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🖤🩷『眠り姫』スピンオフ
だてあべ❤️💚
本当は、ずっと佐久間が羨ましかった。
寝た振りをしてめめからのキスを待ってた佐久間。めめの気持ちが分からないなんて言ってたけど、そんなのもう決まってる。
めめは佐久間のこと好きだよ。多分かなり前から。
だって佐久間といる時の目が違う。表情だって蕩けそうな笑顔で。きっとあれは、佐久間にしか見せない顔。
だからくっ付くのは時間の問題だなって思ってた。
まさか目の前で濃厚なキスをかまされるとは思わなかったけど、上手くまとまったって聞いて心の底から祝福した。
それと同時に羨ましい気持ちが増していく。
俺の恋は、これ以上発展しようもないから。
めめと佐久間が付き合い始めたのはすぐにメンバーに周知されて。その現場にいた俺と照、ふっかは他のメンバーに詳細を聞かれたりした。
まあ聞いてくるのはお察しの通り翔太と康二とラウールで、舘様は詮索はせずに本人達に「良かったね。おめでとう」と祝福だけ送ってた。
そういうところも舘様らしくて、ちょっときゅんとしてしまう。
俺がどんなにときめいたところで何にも動かないんだけどさ。
それでもこの恋を手離せないのは、手離したところでまた好きになっちゃうのが分かってるからだ。
とんでもない沼にハマっちゃったなって、思ったり思わなかったり。
「じゃあまたな、阿部ちゃん」
「阿部ちゃん、お疲れ様」
「お疲れ様。二人とも楽しんで来いよ」
今にも手を繋ぎそうな甘い雰囲気を漂わせながら、佐久間とめめが楽屋を後にする。
頼むから雰囲気で留めてくれよと思いながら、その様子が微笑ましくて手を振って見送った。
示し合わせて明日をオフにいたらしい2人は、焼肉デートからの自宅デートを楽しむらしい。佐久間はともかく、めめまで浮かれてるのにちょっとびっくりだけど。
「いいなぁ…」
小さくそう呟いてから、俺も荷物を持って楽屋を出る。
今日は特に予定もないし、家に帰ってクイズの勉強でもしよう。
そんなことを考えながら歩いてたら、後ろから声がかけられた。
「阿部、もう帰るの?」
振り返ると、そこにいたのは舘さんで。同じように荷物を抱えて立っていた。
「あ、うん。舘さんも帰るところ? 1人?」
「俺は別に、常に翔太といるわけじゃないからな」
苦笑しながら舘さんが歩いて来て、俺の横に並ぶ。
そんなこと思ってるわけじゃないけど。いや、でもそのくらいの認識ではいるかもしれない。
隣に並んだ舘さんがじっと俺を見上げる。
「えっと、どうかした?」
「いや…意外と追いつかなかったなと思って」
「追いつかなかった? 何が??」
「身長。5センチ届かなかった」
そう言ってふふっと笑ってから「行こう」と促されて、舘さんと一緒に歩き始める。
「阿部は今日は車?」
「あ、うん。そう」
「そうか。じゃあ、頼みがあるんだけど。飯奢るから乗せてってくれる?」
「えっ、別に奢ってもらわなくても送ってくよ?」
「いいから。阿部と行ってみたい店があるんだよ。付き合って」
そう言って笑う舘さんが、いつもより少し砕けた笑顔に見えてドキドキする。
こういう時にやっぱり好きなんだよなぁって実感するんだよ。
俺の想いなんて届くわけもないのにさ。
「阿部? 迷惑か?」
「ううんっ、そんなことない! 誘って貰えて嬉しいよ」
「そう? じゃあオッケーってことでいいよな?」
にこっと笑う舘さんに、やられたって思った。
何もなくても送ってくつもりだったのに、その対価として奢ってもらうことを無意識に了承させてくるなんて。
「…舘さん、策士過ぎない?」
「阿部相手にそんなことしないよ。一瞬で見破られそうだろ」
「現に今、まんまと引っ掛かったんだけど」
「考え過ぎ。そんなつもりはなかったって。ああ、でもそうだな」
「え、何?」
「阿部は意外と単純な手には引っ掛かるような、可愛いとこがあるよね」
は? 可愛いっ?!
額面通りに受け取ったわけじゃないけど、一瞬で耳が熱を持つ。
だってそうだろ。好きな人に可愛いなんて言われて、反応しない奴なんていないだろ?
俺の反応にくすくす笑う舘さんに促されて、頬と耳に集まった熱を持て余しながら駐車場に向かった。
コメント
1件
読んだよ、水瀬菜音さん。 阿部ちゃんの視点で舘さんへの想いがじんわり滲んでて、切なすぎた…「可愛いとこあるよね」って舘さんの言葉に、阿部ちゃんの耳が赤くなるシーン、こっちまでドキドキした。佐久間×めめの幸せに祝福しつつも、自分の片想いを噛み締めてる感じがすごくリアルで。この距離感、好きすぎるよ…。