語が」
「……この状況がもしソレだとして、今のお題は何なんだ?」
「こういった場合はどこかに指示が書いてあるのが常なのですが、……見える範囲にはどうやら無さそうですね。暗くって見付からないだけかもしれませんけど」
「術者はどこだ、俺がこんなふざけた状況を解除してやるっ」
焔が珍しく目隠しに手を掛けて解こうとした。外した姿が気にはなるものの、想像通りなのだとしたら何処にも術者なんぞ存在しないので、リアンがその手を掴んで止めた。
「この世界でこういったイベントが発生した場合、おそらく術者はいないと思います。もうこういうイベントが起きるのは恋愛ゲームの仕様なのだと諦めるしか」
生殺与奪を人に任せるなとでも言うみたいに声を荒げる焔を、リアンは初めて見た。こんな大声も出せるんだ、とも驚き、ポカンとしてしまう。
「……あ、すまん。此処に飛ばされてから、何度も『仕様だから』と諦める事が多かったから、つい、な」
「そうですよね、わかります」とリアンが頷く。
「とにかく、此処から出る為には何かしないとですね」
「何か、とは……」
「流石に私もそこまでは。焔様はお忘れでしょうけど、此処は十八禁ゲームの世界ですからね。やはりエロい事を色々試してみるしか」
「お前のせいで一時も忘れた事なんか無いぞ」
キッパリと断言され、あははと笑いながら、『ですよねぇ』と言いたげな微笑みをリアンが浮かべた。
「じゃあ早速色々試してみませんか?キス、はさっきしたけど何も起きていませんから、もっと違う事を」
「マジか。……いや、まぁ、そうだろうとは思ってはいたが……」
リアンを見上げていた焔の顔が渋いものに変化していく。ナニが起きるのか理解出来過ぎて辛い。
『こんな場所でか?』
『近くにはソフィア達が居るかもしれないのに?』
拒否を意味する言葉ばかりが頭に浮かぶが、口を開いては閉じてを繰り返し、焔は全ての言葉を腹の中へ飲み込んだ。
魔力の補充では無いが、此処から出る為だしな。仕方ない事だと己に言い聞かせ、小さな手をリアンの背中に回して軽くしがみ付いた。
その瞬間、バクンッとリアンの心臓が跳ね、目の前がクラッとフラつく。 ただでさえさっきから勃起したモノが焔の体に当たって気持ちいいというのに、彼の方から抱擁をしてもらえるだなんて、この行為だけで達してしまってもおかしくない程興奮してしまう。テンションが上がりに上がっていった後であれば積極的に行動してくれる事は何度もあったが、まだその時ではないであろうこのタイミングで抱きついてくれただなんて信じられない。 そのうえ、今の焔の格好がより一層リアンを追い立てる。ミニスカートタイプの看護師スタイルで、ガーターリング付きの白いオーバーニーソックスを穿いているせいで、ちょっと手を伸ばしただけで容易く細い太腿に触れる事が出来た。
距離が近くて狭いせいか、焔も多少はこの状況により興奮している様で、撫でた太腿は少し汗っぽくてしっとりと吸い付くみたいな肌になっている。何となく内腿側がより一層湿っている気がして、リアンがニヤリと微笑みを浮かべた。
「もしかして、もう感じているんですか?」
硬く反り勃たせているモノを擦り付けてくるお前がソレを言うのか?と思いながら、「煩い、黙れ」と言いリアンに抱きつく手に焔が力を入れる。下についていないせいで脱げかけていた焔の靴がとうとう下に落ちた。
ふふっと笑い、リアンが何度も内腿を優しく撫でる。でももっとも快感を感じるであろう場所は敢えて避け、意地悪く焔を焦らすつもりの様だ。
「キス、しましょうか」
「……それはさっきもしただろう?無駄だったろうが」
「脱出する為では無く、ただしたいからするんですけど、嫌ですか?」
暗がりだろうがそんな事は関係無く全て見えてしまう焔に対し、しゅんっと悲しげな顔をリアンが向けた。髪色と同じ真っ黒い狐耳を伏せ、いかにも残念がっている風を装う。
「あ、や……別に、そういう事は……」
カッと一気に顔を真っ赤に染め、焔が口元を震わせた。その様子を見て、拒絶では無くただ照れているだけなのだなと悟ったリアンは、焔の太腿を右手で撫でつつ、左手では頰に優しく触れてゆっくりと彼の顔に近づき、唇を重ねた。
最初は数回唇を優しく啄み、もっと深くと強請るみたいにうっすらと開いた口の中へゆっくり舌を滑り込ませていく。熱い口内はたっぷりの唾液で満たされていて、求めに応えるみたいに拙く動く焔の舌がリアンの舌に絡んでいった。何度口付けを交わそうが不慣れな感じがリアンの高揚感を高め、無意識のまま腰を動かして、焔の体に勃起した陰茎をぐりぐりと擦り付けた。
「ふっ……ングッ。んぁ」
甘い声が互いから溢れ出て、もっともっとと深く求め合う。完全にスイッチの入ってしまった焔の顔はトロリと蕩け、力の抜けた体をリアンに全て委ね始めた。
「ま、まだ……扉は開かないのか?」
だらしなく口元から唾液を垂らしながら、焔が訊く。
「この程度では無理じゃないですか?まだキスをして、お遊び程度に触れ合っているだけなんですからね」
クスクスと笑って焔の体を持ち上げ、視線の高さを揃える。自分の脚を軽く曲げてその上に座らせるみたいにさせると、焔の穿いているスカートが捲れてしまった。
「あ……」
「んー。ちゃんと観察出来ないのが残念なくらいの絶景ですね」
脚の上に座らせたせいで体勢が少し辛いが、その分狭い室内に体を預けて重さを分散させる。
「焔様も反り勃ってしまっていますね。アレ?……下着もちゃんと穿いてくれていたんですか」
桜色の短いスカートを持ち上げて捲り、焔の穿いている下着をチラリと覗き見る。すると、絶対に穿いてはもらえないと思っていた白いレースをふんだんにあしらった男性向けのショーツが勃起している焔のモノを可愛く隠していた。
「予想以上に可愛いですね!とってもお似合いです!急いで錬成した甲斐がありました」
「や、やっぱり、この下着を用意したのはお前かっ。何かオカシイとは思っていたんだ」
とてもじゃないがギルドでの販売品だとは思えなかった品なので、当然の疑問だった。だが、それでも穿いてあげる辺り人がいいにも程がある。
「シルク製にしたんで、穿き心地は最高でしょう?」
「……まぁ、そうだな」
背中に回していた手を離し、おずおずとした手付きのまま焔がリアンの胸筋にそっと触れた。
着ている白衣の下は白いワイシャツ姿で、第一ボタンだけが開いている。とまったままになっているボタンに手をかけ、震える指先を無理に動かしながら、焔がリアンのシャツを脱がせるべく外していく。一個、二個と外れ、徐々に肌がはだけていく様子をじっと見ながら、ほむらは無意識のまま腰をゆるゆると動かし始めた。
(興奮してるのか……。あぁ、ホント可愛い鬼だ)
「息があがっていますよ?ただ脱がせるだけで、そんなにドキドキしちゃうんですか?」
着たままでいて欲しいリアンは焔の着ている白衣には手を掛けない。だが、惜しげもなくスカートの中から露出してしまっている陰茎の先をショーツ越しにゆるゆると手の甲で撫でて快楽を与え始めた。
「濡れていますね。もう先走りでぐっしょりだ。太腿まで湿っていたのはもしかして、汗じゃなくてコレのせいだったのかな?」
「お前だって、ずっと勃たせっぱなしじゃないか」
「えぇ、そうですね。でも、こんな狭い空間で好きな人と密着していて、しかもその相手がこんなにもセクシーな格好をしていたら、勃たない方が失礼だと思いませんか?」
「思わないな」
「そんなふうに断言していいんですか?私が意地悪をして、弄るのを止めてしまったらどうするんです?ご自分で擦って出したりするおつもりで?」
「そ、それは……」
震える声でぽつりとこぼし、リアンから顔を逸らす。
「そんな事、恥ずかしくて出来ないですよねぇ。しかも、貴方に好意を持つ相手の目の前で自慰なんて。『見るな』と言っても私が素直に従う訳が無いですし」
亀頭を指先で撫でながら、竿部分を逆の手で掴んで丁寧に擦りあげる。
「んあぁっ!」
布越しなのが少しもどかしく、リアンの着ている白衣にしがみつき、肌の晒された胸元に焔が縋りついた。
右と左で違う動きをされてしまい、腰の動きも止まらず、「あぁ、んあ、いっ……んぐっ」と嬌声にも似た声が出てしまうのを抑えられない。挿入した時みたいに腰を振り、リアンの手を穴代わりにしてしまう。
「えっろ……。ご自分が今何をしているのか、わかっていますか?」
「あ、あ、ぁ……」
悦楽が深過ぎて、リアンの問いに答えられない。もう少し、後少しで射精出来ると思うと、止める気になど全くなれなかった。
なのに、だ。リアンは焔の状態を充分に察しているくせに、パッと両の手を離して焔から悦楽を取り上げてしまう。
「や!あぁ……そ、そんな」
イヤイヤをする子供みたいに顔を横に振り、焔が涙で湿った目隠し越しにリアンの瞳をじっと見上げた。
ゾクッとリアンの背中が震え、加虐心が擽られる。
看護士の衣装越しでもツンッと立っている事がわかる胸の先をギュッと摘んで強く引っ張る。すると焔は「ひっ」と短い悲鳴をあげて背中を反らした。そのせいで後頭部がガンッと道具入れにぶつかってしまったが、どっちも気にする余裕が無い。
「こんなに乳首まで立たせて、どんだけエロいんだよ……全く。体勢的に舐めてはあげられないんで、指だけで我慢しろよ?」
摘んだり、引っ張ったりしながら胸の尖りを丹念にいたぶる。でも射精寸前の勃起した陰茎には全く触れず、完全に放置プレイ状態となってしまった。
「さ、さわ……。リア、ンッ……ソコじゃ、なくぅ」
頭を左右に振って、触って欲しいのはソコじゃないと訴える。でもリアンは素直にそうですかと聞ける気分ではもうなくて、「ソコって?ドコ?言われないとわかんないなぁ」と意地の悪い顔をしながらサラッと言った。
「ま、まて……んんっ」
言葉が出そうになるたびに乳首を引っ張られるせいで言葉が消える。敏感な箇所を強く掴まれているせいで痛いはずなのに、その痛みがやけに心地いい。胸に与えられる強い刺激が腰に響き、焔の陰茎がヒクヒクと物欲しげに揺れている。
「……ナカに挿れたいなぁ」
焔の髪にそっと頰を擦り寄せる。髪も汗で湿っていて、いつもと違う感触なのが、かえって情欲を誘う。
「む、無理……だろ、そもそも体勢、的、に」
途切れ途切れの言葉に対し、「そうですね」とリアンが素直に頷く。この状況下で無くてもどうせ挿れさせてはもらえないと知っているので少しでも期待を抱かせる言い回しは勘弁して欲しかった。
「このままはお互いにキツイし、俺のも脱がしてもらえるか?」
「わ、わかった」
軽く頷き、不慣れな手付きでベルトを外す。穿いているスラックスのファスナーを下ろし、下着も下げると、互いの陰茎が掃除道具入れの中で露わになった。先走りが滴り落ち、焔のモノに負けず劣らず快楽を欲してヒクついている。下着もしっとりと濡れてしまっていて、どれだけ今までリアンが我慢していたのかが丸わかりだった。
焔が自分から体を近づけ、自分とリアンの陰茎をくっつける。小さな手でそっと互いのモノを包むと手を動かして擦り始めた。
「——は⁉︎や、まっ!ちょぉっ」
焦りが前面に出た声を出し、リアンが焔の肩を掴んだ。
自分がやるつもりだった事を焔が先におっ始めてしまった事に対して驚きを隠せない。マイペースに出来ない分、射精のコントロールを自分でやれないのですぐにでもイッてしまうのではないかと思うと不安にもなった。
だが、『止めろ、交代する』とも言えない。あんあん言いながら腰を揺らし、お互いのモノを擦り合わせる姿があまりに刺激的で淫猥で、延々と見続けていたくなるからだ。
(可愛い可愛い可愛いーっ!)
昂り過ぎた感情のせいでズルッと体が下に落ちたが、体の大きさと脚の長さと、場所の狭さとのおかげでほとんど体勢を変えずに済んだ。そんな事が起きた事にも気が付かず、焔はリアンの脚に腰掛けたまま、愛らしい声をあげながら白濁とした欲望を大量にリアンのシャツに向かってぶっかけてしまった。
「……あぁ、んぁ……」
体から力が抜けて焔がぐったりとしている。やっと射精出来た事で得られた解放感が相まってなかなか余韻が抜けず、だらしない顔を元に戻せない。
「あぁ、本当にお前は可愛いなぁ」
耳の近くをそっと撫でて頬に何度も口付けをする。たっぷりと魔力を含んだ精液を飲めなかったのは残念だが、気の抜けた顔を間近で見られる幸せが胸の中を満たした。
「でも、もうちょっと付き合って下さいね。俺はまだイケていないからさ」
興奮で言葉使いが普段と素とがごちゃ混ぜになりながら、陰茎を掴んだままになっていた焔の小さな手を自分の大きな手で包み込んで、強引にまとめて擦り始めた。
「ま、待て。俺はもう——」
精液が潤滑油代わりとなり、さっきよりもスムーズに擦る事が出来てしまう。反り返ったモノがぶつかり合い、刺激され、亀頭は掌の中でぐりぐりと動き、いとも容易く焔の陰茎が硬さを取り戻す。
「んー?まさか『もうイッたから止めろ』とか?そうじゃないよな、こんなふうにまた硬くして、一体何を言おうとしたんだ?」
「あんっ!」
親指でぐりぐりと切っ先を撫でられ、焔の体が激しく震えた。そのせいで二度目の波が襲ってきてしまい全身を支配される。
「キスでもしようか。そんなに甘く叫んでは、誰かに気が付かれてしまいそうだからな」
言葉に従い、素直に焔が口を開き、舌を伸ばしてくる。淫楽に溺れて脳味噌まで蕩けきっている彼の顔をじっくりと丹念に観察して楽しみながら、リアンは優しく唇を重ね、その後は獣のように口内を貪った。後ろに挿れたい欲望を満たせない思いをぶつけるみたいに激しく舐め尽くし、舌先で八重歯を撫でてわざと切る。唾液と血液と舌とを絡ませながら、その味を楽しみ、手では無遠慮にお互いの陰茎を強く擦った。
「も、で、出るっ」
この状況に酔いつつ、焔は二度目の、リアンには一度目の射精の瞬間が目前に迫ってきた。
「好き、好き……愛してる、ほむらぁ」
キスの合間合間で愛を囁くが、焔に届いている気がしない。彼の眉間に深いシワができるばかりで、少しだけ虚しさを感じる。だけど、その言葉はちゃんと焔の胸にも染み込んでいて、ただ返答に困っているだけだった。応じたい、自分だって『愛している……かも、しれない』と言ってしまいたいが、それだと半端過ぎて言うべきでは無い気がするし、リアンの言葉をどこまで信じていいのかも判断出来なかった。
(早く、元の世界に戻って……リアンの真意を知りたい)
恋愛シミュレーションゲームという枠から外れた時にその言葉を聞いて、それから改めて自分の本心を探りたいと思う気持ちが焔の中でより一層強くなる。快楽に浸りきった状態で言われた言葉ですらこれだけ強力なのだ、枠外になった時にその言葉を貰えたら、一体どれだけ心に染み込むのだろうか……と思うと、きゅんっと下っ腹の奥が切なく震えた。『後ろに、リアンの魔羅が欲しい……』とも思ってしまい、必死にその感情へ蓋をする。
駄目だ駄目だ、彼を裏切るわけにはいかない。
この体は一生彼に捧げたんじゃないか——
でも……『彼』とは、誰だ?
思考が理解不能な方向にズレて、一瞬焔の意識が飛びそうになった。が、舌を甘噛みされた事で現実に引き戻された。
「ねぇ、どうせなら、一緒にイキましょ?」
可愛い声で懇願され、口元を震わせながら無言のまま頷いて答える。
そんな返答だったのに嬉しそうに微笑まれ、焔の胸の奥がぎゅーっと苦しくなった。心の中の一番柔らかい場所を鷲掴みされたような感覚が不思議と心地いい。こんな条件下でなければ、思わず焔も『好きになったから、お前の全てを寄越せ』とごねていたかもしれないくらいに。
「リアン……」
「焔……」
名前を呼び合いながらまた口付けを交わす。それを合図としたみたいに手の中でお互いのモノが同時に弾け、熱を持った白濁液を混じり合わせながらドクンッドクンッと吐き出した。
「あぁ……も、無理っ」
体を震わせたまま、リアンの白衣に焔がしがみつく。
「私的にはもっとしたいんですけど……」
「無理だろ、どう考えても」
「でも、まだ出来ますよね?」
ピンッと指先で亀頭を弾かれ、変な声が焔から溢れた。いとも簡単にまた流されそうになったが、ぐっと手前で踏みとどまる。二回も達した直後だったおかげで少し冷静になれたのかもしれない。
「で、出来るからってやれる訳じゃない、だろ。……開くか?コレで」
「あ、はい。確認して——」とリアンが答えつつ、扉を押す。あれだけ頑なに閉じられていた扉が、今回は簡単に開いてくれた。
「どれが正解だったんだろうな?」
「色々やったのでわかりませんけど、最後までしないとダメとかではなくって良かったですね」
「……そ、そうだな」
それすらも流されそうな状況だった事を、焔は黙っておく事にした。
「開いてしまったのはちょっと残念ですけど、服を整えて、クエストに戻りましょうか」
お互いの精液や汗で汚れた服をじっと見て、二人が「あははっ」と笑い出した。
「酷い有様だな、お互いに」
「そうですね。まずは体を拭いて、続きはまた夜にでも!」
「……あ、あぁ、まぁ、うん」
薄暗い室内にあっても尚輝くリアンの笑顔に、焔は抗えなかった。