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待ち合わせ1.
夜。
駅前。
人通りはまだあるものの、昼間ほどではない。
待ち合わせ時間の15分前。
凛花は先に着いていた。
凛花:早すぎたなあ……。
スマホを見る。
海斗からのメッセージ。
『あと10分くらい。』
凛花:10分か。
返信を打つ。
『了解』
送信。
そしてベンチに座った。
風邪が少し冷たい。
凛花は空を見上げた。
数分後。
足音が近づく。
複数人。
6人。
全員黒い服。
黒いコート。
黒いブーツ。
やたら目立つ集団だった。
凛花:……。
何となく視線を向ける。
すると。
そのうちの一人と目が合った。
性格には。
合いそうになった。
凛花はすぐに視線を逸らした。
ジェシー:あれ?
京本:可愛い子いる。
田中:一人?
松村:待ち合わせっぽくない?
高地:でも暇そう。
森本:声かけてみる?
嫌な予感。
凛花はスマホを見るふりをした。
ジェシー:こんばんは。
凛花:……。
ジェシー:こんばんはー。
凛花:あ、はい。
京本:一人?
凛花:違います。
田中:誰か待ってる?
凛花:はい。
松村:なるほど。
高地:じゃあまだ来てないんだ。
森本:時間ある?
凛花は立ち上がった。
凛花:すみません。
ジェシー:あれ。
京本:帰るの?
凛花:いえ。
田中:じゃあ少しだけ。
凛花:大丈夫です。
断る。
普通に。
はっきりと。
しかし。
6人はなかなか引かない。
ジェシー:そんな警戒しなくても。
京本:俺たち怪しくないよ。
凛花:(十分怪しい)
田中:近くでお茶でも。
凛花:行きません。
松村:即答。
高地:強いなあ。
森本:ますます気になる。
凛花は心の中でため息をついた。
海斗まだかな。
そう思いながらスマホを見る。
まだ来ない。
凛花:本当に待ち合わせなので。
ジェシー:彼氏?
凛花:はい。
京本:へえ。
田中:本当に?
凛花:本当です。
松村:じゃあ連絡してみたら?
凛花:してます。
高地:まだ来ないんだ。
森本:なら少しくらい。
凛花:嫌です。
断る。
断る。
断る。
だが。
全然諦めない。
ジェシー:そんな冷たくしないで。
京本:話だけでも。
田中:ね?
凛花:すみません。
松村:頑固。
高地:逆にすごい。
森本:俺だったら折れる。
凛花は一歩下がった。
6人は一歩近寄る。
凛花:本当に、やめてください。
ジェシー:そんな怖がらなくても。
京本:危ないことしないよ。
凛花:結構です。
田中:うーん。
松村:困った。
その時。
森本:じゃあさ。
凛花:……。
森本:少しだけ。
腕を掴まれる。
凛花:っ!
反射的に振り払おうとする。
しかし。
男の力の方が強い。
ジェシー:大丈夫だって。
京本:少しだけだから。
田中:そんな警戒しなくても。
凛花の表情が固まる。
海斗。
その名前が頭をよぎった瞬間。
別の手が伸びた。
凛花の腕。
掴まれているその腕。
その上から。
強く。
確実に。
掴む手。
海斗:離してもらえます?
凛花:……!
海斗だった。
いつの間に来たのか。
真横にたっている。
海斗の目は笑っていない。
ジェシー:あー。
京本:彼氏?
海斗:そうです。
凛花の腕を引き寄せる。
自然に。
自分の後ろへ。
海斗:俺の彼女なんで。
静かだった。
でも。
妙に迫力がある。
田中:おっと。
松村:本当にいた。
高地:失礼しました。
森本:ごめんね。
海斗:分かったなら。
ジェシー:はいはい。
京本:撤収。
6人は顔を見合せた。
そして。
あっさり離れて行く。
凛花:……。
海斗:大丈夫?
凛花:うん。
海斗:怪我ない?
凛花:ない。
海斗は少し眉をひそめた。
海斗:怖かった?
凛花:ちょっと。
海斗:ごめん。
凛花:海斗が謝ることじゃない。
ようやく安心する。
肩の力が抜けた。
凛花:助かった。
海斗:当たり前。
凛花:かっこよかった。
海斗:今言う?
凛花:今言う。
海斗:そうか。
少しだけ笑う。
そして。
2人は歩き出した。
終わった。
そう思っていた。
だが。
違った。
数分後。
海斗:……。
凛花:……。
後ろから。
足音。
6人分。
凛花:海斗。
海斗:分かってる。
振り返る。
そこには。
さっきの6人。
待ち合わせ2.へ続く―
コメント
3件
第8話、読み終わりました!海斗がタイミングよく現れるところ、めっちゃかっこよかったです。「俺の彼女なんで」の一言、短いのに重みがありましたね。でも最後の「違った。足音」で次の話に続く終わり方、続きが気になりすぎます……!あの6人、また戻ってくるんでしょうか?凛花の強いけど怖がる繊細さも伝わってきて、早く次が読みたいです!