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次の日、パーティ当日。
ホテルの中ではアリスとフランソワがソファに座っていた。フランソワはしっかりとメイクもドレスも出かける気満々であるが、アリスはいつもと全く変わらない。
「アリスが行くために、アーサーも来たんでしょう。あんたが準備しなきゃ意味ないじゃない」
厳しい声でそう言った。
「私から頼んでなんかないってば。もうしつこいわよ」
「はぁ,,,」
ため息をついた頃に、コンコンとドアのノック音がなる。フランシスであった。
「こっちはもう出るよ」
「,,,私も出るわよ」
「,,,,,,アリス、アーサーはもう車の中に入ってったよ。多分時間の時だけ外に出るだろうけど出かけてもアルフレッドの用意した休憩室にずっといるだろう。もし、居心地悪ければそこにいればいい。準備して、ちゃんと来なよ 」
パタンと扉が閉じた。アリスはもう一度招待状、そしてある箱を見つめる。
パーティ会場は賑わっている。ニコニコと談笑している者もいれば、ひたすら口に物を入れている者もいる。アルフレッドである。
「ちょっとアルフレッド」
スパンと頭をエミリーに叩かれた。
「なんだい!朝から何も口にしていなかったんだからこれぐらい許してよ!」
「お客さんが沢山いるの!言われたでしょ!?これが終わったら自由にしていいからそれまでは御挨拶ねって上司に!」
「ぐ、ぐぅ,,,」
メソメソとしているアルフレッドに箱がずいっと近づいてきた。
「であれば、これはちょうど良いプレゼントになったようですね」
「菊!それに、桜じゃないか。着物似合っているぞ!」
「ふふふ、どうも。口がお達者になられたようで」
「本心だからそんなこと言わないでくれ!」
「今日はおめでとうございますエミリーさん」
「うんありがとう桜」
「開けてみていいかい?」
「どうぞどうぞ」
箱を開けてみると、中身は大量の日本のお菓子。この物価高にこのプレゼントは嬉しいものであった。
「他の方と違って庶民のようなプレゼントにはなりましたが,,,どうぞ我が子たちの作ったお菓子を食べてください。自慢の我が子ですのでね」
「もちろんさ!ありがとう」
お礼も言ったところで菊をつれて少し離れる。
「桜、連れてきてくれたんだね。ありがとう」
「なんのなんの。確かに外に出るのは嫌いな桜ですが、まあ引き換えの物があれば出る子ではあるので。ご心配なさらず。」
「引き換え?」
「まあまあ」
絆されたところで菊はキョロキョロする。
「ところで、この企画の要の淑女は?」
「,,,まだだよ」
少し顔が曇ったところでポンポンと菊が肩を撫でたところにドスンと首を掴まれる。フランシスだった。
「よー!なにそんな顔してんだよ!」
「ふ、フランシス!」
「まあ心配すんな。アーサーはいつも通り、あそこだよ。パーティが終わったら迎えに行きな?」
「ああいつもありがとう。それで,,,」
「,,,,,,まあ、来てくれるとは思うんだけど」
「やっぱり,,,」
「そんな顔すんな。でも、フランソワが手を挙げたくらいだからどうなるかは俺には分からん。全て神のみぞ知るところだな」
「,,,,,,やっぱり俺たちが悪かったのかなぁ」
「何にも悪くない。ほら見てみろ」
フランシスの指さす先はアメリカ国民が楽しそうに笑っているところであった。
「あのとき、お前が決断しなければ。エミリーが着いていくって髪を切らなければあんな素晴らしい笑顔は作れなかった。菊ちゃんもそう思うだろ?」
「その通りですね」
「,,,そっかぁ」
そしてパーティの終わりが近づいてくる。アルフレッドはエミリーの顔を覗きに行った。
「,,,なによ」
「メイクが落ちてないか心配で!」
「失礼よ!」
パチンと頬を叩く。そこからはサッとのいたが、ずっとエミリーはキョロキョロしていた。
「あの子、ずっとこうよ。ずっと、アリスを待ってるのに。あのアリスったら,,,」
「,,,フランソワァ。あそこに沢山男がいるじゃないか。スペイン達もいるから行ってきな」
「まあ本当に!」
「ふぅ,,,」
息をついたところで少しフィナーレまで時間があるなと思ってアーサーのいる休憩室へ向かった。
「失礼するよ」
そこにはアーサーがいつも通り横たわっていた。床に膝をついて顔を見る。いつも通りの顔の悪さであった。
「なんで来てんだよ,,,まだパーティは終わってねぇぞ,,,」
「まあ暇だからね。様子でも見に来てあげようかと思って!」
「,,,変わらねぇな,,,」
ゴホゴホと咳き込んだ時、アーサーの目が見開いた。そして寝転んでいた姿勢を起こし立ち上がる。もちろん、立ちくらみをして倒れた。
「ちょっと!急に動かないでくれよ!」
「あ、あそこの,,,ガラスまで連れてってくれ,,,お願いだ,,,」
「,,,?分かったよ」
そのガラスは会場が一望できる最高のスポット。出てこれないゲストの為に用意した休憩室であるからね。アーサーを抱えながら自らもそのガラスから会場を見渡した。
「,,,はは。まさか、そんなことがね」