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使われなかった言葉
一覧の一番下に、
印の付いていない単語がある。
購入履歴なし。
付与履歴なし。
指を止めて、
画面を見つめる。
椅子に浅く腰かけ、
背中が少し丸まる。
ベージュのニットは肩でずれて、
袖が手の甲にかかっている。
ズボンの膝は床に触れ、
布が静かに広がる。
髪はまとめず、
そのまま首元に落ちている。
選ばれなかった、
というより、
選ぶ理由がなかった言葉。
派手でもない。
便利でもない。
説明文も短い。
他の言葉は、
理由があった。
困ったから。
欲しかったから。
安かったから。
この単語には、
どれも当てはまらない。
触れてみようとして、
手を止める。
付けなくていい。
そう思う。
一覧を閉じても、
その言葉は消えない。
内側に、
最初からあった形のまま残る。
何も変わらない。
何も足されない。
それなのに、
不思議と落ち着く。
使われなかった時間。
加工されなかったままの感触。
価値は、
光らない。
数字にもならない。
ただ、
残っている。
レキシリーダを伏せる。
選ばれなかったこと自体が、
この言葉の役割だったのかもしれない。
静かなまま、
それは、
まだ、ここにある。
#読み切り
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