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それぐらいキラリと陽子は毎日一緒にいて
キラリはこの家に入り浸っていました
昼間でも日がささない
古くて薄暗い長屋のキラリの家とは違って
この工場は活気づいて人が生きているエネルギーが
していました
数千万もするという研磨機はものすごい轟音をあげて
回転しています
さらに研磨機の奥に事務所・製図部屋がありました
仕事の邪魔にならないように
工場の隅を横切ります
陽子ちゃんがいなくてもここまで来たんだから
おばちゃんに声かけておこう・・・・(・ω・。
キラリは奥の事務所に向かいました
ドアをノックしてガチャと勢い良くドアを開けると
奥の小さな机におばちゃんが座っていました
おばちゃんは机に座り何やら
書き仕事をしていました
伝票には
「請求書」 と書かれていました
そしておばちゃんの頭の上には大きな神棚があり
その横には
福の神様の一人
戎様の絵が飾ってありました
おばちゃんはキラリの方を向かずに言いました
「陽子達はもうすぐ帰ってくるよ
待っていてほしいと言うてましたわ
冷蔵庫にラムネが入ってますさかい
ここで待つよろし 」
「うん」
キラリは今日は帰れと言われるかと思ったのでとても喜びました
そして冷蔵庫からラムネの瓶を出し
飲みながら接客用の革張りの赤茶の
ソファーに腰掛けました
ガチャン、ガチャンとおばちゃんが
大きな数字が刻まれた
請求書の数字のはんこを押しています
今は月末のちょうど集金に忙しい時で
おばちゃんは毎月数十枚の請求書をこうやって
一人で手書きで制作しているのです
今日もおばちゃんはヒョウ柄のTシャツに
黒のスパッツ
頭のパンチパーマは健在で
こうして後ろから
おばちゃんが仕事をしている姿がキラリはとても好きでした
おばちゃんは時には
工場で作業をする時もあり
そこらの職人顔負けの仕事をすることもありました
昔は陽子のお父さん(おっちゃん)と小さな金型屋を初めて
二人だけで毎日毎日金型を作り続けたそうでした
今やその金型屋さんは従業員20人の
中小企業になって、おばちゃん達は昭和の日本でも
裕福な事業主になっていました