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(紗代子)「……」
お父様が亡くなってから1ヶ月。
もうすぐ春がやってくる。
(紗代子)「……」
ブンッ!
(紗代子)「はぁ、修行はこれくらいで」
(紗代子)「お茶でも飲もう。」
(真一郎)「巫女様」
(真一郎)「お久しぶりです」
(紗代子)「あら、久しぶりね」
(紗代子)「最近、村に行けなくてごめんね」
(真一郎)「いえ、いいです。」
(紗代子)「村の様子はどうなの?」
(真一郎)「……みんな、心配しています」
(真一郎)「巫女様の姿が見ていないと」
(紗代子)「……」
(真一郎)「お父様が亡くなられてから」
(真一郎)「ずっとここにいますね。」
(紗代子)「たまには妖怪を退治にしてるわ」
(紗代子)「ずっとここにはいないのよ」
(真一郎)「……」
(紗代子)「……それに真一郎」
(紗代子)「9歳になったのね。」
(真一郎)「……ありがとうございます」
(紗代子)「大きくなって嬉しいわ」
(真一郎)「……巫女様は」
(真一郎)「どうして子を産まないのですか」
(紗代子)「……やっぱりそう言うか」
(紗代子)「……」
(紗代子)「みんなが言ってるの?」
(真一郎)「はい」
(紗代子)「……」
(紗代子)「そうね」
(紗代子)「私が子供を産まない理由は」
(真一郎)「……なるほど」
(真一郎)「それで決断したんですね」
(紗代子)「ええ」
(真一郎)「言ってくれて良かったです」
(紗代子)「え?」
(真一郎)「巫女様は抱え込みすぎるんですよ。いつも巫女としての顔をしてて……」
(真一郎)「たまにはゆっくりなされてもいいかと思うのですが……」
(紗代子)「……そうね」
(紗代子)「6歳から博麗の巫女になって」
(紗代子)「ゆっくりとした時間はなかった」
(紗代子)「……たまにはいいわね」
(真一郎)「……」
(紗代子)「ありがとう、真一郎」
(紗代子)「この事は私から伝えるわ」
(真一郎)「今から行かれるのですか?」
(紗代子)「ええ」
(紗代子)「さぁ行こうか」
(紗代子)「村へ」
(真一郎)「あっさりにみんな分かって頂けて良かったですね。」
(紗代子)「ええ、本当に」
(紗代子)「てっきりに嫌われるかと思った」
(真一郎)「……そういえば」
(真一郎)「常に紗代子の腰にある刀は」
(真一郎)「何を使っているんですか?」
(紗代子)「ああ、これはね」
(紗代子)「刀よ。」
(紗代子)「先祖代々から受け継がれてきたものよ。形は違うけど。」
(紗代子)「個人が使いやすくなるために形が変わっているからだよ。」
(紗代子)「相性を合わないとだめだから」
(真一郎)「そうなんですか……」
(紗代子)「妖怪を退治や異変解決をするために使っているものよ。お祓い棒も使っているわ。」
(真一郎)「なるほど……その剣の名前は?」
(紗代子)「え、これ?」
(紗代子)「特にないわ」
(真一郎)「……じゃあ、俺がつけましょうか」
(紗代子)「好きにするといいわ」
(真一郎)「……そうですね」
(真一郎)「もうすぐ春がやってくるから」
(真一郎)「さくらでどうでしょうか?」
(紗代子)「いいんじゃない?」
(紗代子)「気に入ったわ」
(真一郎)「この刀の名前は先祖から決めていないのですか?」
(紗代子)「ええ、決めてないわ」
(紗代子)「私が初めてよ」
(真一郎)「ってことは俺は名付け親ですか」
(紗代子)「ふふっ、そうね」