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「うーん、複雑な気分になります」
美洋さんは、ちょっと顔をしかめる。
「今までは、そういう態度を見せた男の子には近づかないようにしていたのですけれど、ちょっと申し訳なかったでしょうか」
「そこで申し訳ないと思うのが、多分美洋さんの品の良さというか、育ちの良さなんだろうと思う。でもその辺の好き嫌いは、個人の感情でやっていい部分だと思うよ。もちろん、クラスメイトとしての最低限の付き合いは別としてさ」
「そうですね、そうですよね」
うんうん、と美洋さんは頷いて、ちょっと考えるように頭を傾けて。
そして僕の方を見る。
「それなら、悠さんに質問してみて宜しいでしょうか」
えっ? 何だろう。
「いいよ」
そう答えておくけれど。
「さっきの話の続きです。他の人から見てというのではなくて、悠さんの目から見て、悠さんの判断で見て。私って、家柄抜きでも魅力的な女の子に見えるでしょうか」
何か、微妙に危ない予感がしてきた。
「勿論」
そこは迷わず答えるけれど。
「なら、質問その2です。悠君から見ても、私は魅力的な女の子に見えますか」
「勿論」
だいぶ危なくなってきた気がする。
「その3。それなら、私を悠君の恋人にしてくれますか」
これは危険な質問だ。
こういう場合の上手い手のストックなど、当然僕には無い。
なので、ここは真っ正直に答えるべきだろう。
「僕は今のところ、まだ誰かが好きとか誰かと一緒にずっといたいというのは無いかな。だから恋人って言われると、ちょっと考えてしまうわけで」
あ、助け船がちらりと見えたような。
正確に言うと、助け船と言うより狐火だけれども。
僕の予想では、きっとそれだけじゃ無いだろう。
だから、ちょっとばかり安心すると共に、今の現状の本音を、思うとおりの言葉で言ってみる。
「例えば、僕は割と彩香さんと一緒にいることが多い。でも彩香さんが恋人かというと、それもまた違うと思う。彩香さんも充分、魅力的な女の子だけれどね。
美洋さんだって同じ。充分に魅力的だけれども、まだ恋人という段階じゃないと思う。その辺は未亜さんとか亜里砂さんも同じ。
という事で。そこで覗き見している多分3人、そろそろ出てきて欲しいな」
「えっ」
美洋さんは、気づいていなかった模様。
「美洋さんの調子がおかしいとか、心配な感じだとかで様子を見ていたんだろ。とりあえず、未亜は狐火が見えたから確定。あと、間違いなく亜里砂もそこにいるだろ、性格的に。2人がいれば、当然、彩香さんもいるだろうし。
別に覗きを怒ろうとか思っていないから、素直に出てきなさい」
「はーい、なのだ」
わざとらしく、亜里砂さんが返事をして、
予想通りの3人が出てきた。
まったく。
油断も隙もありゃしないが、今回は助かった。
これ以上話が面倒になる前に、これで切り上げられるから。