テラーノベル
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#ざまあ
#裏切り
#モテテク
警察の家宅捜索は、あの会社の奥深くに眠っていた不浄な記録を次々と掘り起こしていった。
その過程で、経済記者の知人を通じて私の元に届けられたのは
直樹が社内の極一部の人間と共有していた「プライベートなクラウドストレージ」の中身だった。
私は深夜の書斎で一人、その画面を凝視し、激しい吐き気に襲われた。
そこに記録されていたのは、直樹が「同僚のクズ共」と興じていた、あまりに卑劣な賭けの記録。
その名も『節約妻の限界値(デッドライン)』。
『今月、生活費をさらに5,000円削った。詩織のやつ、血眼になって10円安い卵を探しに隣町のスーパーまで走りやがった。これで今夜の飲み代ゲット。次はいくら削れるか、皆で賭けようぜ』
画面には、彼らが居酒屋で笑いながら
私が必死に書き溜めていた家計簿の写真を回し読みしている様子が映し出されていた。
直樹。あなたは、私が1円の誤差に震え
陽太に食べさせる肉の量を減らしてまで家計を守ろうとしていたあの苦しみを
単なる「遊びのネタ」にしていた。
怒りを通り越し、脳の芯が凍りつくような感覚。
私が彼のために節約したお金は、莉奈へのプレゼントだけでなく
彼が仲間内で「いかに妻を支配しているか」を誇示するための軍資金に消えていたのだ。
さらに、その賭けの「勝敗表」には、私が精神的に病んで壊れるまでの期間や
私が最後に泣き叫ぶ瞬間を予想する不気味なコメントが並んでいた。
(あなたは……最初から、私を人間だなんて思っていなかった)
私は、震える手でそのログのすべてを保存した。
これはもはや、単なる不倫やモラハラの域を超えている。
一人の人間の尊厳を弄び、搾取し続けた、悪魔の所業だ。
私はすぐに、刑事告訴の追加資料としてこれらを提出するよう弁護士に手配した。
精神的苦痛による慰謝料の増額、そして「悪質な虐待」としての立件。
◆◇◆◇
翌朝
私は鏡の前に立ち、凛とした表情で口紅を引いた。
もう、あの頃の「支配されていた私」はどこにもいない。
直樹、あなたは塀の中で
自分が「いかに優秀な支配者か」を自慢していた過去の自分を呪うことになるわ。
あなたが笑いものにしたあの家計簿が
今度はあなたの人生を「社会的に抹殺」するための、最強の証拠として牙を剥くのだから。
「ママ、おはよぉ」
陽太が眠そうに起きてくる。
「おはよう、陽太」
陽太に微笑みかけながら、私は心に誓った。
彼らが「娯楽」として奪った私たちの時間を
1秒も逃さず、何百倍にして返させてやる。
【残り73日】
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