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コアラと木の実
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(向井視点)
ほ、ほんまにライブに出るん…?
ど、どないしよ、めっちゃ緊張してきた…
それに、改めて一緒にライブする人は…
「円陣でも組んどく?」
怪盗企画で1番盛り上げた佐久間先輩…
「いいじゃん、組もうぜ」
唯一隠れ切った渡辺先輩…
「ん〜…まぁ、別にいいか」
女子からモテモテ深澤先輩…
あかん、これほんとに目立つやつや…
「ほら、康二もおいでよ」
深澤先輩に腕を引かれる。
う、嘘やろ…!俺も参加してええの!?
「え、お、俺はそんな…」
「なーに言ってんの?一緒にライブする仲間じゃん!」
「早く来いよ」
「え…え…?」
佐久間先輩にも渡辺先輩にも腕を引かれる。
……ほんとに、ええの…?
俺がそこに混ざって…
「大丈夫だよ」
「え……?」
深澤先輩に、顔を覗き込まれる。
「康二はさ、変わりたいって思ったからライブに出るって言ってくれたんだよね?だったら、もっと胸張ろうよ。俺らは、康二と一緒にライブしたいって言ってるんだから、ね?」
「……っ…!」
深澤先輩の優しい手が、俺の震えてる手を握る。
佐久間先輩も渡辺先輩も、俺のことを笑顔で見つめてくれてて……
そう、やん…俺は変わるためにここに立っとるんやろ?
俺なんか、じゃない。
自分から選んだことやもん!!
「よし……じゃあ、行くぞ…目一杯楽しもうぜ!!!!」
佐久間先輩の掛け声で、俺らはステージに飛び出した。
「……っ…」
ステージのライトが眩しいなぁ…
こんな多くの人の前に立ったのはいつぶりやったっけ…?
『みんなー!!!後夜祭、まだまだ楽しむぞー!!!!』
佐久間先輩の声がマイク越しに響く。
ほんまに、佐久間先輩はすごいなぁ…
きっと、笑顔が好きな人なんやろうね。
自分たちも、周りの人も笑顔にさせられる人……
………俺には、できなかったこと…
あかん、緊張で声が出なそう……
手も震えて、マイク落としそう…
それに、やっぱり、まだ人前に立つのは……
先輩たちの足、引っ張りたないのに…!!
『お前がクラスの足引っ張っとんのや!!』
『責任とれ!!』
『……どうせまた失敗するんやろ?だったらやるなや』
『お前……ほんまになんもできひんやん…』
「………ぁ…ぁ…」
嫌な記憶が、また……
「………康二!!!!!」
「……ぇ…?」
今の声……
その声、歓声に紛れて聞こえにくいけど、確かに聞こえた…
「康二!!頑張れ!!」
「康二くん!俺らも見てるよ!!」
目黒くん、ラウールくん……
2人も、見てくれてるんやね……
ありがとうな…
2人を見たら、ちょっと安心したわ。
『……_____♪』
大丈夫、声、ちゃんと出てる!!
『______!!』
俺も、ちゃんと歌える!!
『みんなー!!!今日はまじありがとう!!!!楽しかったー!!!』
「……はぁ…はぁ、はぁ…」
佐久間先輩が最後に締めて、俺らはステージ裏に戻る。
……歌い、切れた……
ほんまに、先輩たちとステージの上で歌えたんや…!
「こ、う、じー!!!!」
「うわああ!?」
裏に戻ってすぐに佐久間先輩に抱きつかれる。
「すげーじゃん!!めっちゃ綺麗な歌声してる!!」
「……え…?」
綺麗な、歌声…?
俺が……?
「やっぱり、俺の勘は間違ってなかった!!にゃはっ!」
呆然とする俺に、佐久間先輩があったかい笑顔で笑いかけてる。
「なかなかいい歌歌うじゃん」
「……っ…!」
渡辺先輩も、水を飲みながら俺に笑いかけてる。
俺、自分の声が綺麗なんて言われたことなかった…
人よりも声高くて、あんまいいとは思ってなかったのに…
「…ね?大丈夫だったでしょ?」
「……!!」
最後に、深澤先輩が柔らかく微笑みかけてくる。
俺、ほんまに大丈夫だったんや…
自分の足で人前に立って、自分の声で最後まで歌えたんや……
「……う…うぅ…グスッ」
「え!?ちょ、康二泣いたんだけど!!わら」
「うわぁ!ふっかが康二泣かせたー!!笑」
「ふっかが後輩泣かせたー(棒)」
「おい!!やめろって!!俺じゃない…多分!!」
うれしい……
俺が、こんなふうに先輩と一緒にライブできたんが…
「おれ……ほんまに、たのしかった…です……っ……!」
(阿部視点)
「あっべちゃーん!!!」
「いらっしゃ〜い。佐久間、さっきのライブ良かったよ」
「でしょでしょ!!」
ライブ終わって直後なはずなのに、すごい猛ダッシュで俺らの企画まで遊びにくる佐久間…
すごい体力だな〜…
俺ら生徒会と風紀委員の共同企画。
後夜祭をより盛り上げるための企画。
「阿部ちゃん、ホスト似合うよね〜!!」
「まあね…どう?俺のこと指名する?」
「もっちろん!!阿部ちゃんのためならどんなに高い酒でも買うよ〜!!」
「ほんとにお酒は出してないけどね…」
ギリギリで考えたとはいえ、まさか“ホスト“になるなんて思ってなかったな…
それも、生徒会と風紀委員でなんてね。
「カクテルひとーつ!」
「だからないって!笑」
まあ、佐久間も楽しんでくれてるし、他の生徒も楽しんでるからいいか。
「佐久間先輩、阿部も忙しいから、あんまり長居しすぎないように」
「お!照もホスト似合うね〜!!」
「……どうも」
照、褒められて照れてるな〜?笑
相手が佐久間なのも悪いか。
それに、照のところもお客さん絶えないからな〜
照のとこに来るお客さん、1番目に発する言葉が…
『深澤先輩からのご褒美なんでしたか?』
なのも面白いよね。
照目当ての子も多いんだろうけど、それ以上にそっちをみんな気にしてるみたい。
その度に照もなんももらってないって返してるし、そろそろ終わるといいね。
「照ってさ、ふっかと仲良いの?」
炭酸を飲みながら、佐久間が照に問いかける。
「仲良くねぇよ。向こうから勝手に絡んでくるだけ」
………ふっかから勝手に、か…
「へぇ〜…あいつからなんて珍し」
佐久間も俺の思ってることと同じようなことを呟く。
「そう言う佐久間先輩は?あいつと仲良いよね」
「あいつって!笑、ふっかも一応先輩だぞ〜?笑」
佐久間が笑いながら、炭酸を喉に流し込む。
「俺と翔太とふっか、あと涼太も。俺らは1年の頃にクラスが一緒だったの!んで、仲良くなった!!」
「「宮舘先輩も!?」」
俺と照の声がハモる。
今まさしく一緒にホストをしてる宮舘先輩とも仲良かったの…!?
「佐久間と渡辺先輩は普段から一緒にいるけど、宮舘先輩と一緒にいるイメージはないよね?」
「あー……まぁ、それはそれとして!クラスも涼太は違うからね」
一瞬言葉に詰まってたけど……何か事情があるのかな…?
「ま、今となっては俺と一緒にいてくれるのは翔太だけになってたんだよ〜!ふっかは相変わらず授業出ないし!」
「……?あいつは1年の頃からサボり魔じゃないの?」
「……ぁ……」
照のその言葉で気づく。
ふっかが、照に自分から近づくのって……
「もしかして、照は噂知らないの?」
佐久間が目を見開いて驚いてる。
「噂?」
照だけは、不思議そうに眉を顰めてた。
「……あぁー!!!!!俺、これからやること思い出したー!!!」
「「うわっ!」」
佐久間が急に勢いよく立ち上がる。
そのまんま残りの炭酸を一気に飲み干して…
「阿部ちゃん、照!残りも頑張って!!じゃ、佐久間さんは用事をすましてきまぁす!!」
すごい速さで走り去ってった…
なんか、佐久間ってゲリラ豪雨みたいだよなぁ…
「……阿部、噂って何?」
「…う…」
やっぱりこっちに飛んでくるか…
佐久間め…俺に全部投げたな…
前にふっかが学校1のサボり魔ってことだけ話したから、照の中では、ふっか=サボり魔っていう認識だけが残ってるんだろうな…
俺から言えることなんて、何も……
それに、唯一先入観にとらわれずにふっかと接せれるのは照だけで……
だから、ふっかは唯一…照に自分から……
「…ごめんね、俺も何も言えないや」
照なら…あの時俺にできなかったことができるかもしれない…
俺が、ふっかにできなかったこと。
「だからさ、照ももっと深澤先輩と話してみれば?」
「え?」
「きっと、深澤先輩は照に興味があるんだよ。だから、照も深澤先輩のことを知ろうって思うべきだと思う」
そしたら、ふっかだって心を許すかもしれない…
「頑張って」
照に、自分から助けを求められるようになるかもしれないから……
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第15話、読み終えたよ〜😭💘 向井くんの緊張とか「俺なんか…」って自己否定がすごくリアルで、胸がギュッてなった。でも先輩たちが「一緒にライブする仲間じゃん」って引っ張ってくれて、最後にちゃんと歌い切ったところ、ほんとに泣けた…。 特に深澤先輩の「もっと胸張ろうよ」って言葉、優しすぎる…🥺 阿部先輩視点で照くんとふっかの関係がまた気になる展開に。次が待ち遠しいよ〜🤍