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ジリリリ、ジリリリ


耳をつんざくような騒音が、部屋に響き渡る。

私がカルヴァリーを起こし、顔を洗おうとしている時だった。

大きくため息をつきながらも、電話の設置してあるリビングへと向かった。


電話がかかってくるなんて何年ぶりだろう。

初めの頃は、私を心配したハルカが毎日のように電話をかけてくれたけど、今では1件もかかってこない。


「電話?」

「えぇ。電話よ、誰かしらね。」


相変わらず、鳴り響く騒音にうんざりしながらも、受話器を取った。

どうでもいい用事だったら、さっさと切ってしまおう。


「もしもし?トウカちゃん?」

「なに?」

「あ、私、ヒスイだけど…」

「あっそ、さようなら。」


受話器を、降ろそうとした、その時。


「待って、お願い!」

「なに?忙しいの。」

「今からトウカちゃんの家に行けないかな?   急ぎの用なんだ。」

「急ぎ?  なんの用よ。」

「ごめん、本当に急いでるの!今から向かうね!」

「は?ちょっと待ちなさいよ、」


私の声を聞くことも無く、電話は切れてしまった。

今頃彼女は、私の家に向かっているのだろう。


「あぁ、もう。」


ヒスイの破天荒な行動に、苛立ったような声を漏らした。


「救世主様はなんて?」

「急ぎの用、今から向かうって。」

「へぇ?面白くなりそうだ。」


くくっと笑うカルを他所に、来客に備えてテーブルの上を整えた。

11時を知らせる鐘が、教会から聞こえてきた。


***


大きな音を立てて、家の扉が開く。


うるさいわね、もうちょっと優しく開けなさいよ。


ドアの前で息を整えるヒスイを、迷惑そうに睨む。

何度か深呼吸をした彼女は、私の肩を掴んで、こういった。


「トウカちゃん、お願い、助けて!」


涙を溜めた空色の瞳が、私を真っ直ぐに見つめていた。

Re:主人公は愛されたい

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