続きぃ
今回グロっちい表現があるかもしれやせんのでお気をつけを。
南雲「正直に答えろ…!」
南雲が小峠にそう掴みかかった時、南雲は一瞬にして言葉を失った。
口は笑ったままなのに、目はものすごく冷たくなっている。
それを見た南雲はなにか嫌な予感を感じとった。
小峠「…やだなぁ。街中で猫に引っかかれただけですよ」
ゆっくりとした口調でそう言う小峠の目には光が宿っていない。
いつもならその青い目に光を孕んでいるはずなのに。
南雲「…嘘だr「本当ですよ」
即座に否定しようとしたものの、その言葉はすぐさま小峠に遮られてしまった。
その顔からは笑みが消え、真顔になっていた。
今まで1度たりとも兄貴分に向けたことの無い、冷徹で、残酷すぎる顔だった。
南雲「…っ」
小峠「…本当です」
南雲の声は喉に詰まって出せない。そのまま小峠は続けた。
小峠「すみません、俺ちょっと用事がありまして。失礼します」
そう言っていつも通りの顔に戻った小峠は南雲の横をすり抜け、そのまま部屋を出ていった。
南雲「…………」
南雲はその背中をただ見つめることしか出来なかった。
南雲「…今日はひとまず帰るか。もう深夜だし」
そして南雲は天羽組敷地内を出て、帰宅するのだった。
小峠は屋上にいた。
見下ろした先にあるのは、眠らない街、空龍街。
夜の空龍街は特段美しい。
店を照らすネオンなどの照明が、ビルの光と合わさりとても綺麗だ。
そんな空龍街を見下ろして、小峠は一人煙草を蒸かしていた。
小峠「あの南雲の兄貴の顔……ま、バレてるよなぁ……」
先程自分につかみかかってきた兄貴分の反応からして、自傷行為のことを分かっているのだろう。
わかった上で、真実を確かめるために来た、という所だろうか。
小峠「嘘ついちまったけど、さらに疑いが確信に近づいただけか」
どこか諦めたような顔をして、小峠はスマホを出して電源を入れる。
AM0:19を示していた。もう日付が変わっている。
時間を確認したあと、スマホをポケットにしまい、自分の左手を見てみる。
そして無意識に袖をまくって包帯を取る。
切った痕、抉った痕、火傷の痕、引っ掻いた痕……たくさんの傷が所狭しと並べられている。内側にも外側にもだ。
それを空にかざしてみた。傷口がてらてらと光る。
小峠「……きったねえ腕……」
小峠はそう呟いて、自分が持っていた煙草を自分の腕に押付けようと近付けた。
その時だった。
「コラ」
小峠「ぇ、」
小峠の右手がぐいっと上に上がる。
何者かが小峠の後ろから、煙草を持っていた右手ごと取り上げたのだ。
小峠は見ずとも声でその正体を見破った。
小峠「あ、おや…まの……あに、き……」
青山「ちゃんかぶ…何しようとしてた?」
青山はいつになく真剣な顔で小峠に問う。
小峠「なん…で」
小峠は言葉が詰まって上手く発音することが出来ない。
気配ゼロで背後に兄貴分が立っていた上、自身の汚らわしいものをまた見られたのだ。
こうなるのは必然とも言える。
小峠の腕から力が抜けて、その手から煙草が滑り落ちる。
煙草の火はコンクリートの地面に打ち付けられ、消えた。
青山「……」
小峠「……………降参ですね。こんな時間まで残ってるとは思ってませんでした」
小峠は息をついて、諦めたような口調で言う。
青山「1回腹割って話をしようと思って事務所行ってみれば、南雲の兄貴とバチってたからな。出ようも出れなかったわけさ」
小峠「そう、ですか…聞いてたんですね」
青山「で、単刀直入に聞くが、なんでこんなことした?」
青山は掴んでいた小峠の右手を離して聞く。
小峠はしばらく黙り込む。
そして重そうに口を開く。
小峠「………………………わからない…」
青山「え?」
小峠「……自分でも分からないんですよ。…なんの目的でやってんのかも、なんでここまでやってこれたんだってのも…」
小峠は俯き、震える声でそう話す。
青山からは髪の毛で隠れて顔が見えない。
小峠「なんで………なんで、なんで」
そうブツブツと呟いて、傷がむき出しになっている左腕に、無意識に爪を立てて引っ掻く。
ガリッと嫌な音がなり、塞がっていた数々の傷から血が溢れ出して来る。
それを見た青山は、焦って引っ掻いた右腕をまた取り上げる。
青山「待っ…!馬鹿野郎!血が出てきてんじゃねえか!」
余程強い力で引っ掻いたのか、左腕からは大量出血、右手の爪は剥がれかけている。爪と指の間には、引っ掻いた時に付着したであろう血まみれの皮膚が挟まっていた。
青山「(爪が…!どんだけ強い力で引っ掻いたんだ!?)」
地面にぽたぽたと血が滴り落ちる。
小峠「なんで………なん、で………」
半パニック状態になった小峠の目から涙がこぼれ落ちる。
青山「…………泣くな。ちゃんかぶは何も悪くない」
青山はそう言って小峠を優しく抱きしめる。
小峠「…ぇ、ぁ」
青山「大丈夫だ。俺がいてやるから安心しろ。な?」
小峠「…」
青山は、自分の腕の中で大人しくなった小峠の頭に優しく手を置いて優しく撫でる。
青山「…その傷は恥ずべきモンじゃねえ。ちゃんかぶが必死に生きてきた証拠だ。今は辛いかもしれねえけどな、生きてるだけでいいんだ。いつか報われる。………だから自分で自分を殺さないでくれ。頼む…」
小峠「ぁ゛………ぃ……」
小峠は光の戻った青い目を見開いて、青山を見る。
と、その瞬間、限界が来たのか青山の方に倒れ込んだ。
青山「うおっと……………流石に血流しすぎだもんな………とりあえず仮眠室行って、手当だけしてやろう…」
いつもよりちょっとばかり素直に甘えてくれた舎弟を担いで、急ぎ足で仮眠室へ向かった。
to be continued…
コメント
3件
やっぱり、南雲の兄貴は確信してましたか😭 流石の観察眼👏 かぶちゃんはやっぱり、何も分からずに自傷行為しちゃってましたか……😭 右手の爪が向けるほどにどんだけの力入れたんだ😭 兎に角、止められたようでよかった😭