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「月長石の吐息」

キヨ×レトルト


大好きな2人のカップリングです。

ご本人様達とは全く関係ありません。

ただの妄想のお話です。





あなたは月長石のように、静かで柔らかく、どこか冷たい人だった。






キヨはサッカーの試合中、派手に転んでしまいボキッという鈍い音と共にその場に倒れ込んだ。

担架に乗せられ、気づけば病院の白い天井の下。痛みに顔を歪めながらも、まだ試合の続きを夢見ているような自分が少し情けなくて、思わず苦笑した。


案内された病室の扉を開けると、そこには誰もいない静けさがあった。

――いや、ひとりだけ。


奥のベッドのカーテンが閉じられていて、その向こうから人の気配が漂っていた。

同じ部屋にあるはずのベッドはどれも空っぽで、広い病室には自分とその「カーテンの向こう」にいる誰かしかいない。


(あの人と2人だけ….か。)


独り言のように呟きながら、キヨは松葉杖を抱えて自分のベッドに腰を下ろした

奇妙な偶然に、なぜだか胸がざわつく。


カーテンの向こうの誰か――それが、レトルトとの始まりだった。






カーテン越しに、人の気配。


『えっと……』

キヨは少し緊張しながらも、声をかけた。

『隣の人、だよね? ……初めまして。俺、キヨって言います。よろしくな!』


明るい声が病室に弾んだ。

返事を待つが、しばらく沈黙。やがて、低く抑えた声がカーテンの向こうから返ってきた。


「……うん。よろしく」


ぶっきらぼうで、感情の見えない声。

けれどその響きは不思議と耳に残り、胸の奥にひんやりとした余韻を残す。


『俺さ、サッカーで思いっきりコケちゃってさ〜。骨、ボッキリ。ちょー痛かったわ!』

場を和ませようと明るく笑いながら、ケガの経緯を語るキヨ。

『まさかこんな大ケガするとはなあ……。

あ、でもこれで授業サボれるって思ったら、ちょっとラッキーかも〜笑』


隣からは小さな吐息だけが返る。笑っているのか、呆れているのか。


『君ははどうしたの?怪我? 病気?』

キヨは興味津々で問いかける。


「……別に」


短い答え。

それ以上は話したくないとでも言うような、壁を作った声。


『….そっか。ま!これから同じ部屋だし、仲良くしてこーな!』


カーテンの向こうからは、また静寂。

けれどその沈黙の奥に、言葉にできない気配が潜んでいるようで――キヨはますます隣の存在が気になっていった。




続く


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