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痛い。喉が痛い。物凄く。痛い痛い怖い痛い怖い痛い怖い痛い痛い痛い怖い助けてお母さん。おか、さん。し、死にたくない!!!
「……ん。」
思いまぶたを上げる。あったのは見慣れた天井。そうか。夢か。いや、多分お茶会に行ったのは夢じゃ無いだろうけど、あの地獄のような痛みは夢だよね。私はベッドから起き上がる。
ドサッ
起き上がろうとしたのだ。下を見るとあるのは自分の足。なのに、足が動かない。うんしょ、うんしょとしている間に足がちょっとずつ上がってきた。私はどうにかして立ち上がり、壁伝いに部屋から出てお母さんを探す。
「あ。」
転けた。頭からゴツンと。痛い。でもお母さんを探さなきゃ。私は立ち上がる。私は頭の痛みに耐えながらお母さんの自室に急ぐ。と、言ってもお母さんはいつも私の部屋で一緒に寝ていたので居ないと思うけど。
「おかあさん?」
ギィという歯切れの悪い音をたてながらドアを開ける。ここで本当にお母さんが居るのなら優しい声で私に話しかけてくるはずだ。でもそれがないと言うことは多分居ないのだろう。私は部屋の中に入る。ふと、視界のはじに何かが写った。私は恐る恐るその方向を向く。
「おかあさん?」
さっきと同じ言葉を発す私だがさっきとはまるで声色が違う。
「ねえ、どうしたの?」
白い肌。キラキラと輝く黒髪。整った顔立ち。私が知る限りこんな美人はそうそう見たことがない。しかし、そんな見慣れた顔だが私がよく知る紫の瞳は閉ざされていた。
「おかあさん?」
私の母である人は目をつむったままビクともしない。暫くその場でお母さんの方をさすっていた時、私の視界に一つの手紙が目に入る。私は紙切れに手を伸ばし、静かにゆっくり手紙を開く。
『ごめんね。』
最初の言葉がそれだった。意味が分からず私は次の行に目を向ける。
『あのね、私は、世界のエネルギーを使ってしまったの。支配者の特権でね。』
支配者の特権?私は次の行へとまた目を向けた。
『とは、言ってもなんのこっちゃわからないと思うけど。簡単に言うと、お母さんは欲に駆られた変な人達に作られた支配者の偽物なの。』
なんとなく意味は分かる。お母さんはその支配者の能力を手に入れたい人達によって作られた支配者のコピーだと言うことは。でもなんとなくだから何でそんなことになったのかは全然わからないけど。
『ユフェルナは賢いから大丈夫。分かるわ、きっと。そして、前も言ったように被検体として長いこと研究所に居たの。他の子供達と一緒にね。だから、そこは前話したのと同じだから。覚えてないかも知れないけど。まあ、そこはいいわ。問題なのは今私が何で寝ているかよね。』
そこで一枚目の手紙を読み終わる。私は2枚目の手紙を取り出し開いた。
『私はね、あのときお茶会で侵入してきた悪い人からユフェルナを助けようとしたの。でもね、それは間に合わなかったわ。』
ゾッとする。だって、それは、私が死んでいると言うことなのだから。
『そこで、支配者特権。その支配者特権って、言うのわね。要するに世界のシステムに穴を開けて元の世界の穴を重ねて一緒の時間軸をバグらせるの。簡単に言うと、二枚の布を針で縫い合わせて一つの布にする感じよ。それで、過去と現在を縫い合わせてユフェルナが死んでなかった世界を縫い合わせたの。分かった?で、それには成功したの。でも、その玉止めの役はどうするのって、話。』
「あ…」
そうだ。止めなきゃその二枚の布は離れ離れになってしまう。
『だから、私が今その玉止めをしている最中なの。だから、私は今時間軸で奮闘しているの。絶対に起きないわけでは無いから安心して。』
そこを読み終わったとき、ガタンっという何かが落ちた音が聞こえた。
「ひっ!」
何事!?ここには私とお母さんしか居ないのに!
「申し訳ございませン。」
ガチャリとドアが開きメイド服を着た継ぎ接ぎのある女性が入ってきた。あ、ロア?
「ロア?」
「はイ。」
え…お母さんは今寝てるよね。何故、お母さんのドールのロアが居るの?私はお母さんの手紙にまた目を向けた。訳すとこうだ。
『詳しい事はロア達に聞いてね』
ここで手紙は終了している。何も謎は解決していないけど。でも少しだけ元気が戻ってきた。私はロアに質問しようと振り向くがそこにロアの姿は無かった。何処に行った?私はロアを探しに一度お母さんの部屋から一歩また一歩と遠ざかった。
__支配者の会話
「はあ、相変わらず硬い性格してるわね。」
「お前に言われたくは無いがな。はあ、何であんなに支配者のスキルなんてものを使ったんだ。そんな事したら魂がえぐれるのも当たり前だろう。」
「私だって、支配者の端くれよ?貴方は思う存分、スキル使えるから私の気持ち何てわからないわよね!」
「私だってあのようなエネルギーを使ったらそんな姿になるさ。」
「………ちぇっ。」
「はあ、お前の娘だけ生き返らせれば良かったではないか。何故他の奴等まで生き返らせた?」
「…貴方は子供居ないから親の気持ちなんて分かりっこ無いでしょ。あのね、子供ってね、すぐぽっくり死ぬの。子供を失う気持ち、分かる?そうね、言うなら同情してあげたのよ。」
「お前らしくない。」
「何とでも言え。」
「なら、言わせてもらおう。あの刺客は黒犬族では無いぞ。」
「あー、あー、聞こえなーい。」
「ちっ、いつまでここに居る気だ?姿があんなんだったが、もうとっくにお前の体なら復活できるだろう?」
「言うじゃない。可愛い子ほど旅に出させろって。それよ、それ。娘の成長を見るのよ。」
「……勝手にしろ。」
「ま、それに完全回復しないと帰っても化け物扱いされるしね。外見的に。」
「あ、ああ。あれは…。」
「でしょ?いくら、力が戻っても外見がドロドロの何かだったら娘にも避けられるわよ。全く、はあ、もう…全部…そう!全部!あのくそ王のせいよ!戻ったら殺してやる!」
「そう怒るな。あんなのあいつらに比べたら屁だ、屁。」
「そうよねー……」
「「はあ………」」
真っ暗な空間の中、二人の男女はため息をついた。