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那雪の家は私の家の隣だった。だから家に帰るのも楽だ。私は中学で親の仕事の都合で引越しし転校した。中学生になるまで私は勉強もしっかりしていたが中学生になってからは勉強も特にしなくなった。転入してきてから周りからの私へのイメージが悪かった。
ドアを開け家に入る。
「た、ただいま。」
お母さんもお父さんもいない。持っていたカバンを置き、リビングへ向かった。実家の匂いや雰囲気はあの時のものだ。 机を見ると置き手紙がある。「2人で出かけてきます。」と。私の両親は朝から夜まで毎日出かけている。毎日家には誰もいないしなにもない。ご飯は自分で作るか外で食べるかの生活だった。
ピンポーンとインターホンが鳴った。
「柳川さん。居ますか?」
中学2年の時の担任の先生の声がした。
「クラスメイトの金木さん達も来てますよ。開けてください。居るでしょう。お話が…」
中学の学校生活もあまりいいものではなかった。クラスメイトに嫌われいじめられ、さらには担任にも嫌われる。全員が敵な中、那雪だけが唯一の話し相手で友達だった。
「柳川さんにきもいと言われたと金木さんが言っていました。少しでもいいので顔を出して話をしてください。」
頭を整理する時間がない。とりあえずこの場から離れよう。
私はリビングから2階へと上がり自分の部屋に行った。そして、窓やカーテンも閉め、声が一切聞こえない状態にした。
私は死んだはずだった、そして意識が薄れた瞬間に目の前が那雪の部屋だった。私がタイムスリープしたであろう時代は2015年の中学2年生の14歳。死んだ日は大学に入り3、4ヶ月たった7月の19歳。約5年前だ。そして中学2年生の頃はいじめられ、「かわいい」を捨てる1年前の年。
「どうしたら戻れるんだろう。」
もしかしたらこれは走馬灯かもしれない。そうしたら眠った後は死んだ時にいた道路に居るかもしれない。と、考えると数え切れないほどの説が出てくる。
「はぁ…考え疲れた。もう居なくなったかな… 」
私は水を飲みに1度だけリビングに戻る。心臓がドクドクしている。うるさい。
「だ、大丈夫、だ。」
外には誰もいない。居ても近所のおばあさんや野良猫だけだ。
冷蔵庫を開け水を飲む。その時に私はある小説を目にした。題名には「記憶の端」と書いてあった。
(お母さんの小説かな。不思議な感じの見た目だな。…見てみよ。)
私は小説を読んだ。物語の内容は。
「タイムリープ…?」