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朝の光が、黄金の仏塔に反射していた。
十八世紀、東南アジア・サイアム王国。
海岸都市・アユタヤは、交易の要として栄華を極めていた。近隣を行き交う交易船の帆に風がはらむ。岸辺の市場から、人々の熱気が広がる。
アユタヤの南、三千人の女子どもが暮らす後宮は、一つの都市の様相をなしていた。
高床式の宮殿群が、回廊で繋がれ、その外れに小さな市が立つ。仕立て屋が布を裁ち、寺院があり、南国の果物を山盛りにした露店から、スパイスが香る。
警吏も裁判官も、門番に至るまで——すべてが女で構成された、壁の中の街。
この街に成人男性は、二人と、半分。
後宮街と外界をつなぐ、唯一の門——高さ四メートルの重厚な鉄扉で、海岸に続いている——の内側。眼光鋭い十代後半の女と、十代半ばの少年が寄り添っていた。
「プロイ姉様。お祭りの日まで、お仕事?」
「こんな日だからこそ、だろ。この後宮に仇なす者は……ヤドカリ一匹、通しゃしないよ!」
女の名はプロイ。褐色の肌に、黒髪を後ろで無造作にくくっている。切れ長の瞳は朝の光を受けて琥珀に透け、しなやかに鍛え抜かれた四肢を、警吏と同じ制服――淡い象牙色の、サバイと呼ばれる肩布と、深海のようなブルーの袴状の下衣――で、覆っている。
たった一人で、後宮街を守る番人。人呼んで、”唯一にして最強の門番”。
(前世同様、天職だぁね。今世は門番とは)
プロイは門に背を預け、大通りを眺めながら口の端を吊り上げた。門の外から、寄せては返す、とめどない波の音がする。
プロイには前世の記憶がある。
日本の麻薬取締官——通称マトリであった頃の記憶だ。薬物犯罪の捜査と摘発を専門とする、国家の影の番人。潜入捜査、おとり捜査、張り込み、情報提供者との連携。麻薬の密売ルートを追い、製造拠点を叩き、末端の売人から元締めまでを追い詰める。
最初は『ドラマで見たマトリが、ヒーローみたいで格好良かった』という、軽い理由で選んだ職だったが、最後は天職だと思えた。走ること、戦うこと、悪を暴くこと。ふとした心の弱さに忍び寄る麻薬という罠を、あらかじめ排除すること。その仕事は、取り立てて優れたところのない、不器用な自分に意味をくれた。
『生まれ変わったら、次こそは最後まで仕事をしたい。仕事だけが、私をヒーローにしてくれたから』
殉職の際に吐いた願いを、異界の神仏様が拾い上げたらしい。気がつけば時代を遡って、この異界にいた。
ちなみにこの異界は、前世の世界と地理や歴史は似通っており、サイアム王国は二十一世紀の地理でいうと、タイあたりらしい。時は十八世紀。大航海時代が終わり、東洋と西洋文化が混ざり始めているのも、前世同様だ。
異なるのは、巨大な騎鳥や、妖、神獣の類が存在する点と……何故か海面が上昇しており、アユタヤが海に近い点くらい。
二度目の人生でも、プロイのすることは変わらない。怪しい存在を通さず、後宮街の秩序を維持する。前世で鍛えた能力は、この世界でも役に立った。
「門を閉めた後でいいからさ。僕と、空の視察に行こうよ」
見上げてくる、黒目がちな少年の瞳。髪を刈り上げ、頭の上に髷を結う子ども特有の髪型だが、端正な顔立ちのためか、しっかり格好がついている。日焼けした肌に、上質な緑の肩布を纏う。最近、露出した肩や胸板に、若い女官たちが熱い視線を送っていることに、プロイは気づいていた。
「私じゃなく、海を音でしか知らない王女様を……いや、かえって酷か。あんな鮮やかな青を、見るだけで触れられない、なんて」
「後宮に囚われるのは、体だけではなく、心も、なのかもね。でも……姉様が望むなら、僕がこの壁を全部壊すよ。次の王妃はきっと、こんな小さな街には、収まりきらないし」
「バカ言うな。そうなると私は失業……。しっ、タヤン様、静かに。妙な気配だ」
プロイの視線の向こう、大通りに人波が膨れ上がっていた。
人々の頭上に、悠々と中央通りを歩いてくる白象が見えた。かすかに、ごく微かに、歩調が乱れている。象使いの掛け声との呼吸が、半拍ずれている。
(変だな、象使いと息が合っていないみたいだ)
今日は白象の祭典だ。白象はサイアム王国において最も神聖な生き物であり、国王の権威そのものを体現する。傷つけた者は死罪。餌は国家予算から特別に計上され、専属の侍従が二十四時間体制で世話をする。後宮の女たちにとっては一年で最も華やかな日——そのはずだった。
法螺貝の音が、低く長く響き渡る。
近づいてきた白象は純白の巨体に金の飾り布を纏い、象牙に宝石をはめ込まれていた。額には真紅のビロードが掛けられ、金糸で王家の紋章である神鳥が刺繍されている。象の重い足音が石畳に響くたび、群衆がどよめく。象の背には、御簾のかけられた座席が乗っている。
プロイは御簾ごしに、象使いの顔色を伺うが、遠くて良く見えない。
異変は、急激だった。
白象の穏やかだった瞳が、ぎょろりと動き、赤く充血していく。鼻が大きく振られ、太い前足が石畳を踏み砕く。破片が宙を舞った。
悲鳴のような咆哮が大気を引き裂いた。
(白象様の暴走!)
「逃げろーっ!」
群衆が蜘蛛の子を散らすように駆け出す。石畳の上に人が転倒し、泣き叫ぶ声が重なり合う。
「いったああああい!」
「危ない!」
露店の屋根が踏み潰され、果物と陶器が砕け散る。白象は興奮し、訳が分からなくなっているようだった。華やかに着飾った象使いが、人形のように座席から落ちるのが見えた。制御を失った巨象は、破壊の軌跡を描いて突き進む。
ふと。プロイの視界が、一点に集束した。
象の進路のまっただ中——幼女が座り込んでいた。腰が抜けて動けない。涙で顔をぐしゃぐしゃにして、声にならない悲鳴を上げている。小さな両手が、砕けた石畳を掴んでいた。
考えるより先に足が動いた。
人垣を突き破り、迫りくる白象に向かって全力で走る。地面が揺れる。香辛料の屋台を飛び越え、転がった壺を避けて加速する。
象は幼女のすぐ近くまで来ていた。プロイが駆け寄ると、象の巨大な黒い影が、プロイと幼女を塗りつぶした。
子どもの身体をかき抱き、石畳の上を転がるように走る。小さな身体が腕の中で震えている。
(だめだ、間に合わない!)
背中を、灼熱が打つ——振り下ろされた象の前足だ。衝撃で身体が跳ね飛ばされ、石畳に叩きつけられる。
(この子だけでも……)
プロイは覚悟を決め、幼女を自分の身体の下にかばうように抱きしめた。
——しかし、二度目の衝撃は襲ってこなかった。
代わりに、象とプロイの間に、ザッと、風の気配が通り抜けた。
おそるおそる視線を上げると、巨大な騎鳥――シアが象の周囲をなだめるように舞っていた。青と金の羽根を広げた、孔雀に似た——しかし遥かに大きな鳥だ。翼が風を巻き起こし、砂埃が渦を描く。
象は騎鳥に気を取られている。興奮は少しだけ落ち着いたようだった。
その隙に、プロイは幼女を母親に引き渡す。母親が泣き崩れながら娘を抱きしめるのを見届け、プロイは息を吐いた。
(……ちょっとは、ヒーローに近づけたかな)
「ねえさまー、だいじょうぶー?」
上空から少年の声が降ってきた。騎鳥の背に、きらきらした瞳の少年が乗っている。心配と興奮が入り混じった顔で、プロイを見下ろしていた。ふわりと騎鳥が地上に降りていく。砂塵が薄く舞い上がり、少年は待ち切れないかのように、その背から飛び降りた。軽やかにプロイの元へ駆け寄る。
「さすが姉様、象に向かって走るなんて。ホント、姉様といると退屈しない」
満面の笑みで言ってから、タヤンは少しだけ声を低くした。
「でもさ、もうちょっと慎重になってほしいな。姉様がいなくなったら、僕、何もかも手に入りすぎて、何もかも上手くいきすぎて、つまんなくて死んじゃうよ」
いつもはひたすら無邪気な少年の瞳に、微かな影。
「……タヤン・ナ・アユタヤ王子」
私は怒っているぞ、と伝えるために、プロイはフルネームを呼んだ。膝の皮が剥けているが、痛みなど気にしていられない。
「あんたこそ、王子が何やってんだ! 象に近づくな、シアから飛び降りるな! 御身に何かあれば……っ」
「……姉様に言われたくないかなぁ」
タヤンは砂埃のなかで笑った。屈託のない、子犬のような笑み。
「……礼を言っていなかった。悪い、遅くなった。一応、助かったような気がしなくもなくて」
素直に礼一つ言えないのだから、プロイは意地っ張りな自分がちょっと嫌になる。視線を逸らし、後頭部を掻いた。
青い鳥がツンツンと、プロイのむき出しの肩をつつく。プロイは微笑んで、シアにも礼を伝えるように、頭や羽を撫でてやる。青みがかった目が、気持ち良さそうに細められた。
「お礼は、王宮のテラスでのお茶一回でいいよ」
妙に大人びた笑みで、タヤンは濃い睫毛を瞬かせた。潤んだ瞳が、午前の陽光を受けてきらりと光る。
「そうと決まれば、さっそく——」
楽しげなタヤンの声は、群衆から飛び出した女性の悲鳴と、それに続くどよめきにかき消された。
——泣き顔の女性が駆けていった先。人々の輪の中心に、ひとつの遺体が横たわっていた。
象の背の座席から転落した、象使いの女。
周囲は『象の暴走の巻き添えで死亡した』と見なし、早々に遺体を片付けようとしていた。『祭典で人死とは……』『気の毒に……』と女警吏たちが暗い声で言い交わす。身内らしい女性が、追いすがっている。震える手で、遺体の肩を掴み、名前を呼び続けていた。
プロイは門柱まで駆け戻り、重い門扉を閉ざしてから、遺体に近づいた。
遺体の傍らには、誰かが手向けたのか、名もなき野花がそっと置かれていた。この街の人々は、たとえ見知らぬ死者であっても、その魂が迷わず次の世へ旅立てるように祈りを捧げる優しさを持っている。
プロイは膝をつき、首筋に指を当てる。脈はない。
かすり傷のようだが、遺体は腕から出血していると、プロイは気づく。
プロイの喉が、引き攣った音を立てた。
(こんな僅かな血液に、動揺するな。私は、後宮の門番だ)
プロイは強く奥歯を噛みしめた。
(血液は、ただの液体だ。赤いのは、ヘモグロビンのせいで……私はそれを知っている)
理性で感情をねじ伏せようとする。だが、身体は正直だった。指が、動かない。
プロイには——実は、血が怖いという弱点がある。
元麻薬取締官でありながら、未だに出血した遺体を直視すると、胃の底が冷たくなる。
前世でもそうだった。最初の現場で出会った、幻覚に苦しみ飛び降り自殺した少年の、頭部血まみれの遺体が、頭から離れない。その後も、血の色に染まった現場に出るたびに、帰りの車内でハンドルを握りしめ、密かに吐いていた。
バサリ、という音と共に、突然眼の前が暗くなった。
「見なくていい。姉様、後はもう警吏に任せなよ」
タヤンがサバイを脱ぎ、プロイの顔にかけていた。
「いいや。私だって、この街の守り手だ。……もう、血を見て泣いているだけの、子どもじゃない」
10年前。眼の前の、何もかも恵まれているのに何も欲しい物など無かった少年ごと――この地を守ると、決めたのだから。
自分を門番の職に導いた誓いを思い出しながら、プロイはサバイをタヤンに返した。
再度遺体に手を伸ばした。
皮膚はすでに冷たい——冷たすぎる。灼熱の午前中にもかかわらず、遺体の体温は異常に低い。
(亡くなってすぐ、こんなに体温が下がるはずがない……。日本だったら、夏なら一時間に一度ずつしか下がらないと、聞いたことがある。タイ……じゃないサイアム王国ならもっと、気温が高いんだから——この体温はおかしい)
遺体に顔を近づけた途端、その口元から場違いな甘い香りが漂ってきた。
プロイの手が止まった。
(……プルメリア?)
白い五弁の花。舶来の、甘美な香り——家に植えれば災いを招くとされ、民は忌む。死者を弔う寺院や、薬草園以外では、あまり栽培されていない。信心深いサイアムの民が、綺麗だからなどという理由で、まずプルメリアなど身につけたり育てたりはしない。
(……街の東の薬草園には、咲いていたはず。でも、今いるのは南にある門。なぜ遺体から、東の薬草園の花の香りが?)
さらに遺体の口元に顔を近づけた。微かに——ジャスミンに似た、しかしもっと青臭い、甘い香りが口腔からたちのぼっている。
プロイは立ち上がった。張りのある声が、祭典広場に響き渡る。
「全員その場を動くな! ご遺体に触れるな! これは……事故に見せかけた、殺人かもしれない!」
空気が凍りついた。群衆がざわめく。
祭典を仕切っていた侍従長——四十代の痩身の女が、華美な衣装の裾をさばきながらプロイの前に立ちはだかった。金糸で花を織り出した衣が、陽光を受けてぎらりと光る。
「たかが門番が。何を世迷言を」
「不自然なほど、ご遺体の体温が低下している。それに、プルメリアみたいな香りも。何らかの毒による、他殺の可能性がある」
「どうやって証明する? 証拠もなしに祭典を止めた責任、お前が取れるのか」
プロイは唇を噛んだ。
サイアム王国に検死制度はない。この時代、この国では科学よりも占いが信じられている。解剖や毒物検査という概念すら、ほとんど浸透していない。
「……証拠さえあれば」
爪が掌に食い込む。
(こいつらを、黙らせられるのに——)
万事休す、か。
「ナーガ様が……でなければ」
タヤンの呟き。プロイの脳裏に、巡回中の記憶が蘇った。女官たちの噂話。何度も耳にした名前。
『ナーガ様は、万病を治す』
『でもあの方、もう何ヶ月もお部屋から出てこない』
『オランダから来た方らしいけど……眩いほどの美しさ』
王宮筆頭医学顧問、ナーガ。以前、後宮内の薬物横流し事件を調べた際に名前を書類で見た。毒物と薬物の権威。遺体の声を聴ける、後宮街の数少ない男性。
「よし。……ナーガ様、確保ぉ!」
プロイは走り出した。宮殿の回廊を全速力で駆け抜ける。柱が次々と後方へ流れ、女官たちが慌てて道を空け、鶏が羽ばたいて逃げる。回廊の天井から吊るされた蘭の鉢が揺れ、花弁がひらひらとプロイの背後に散った。
「……『確保』って、麻薬とか、犯人とかに使う言葉じゃないの?」
呆れながら、タヤンもついてきた。プロイの背を追いかけ、風を切って走るタヤンの顔には、困惑と——隠しきれない高揚が浮かんでいた。
*
東棟。後宮の奥深く、他の棟とは少し離れた場所に、ナーガの私室はあった。
扉の前に、護衛が一人、立ちはだかった。
「立入禁止だ。ナーガ様は体調を崩されて——」
「引きこもりの医学顧問様に、随分な警護だな! 緊急事態だ! 退いてくれ!」
プロイは、護衛を躱すと、一拍の躊躇もなく——扉を蹴破った。
薄暗い部屋。窓という窓に厚い布が垂れ下がり、陽光を完全に遮断している。目が慣れるにつれて、部屋の全貌が浮かび上がった。壁一面を埋め尽くす棚には、銀の器具——乳鉢、蒸留器、天秤——が整然と並び、乾燥した薬草が天井から吊り下がっている。ターメリックの根の黄、バタフライピーの花の青。
壁際には、無造作に宝箱と、宝石が積まれていた。虹色に輝くダイヤモンド、情熱の赤を放つルビー、穏やかな翠を湛えるエメラルド。金貨や銀貨は、年代も出自も異なるものが混ざり合い、流れを止めた川のように落ちている。古代文明の遺物と思しき精巧な金杯や、怪しげな光を放つ魔剣も、財宝の山に埋もれていた。
(偽物……だったら、そのほうがいいな。何がいいって、私の心臓に、いい)
門番とはつまり、この財宝をも守っているのだ……などと考え始めたら、プロイの心に安寧の日は二度と来ない。
宝の山と薬草にうずもれるように、寝台の上に一人の男が横たわっている。
色白で長身。銀色の長い髪が寝台の縁からこぼれ落ち、光沢を帯びて薄闇に浮かんでいる。薄い絹一枚を纏った肌は雪のように白く、南国の空気の中で異質なほど冷ややかに映った。外見は二十代後半。輪郭は彫刻のように整っている。そして——目。薄く開かれた瞳の色は青で、淡く白い靄がかかっていた。
彫りの深い美貌は、確かに西洋風ではあったが、すでに人の領域を越えたかのように完璧だった。
「……誰ぞ、不敬な」
ナーガの声は低く、棘がある。霞がかったナーガの目が、プロイの輪郭をぼんやりと追う。
(見えていない、のか?)
プロイは怯まなかった。部屋に上がり込み、ナーガの白い顔を覗き込んだ。
「私はプロイ。後宮の門番、この地の守護者だ! 象使いが亡くなった。捜査に協力してくれ!」
「捜査だと? 」
「ナーガ様。僕からも頼みます、どうか、ご協力を」
タヤンが一歩前に出て、丁寧に頭を下げた。この後宮で、タヤンが頭を下げる相手など、王だけだと思っていたが……珍しいこともあるものだ。
「頼む!」
大声で依頼した。
プロイは返事を、待たなかった。
プロイはナーガの身体を持ち上げ——米俵のように肩に担ぎ上げた。
「なっ……! 下ろせ、この無礼者! そこなアユタヤの小僧、俺を誰だと——」
ナーガは、最初はプロイに、次にタヤンに向けて叫ぶ。
「私は、貴方が誰だか、知らない。だから、こういうこともできる。……いつまでも門を閉めていられないし、時間がないんだ! 走るぞ!」
プロイは嘯いた。白昼堂々、王宮の回廊をナーガを肩に担いだまま全力疾走する。すれ違う女官たちが目を丸くし、口を覆い、あるいは悲鳴を上げる。
「と、殿方と、抱き合って……!」
「これが、抱き合っているように見えるか!」
プロイは後宮を駆ける。ナーガの銀髪が風に舞い、陽光を集めて光った。
*
息切れひとつせず、プロイは現場に到着した。ナーガをそっと地面に降ろす。
「さあ先生、仕事の時間だ」