テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
朝。
教室へ向かう廊下を歩く。
今日は何をされるんだろうか。
そう思いながら、からっと教室の扉を開ける。
「あ、おはよー」
「……え?」
思わず変な声が出る。
俺より先に登校していたクラスメイトが、普通に挨拶してきた。
今までは挨拶されないどころか、挨拶しても返ってこなかったのに。
何があったんだよ。
頭に隕石でも落とされたか?
そして次の衝撃は、
俺の机の中に何も入っていないことだった。
「……」
一回閉める。
もう一回開ける。
何度見ても空っぽ。
「……珍し」
思わず呟く。
今日は掃除しなくていいらしい。
ラッキー。
⋯なんか変だけど。
***
一時間目。
先生の声を聞き流しながらノートを取る。
今日は消しゴムもある。
教科書もある。
筆箱もある。
「……」
全部ある。
逆に怖い。
マジでどんな天変地異だっつーの。
***
昼休み。
「らっでぃー」
教室の後ろの扉からゾムが手を振る。
俺も手を振り返して席を立った。
「今日の弁当なに?」
「俺今日購買〜」
駄弁りながら二人で歩き出す。
「……」
「⋯⋯」
⋯なんか、静かだ。
いや、会話がないわけじゃない。
普通に喋ってる。
でも。
さっきから、ゾムがちらちらこっちを見ている。
「……俺なんか付いてる?」
「え?」
「いや、さっきから見てくるじゃん」
「あー……」
ゾムが頭を掻く。
少しだけ困ったように笑って。
「⋯癖?」
「絶対嘘じゃん」
「バレた?」
「バレるに決まってるわ」
笑う。
ゾムも笑う。
でも、
やっぱりその目が少しだけ優しかった。
屋上。
「おー、来たか」
なぜかまた先に来ていたきょーさんが缶ジュースを投げてよこす。
慌てて受け取ると、当たり前のように俺の好きなやつだ。
さすが腐れ縁。
「え、くれんの?」
「飲め」
「なんで?」
「飲め」
「圧怖っ」
苦笑しながらプルタブを開ける。
……え、
普通に俺の分?
珍しくない?
今までこんなことあったっけ。
「きょーさん今日なんか優しくない?」
「うるせぇ」
「否定はしないんだ」
「黙って飲めや」
「はいはい」
怒られた。
でも、
なんとなく、怒り方まで柔らかい気がする。
「……変なの」
ぽつりと呟く。
「何が?」
今度は後ろから声がした。
振り返ると、やたら背の高い人影が立っている。
「お、ぐちつぼ」
相変わらずデカい。
こっちが座ってるぶん余計にデカく見える。
なんで一年なのにこんな身長あるんだよ。
分けろ。
「今日も来たん?」
「昼休み暇だったから」
「嘘つけ」
「バレた?」
「バレるだろ」
⋯最近この流れ多くない?
四人で屋上のフェンスにもたれる。
風だけが吹いていた。
「……平和〜」
自然と口から零れる。
「せやな」
「ホンマにな」
「だな」
三人の返事が重なる。
「……」
まただ。
なんか、
三人とも、俺を見てる。
「……俺なんかした?」
「「「別に?」」」
びっくりするほど綺麗に揃う。
「⋯怖」
「何がやねん」
「息ぴったりすぎでしょ」
「偶然やな」
「絶対嘘」
みんな笑う。
俺も笑う。
でも。
今までと同じ景色なのに。
今までと同じ人たちなのに。
何かが、
少しずつ違って見える。
優しい。
近い。
明らかに、気に掛けられてる。
⋯昨日から。
……なんで?
屋上のフェンス越しに夏空を見上げる。
青い。
雲も流れてる。
今日も、世界はいつも通り。
なのに。
なんか、変だ。
けれど、今笑い合っている空気を壊したくなくて。
また、俺のせいで変な空気にしたくなくて。
その疑問は、胸の中に留められたままになった。
NEXT=♡2000
まじ最近の投稿頻度終わってます
ほんまにすいません
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
田中なす@末
1,734
#実況者イラスト
田中なす@末
490
ふゅう@不定期
165,075
らみょん
12