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翌日、幸雄が田村に何度か連絡を試みたが、取材やテレビ出演などで忙しく、連絡が取れなかった。田村が大地の自宅に連絡を入れたのは、夜の10時を過ぎていた。電話口にはひとみの声がした。
「夜分、失礼します。田村と申します。何度か電話を頂いたのに、こちらから連絡が遅くなってしまい申し訳ございませんでした。その後、大地くんの容態はいかがでしょうか?」と田村は聞いた。
「実は奇跡的に大地は助かりました」とひとみが答えると、
「本当に大地くんは助かったのですか?」と信じられない気持ちで、田村は確認した。
「はい、いろいろとご心配をおかけ致しました」
「いえ、でも、ほんとうに良かったですね」
「ただ一つ、気になったことがありまして」とひとみは不安そうに言った。
「何かあったのですか?」と田村は尋ねると、
「昨日、田村さんが最後にホームランを打った後に、大地の意識が戻ったのですが、その時、大地が夢で田村さんにホームランを打ってくれるように約束をしたと言ったのです」
それを聞いた田村は非常に驚き、
「実は、私も以前に大地くんが見た同じ夢を見ました。その時に私は確かに大地くんと約束をしました。私がホームランを打って、一番になるということです。約束が守れて良かったです。大地くんが退院されたら、また会おうねと伝えて下さい」
「そんなことがあったのですか? 田村さんと大地の話が偶然な事だったかもしれませんが、田村さんには大地の約束を守って頂いたことに大変感謝をしています。大地が退院をしましたら、必ず連絡を致します」とひとみが言った。
そして、二週間後に奇跡的に大地は退院することになった。