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#魔道具職人
こはる
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742
#異世界転生
しめさば
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コメント
1件
コメント欄が異世界に直接影響するって設定、すごく新鮮で引き込まれました…!善意の暴走を止めるために「拾わない」選択をするサヨさんの考え方、すごくリアルで考えさせられます。桶が増えて「増やされてえらい!」って言い合うのが可愛くて、読んでてほっこりしました。ゴブすけや魔物たちへの優しさも伝わってきて、この村の空気が好きです。続き、静かに待ってます🌙
第20話: 【コメ欄】視聴者のコメントが異世界に干渉し始める【三人称視点】
コメント欄が、速くなっていた。
ナギのスマホの中で、文字が流れる。
聞こえる?
そっちに届いてる?
石が動いたなら、もっとできる?
ナギ、見てる?
危ないことはしないで。
ゴブすけ元気?
桶、今日も褒めて。
ナギは画面を閉じた。
閉じたはずなのに、手の中でまた震えた。
コメント欄は勝手に開いた。
ロッカが顔をしかめる。
「閉じられないのか」
「閉じても開く」
「危険だな」
トオルが計測棒を置いた。
「昨日の小石検証から、影響が強まっています。今日は検証ではなく監視にします」
ミレナは帳面を抱えた。
「現実世界の文字が、異世界へ影響し始めている……」
ヨミトは画面を見ていた。
「コメント量が増えるほど、発生確率が上がっている気がします」
ハヤテがタイマーを押しかけて止めた。
「コメント影響発生までの時間を測りたい」
ロッカがにらむ。
「今は測るな」
ハヤテは素直に手を下ろした。
桶が言った。
「止まれてえらい!」
その時。
広場の中央に、小さな花が咲いた。
誰も植えていない。
土も掘っていない。
スマホには、ひとつのコメントが光っていた。
村に花を咲かせたい。
ナギは息をのんだ。
「本当に出た」
ミレナの手が震える。
「文字が、形になった」
トオルがすぐに札を立てた。
コメント影響中。
近づきすぎない。
追加検証しない。
ロッカが短剣の柄に手を置く。
「誰がやった」
ナギは画面を見る。
「現実世界のコメント」
「相手は見えない」
「うん」
「止められないのか」
ヨミトが言った。
「たぶん、完全には止められません。でも流れを弱める方法はありそうです」
トオルがうなずく。
「仮説。強い言葉、同じ内容の連続、感情の集中で影響が増える」
ミレナは必死に書く。
「文字の量ではなく、方向性」
ナギのスマホがまた震えた。
コメントが流れる。
村に壁を作って。
もっと花を。
桶を増やして。
ゴブすけに帽子を。
魔物を倒して。
危ないやつ消して。
助けたいだけ。
何かしたい。
次の瞬間。
広場に小さな壁が生えた。
その横に花が増えた。
桶の隣に、小さな桶がぽこんと現れた。
「増えてえらい!」
元の桶が言った。
新しい桶も言った。
「増やされてえらい!」
ロッカは顔をこわばらせた。
「便利に見えるが、危険だ」
ナギもうなずいた。
「善意でも、こっちの状況を知らない」
ミチルが小さな桶を見て言う。
「置き場所が急に増えると、暮らしが乱れます」
カイは現れた壁を触った。
「強度が不明」
ハクトは花を見た。
「この植物が安全かも分かりません」
こよりは魔物待機場を見た。
「怖がってる子がいる」
現実世界のコメントは止まらない。
もっと守って。
敵を近づけないで。
ナギ達を助けて。
全部安全にして。
村の周りに、透明な膜が張り始めた。
ロッカが叫ぶ。
「やめろ!」
しかし、声は画面の向こうへ届かない。
膜は村を包もうとする。
ゴブすけが門の外で慌てた。
魔物待機場の子達が、外へ締め出されそうになる。
こよりが走る。
「待って! そこは分けないで!」
ハクトが叫ぶ。
「呼吸と移動が制限されます!」
トオルが計測棒を握る。
「善意の防壁が、危険化しています」
ナギはスマホを握りしめた。
お題。
現実世界の善意が、暴走しかけた理由とは。
ナギは叫んだ。
「お題! 助けたいコメント欄が、一番大事なことに気づいた理由とは!」
文字の流れが、一瞬止まる。
ナギは答えた。
「画面の向こうにも、現場確認が必要だった!」
スマホが強く光った。
コメント欄の上に、新しい表示が出る。
現場確認中。
勝手に大きな変化を起こさない。
小さく助ける。
まず聞く。
透明な膜が止まった。
少しずつ薄くなる。
ゴブすけが門の外で胸を押さえた。
こよりが駆け寄る。
魔物達も息を整える。
コメント欄が変わった。
ごめん。
怖かったよね。
勝手にやりすぎた。
小さく助ける。
何が必要?
まず聞く。
ナギは画面を見つめた。
初めて、現実世界のコメントが反省しているように見えた。
その時、広場の端に人が現れた。
灰色の長い上着。
茶色の髪。
薄い板状の端末。
その人は、流れる文字を見ながら静かに言った。
「コメント欄は、熱くなると走ります。止める人がいないと、善意でも荒れます」
ナギが振り向く。
「転生者?」
その人はうなずいた。
「言波サヨ。コメント読み配信をしていました。流れる文字を読む、拾う、止める、流す。それが仕事でした」
ロッカが言う。
「コメントを止められるのか」
サヨは首を横に振った。
「止めきれません。でも、整えられます」
ナギのスマホが震えた。
能力名
コメントモデレーション
効果
現実世界のコメントの影響を整理し、危険な干渉を弱める。
補正
流れを読む力。
拾う言葉の選び方。
注意の出し方。
無視する勇気。
注意
すべての声に反応すると、場が崩れます。
サヨは端末を構えた。
「まず、拾うコメントを決めます」
コメントが流れる。
花かわいい。
壁作って。
桶増やして。
こより大丈夫?
ゴブすけ確認して。
水足りてる?
危険な花なら調べて。
勝手に触らないで。
サヨは静かに指を動かした。
拾われたコメントだけが、少し強く光る。
水足りてる?
危険な花なら調べて。
ゴブすけ確認して。
すると。
ゴブすけの前に、小さな水皿が現れた。
花の横に、触らない札が出た。
ゴブすけの札が少し強くなった。
見習い門番
確認中
ゴブすけは安心したように胸を張った。
ロッカがつぶやく。
「危なくない」
サヨはうなずいた。
「小さく、具体的で、現場に合うコメントだけ拾うんです」
ミレナが目を輝かせる。
「コメント欄の選別……」
トオルが言う。
「検証可能です。ただし慎重に」
ヨミトは画面を見ながら言った。
「危険コメントは薄くなってます」
サヨは答えた。
「消すより、流すほうがいい時もあります」
しかし、コメント欄はまた荒れ始めた。
倒せ。
敵を消せ。
危ない魔物を全部いなくして。
ゴブリン信用できない。
村の外を全部閉じて。
魔物待機場がざわつく。
ゴブすけが震える。
こよりが前に立つ。
ナギの胸が熱くなる。
画面の向こうは、善意だけではない。
怖さもある。
決めつけもある。
雑な言葉もある。
サヨは静かに言った。
「反応しないでください。強い言葉ほど、反応を食べます」
ロッカが唇を噛む。
「黙って見ろと?」
「無視ではありません。拾わないんです」
サヨは端末に指を置いた。
拾わない。
増幅しない。
現場で判断する。
その表示がスマホに浮かぶ。
危険なコメントは薄れた。
完全には消えない。
でも、形にならない。
ナギは息を吐いた。
「すごい」
サヨは少し疲れた顔で笑った。
「コメント欄は、全部読むと飲まれます。必要なものだけ受け取るんです」
その日の村は、コメント欄と一緒に動いた。
水が足りない場所へ、小さな水皿。
見落とした危険札。
疲れた見張りへ温かい布。
泣きそうな子どもへ、笑顔予約券をしまう袋。
ゴブすけには、確認済みの印。
桶には、増えすぎ防止札。
元の桶は少し不満そうだった。
「増えすぎなくてえらい」
新しい小桶も言った。
「ほどほどでえらい」
ロッカはその二つを見て言った。
「桶が二つになったのは、もう戻らないのか」
ナギは笑った。
「たぶん」
サヨはコメント欄を見る。
「戻して、というコメントもあります。でも、本人たちが嫌がっていないなら急がなくていい」
桶が言った。
「存在してえらい!」
小桶も言った。
「存在してえらい!」
ロッカは頭を抱えた。
夕方。
広場に、新しい札が立った。
コメント欄ルール。
勝手に大きな変化を起こさない。
小さく助ける。
現場確認を待つ。
怖い言葉を増幅しない。
全部の声を拾わない。
必要な声を選ぶ。
サヨはその札を見て、静かにうなずいた。
「これで少し落ち着きます」
トオルが言った。
「明日から影響度を観察します」
ロッカがすぐ言う。
「小規模で」
「はい」
ミレナは帳面に書いた。
「コメント欄は力であり、風でもある。向きが必要」
ナギは少し驚いた。
「今日のミレナ、詩みたいだ」
ミレナは照れたように眼鏡を直した。
夜。
ナギはスマホを開いた。
転生タイムライン。
コメント欄
映像には、コメントで花が咲く場面。
防壁が暴走しかける場面。
ナギの大喜利で現場確認が表示される場面。
サヨがコメントを整理する場面。
村にコメント欄ルールが立つ場面が映っていた。
コメント欄は、いつもより少しゆっくり流れていた。
ごめん。
小さく助ける。
勝手に決めない。
サヨさんありがとう。
ゴブすけ、確認お疲れ。
桶が増えたの好き。
小桶かわいい。
ナギ、読んでくれてありがとう。
ナギは画面を見つめた。
返事はできない。
でも、少しだけ届いた気がした。
サヨが横に座る。
「全部に答えなくていいです」
ナギはうなずいた。
「でも、見てる」
「それで十分な時もあります」
ロッカが少し離れたところで言った。
「見えない相手と一緒に村を守るのか」
サヨは答えた。
「一緒に、というより、距離を取りながら」
こよりが魔物達を見ながら言う。
「なつくのと同じだね」
ハクトがうなずく。
「距離が大事です」
桶が言った。
「距離を取れてえらい!」
小桶も続いた。
「近づきすぎなくてえらい!」
ナギは笑った。
スマホがまた震えた。
次の転生者を準備中。
投稿傾向
おすすめ欄
新しい転生者
連続流入
ヨミトの顔がこわばった。
「次は、数が増えるかもしれません」
トオルが札を握る。
「受け入れ手順が必要です」
ハヤテが言った。
「案内ルートを作ります」
ロッカが短く言う。
「走るな」
ハヤテはうなずいた。
「歩いて案内します」
サヨはコメント欄を見ていた。
「現実世界も、次を期待しています。少し抑えないと」
ナギはスマホを握った。
コメント欄は、まだ流れている。
次は誰?
もっと来る?
村、大丈夫?
準備して。
無理しないで。
ナギは夜の村を見た。
桶が二つ。
ゴブすけの札。
魔物待機場。
モルモットの巣箱。
調理場。
検証札。
迷宮地図。
コメント欄ルール。
村はまた、少し広がった。
好きなことで、生きていく。
それは、投稿する人だけの話ではなくなっていた。
見る人。
書く人。
心配する人。
余計なことをしてしまう人。
反省する人。
画面の向こうの声まで、この世界へ触れ始めている。
ナギはスマホを閉じた。
今度は、勝手に開かなかった。
ただ、手の中で小さく温かかった。
桶が言った。
「閉じられてえらい」
小桶も言った。
「また開けてもえらい」
ナギは笑いながら、夜の見張り台を見上げた。
転生タイムラインは、次の投稿を準備している。
今度は、ひとりでは済まない気がした。