テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#リゼロ
すず
144
33
第69話『黒龍国総司令官』
黒龍城。
地下最深部。
静寂の中。
老人はゆっくりと四人を見つめた。
蒼龍が一歩前へ出る。
「老師。」
「いや…。」
深く頭を下げる。
「黒龍国総司令官。」
なおきりたちが驚く。
じゃぱぱが思わず口にする。
「総司令官…?」
老人は穏やかに笑った。
「そうです。」
「私の名は李丙(りへい)。」
「黒龍国総司令官を務めております。」
シヴァが目を細める。
「総司令官なら。」
「敵の最高幹部じゃないの?」
李丙は静かに頷いた。
「その通りです。」
「蒼厳たち四天王も、軍の指揮系統では私の指揮下にあります。」
なおきりは警戒を解かない。
「なら、なぜ俺たちを捕らえない。」
李丙は小さく息をつく。
「捕らえるつもりなら。」
「この地下へ入る前に捕らえていました。」
四人は黙る。
確かに。
黒龍城の警備は厳重だった。
李丙が黙認しなければ、ここまで来ることはできない。
李丙は書棚から一枚の地図を取り出した。
そこには。
現在の戦況が細かく記されていた。
龍哭谷。
王翦軍。
桓騎軍。
蒙驁軍。
李牧軍。
春申君軍。
呉鳳明軍。
オルド軍。
そして黒龍軍。
じゃぱぱが驚く。
「全部把握しとる…。」
李丙は穏やかに答えた。
「総司令官ですから。」
「戦場の全てを知らねば務まりません。」
なおきりは地図を見る。
「蒼厳は。」
「この状況を知ってるのか。」
李丙は頷いた。
「もちろん。」
「蒼厳は私が育てた将です。」
「幼い頃から。」
「軍略も。」
「戦術も。」
「全て私が教えました。」
蒼龍が静かに言う。
「だから蒼厳だけが父の秘密を知っている…。」
李丙は肯定した。
「ええ。」
「黒龍王と蒼厳。」
「そして私。」
「この三人だけが、十年前の出来事を知っています。」
地下に沈黙が流れる。
じゃぱぱが真っ直ぐ李丙を見る。
「教えてくれ。」
「何があったんや。」
李丙はしばらく目を閉じる。
やがて。
ゆっくりと口を開いた。
「ですが、その前に一つ訂正しましょう。」
四人が顔を上げる。
李丙は静かに続けた。
「この戦争は。」
「黒龍王が始めた戦ではありません。」
なおきりたちの表情が変わる。
李丙は地図のさらに西を指差した。
そこには。
黒龍国のさらに外側の土地が描かれていた。
「黒龍国もまた。」
「かつて、ある大国から国を守るために生まれた国なのです。」
その一言は。
なおきりたちが知る黒龍国の歴史を根底から覆すものだった。
コメント
1件
おおっ、第69話読んだわ…!黒龍国総司令官・李丙、まさかの味方ムーブじゃん!「捕らえるつもりなら捕らえてた」ってセリフ、めっちゃ重みあるし、戦況地図全部把握してる描写に「総司令官ですから」って返すとこ、渋すぎるわ。 そして何より「この戦争は黒龍王が始めた戦ではない」—ここで世界観が一気に広がったな。黒龍国もまた守るために生まれた国…てことは、もっとデカい敵がいるってことか!? 十年前の秘密、蒼厳との因縁、全部つながる予感がして震えたわ。🍙さんの構成力、毎回見事やで🔥