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ダイは車を移動させてさっきの道を戻りアスミは分からない場所に。暗いからよりわからない。

「君も物好きだ。僕に惚れたのかい?」

「そんなことないっ」

「たった一度きりの関係、変な意味ではないよ」

辿り着いたのは川の目の前であった。夜だが川の流れはある。


「確かに空気のいいところね」

「外、出てみるか?」

先にダイが車を出て助手席に回りドアを開けてエスコートした。


本当にいい空気だ。さっき乗り捨てられた時と同じ夜なのに空気が違う……とアスミは感じた。

川はすぐそこだった。照明は無いわけではないが暗く、月明かりがあるだけだ。


「君をあそこに捨てた彼氏さんはどんな人なの」

「えっ」

「ほんとひどいよな、君みたいなこと付き合ったのにひどいことしてさ」

「ダイくらいの年齢の人」

「まじか」

「普段は優しいよ」

「……普段は、か」

「うん」

ダイは川の方を見てた。


「嫉妬するなぁ。こんな可愛い子と付き合ったのによ」

「嫉妬って」

「だよな。見たことないけど、てカバンないからスマートフォン無いよな」

「うん」

するとダイは川を指差した。


「知ってる? この川の噂話」


何度か見たことはあった川。10年前に一度大雨で崩壊したのは知っていたが事故も聞いたこともないし、噂話も知らない、とアスミは首を横に振った。


「ここに幽霊が出るって噂」

「怖い、そんなところ連れてきたの」

ダイは首を傾けニヤッと笑う。その笑顔がアスミは怖さを感じる。


「ごめん、怖がらせちゃったね」

「怖いよ」

「君が涼しいところ連れてけっていうからさ。普通怖くないの? 見知らぬ男に車乗せてもらってさ」

「……武臣……彼氏もさ、そんな感じだった」

とふとアスミは思い出した。


川の流れは二人の間のよくわからない感情のように荒くもなく静かでもなく流れる。


「とある食事会で声かけられて、コンビニ行こうかって言われて」

「……ほぉ」

「その帰り道にセックスした」

「……」

「したというか、うん」

「襲われた」

「うん」


今となれば彼氏と彼女の関係だがあの時は怖かったとアスミは思う。初めてではなかったがただ送ってもらうはずが家とは逆方向の見知らぬ街を走り、どこか知らぬ場所に車を停められ武臣に体を覆いかぶさられた。


「今、同じシチュエーションになるよね。君はガードが甘いよ」

ダイがそう言う。


「話戻すけどさ」

「あまり深く聞かないんだ」

「聞きたくないよ、そんな話。許せない」

ダイはアスミをじっと見た。


「じゃあダイの話、聞かせて」

ダイを見るアスミ。

「話半分で聞いて欲しい」

「わかった」


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