テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第二ラウンドのエリア収縮が始まって恐らく他のプレイヤーも中心を目指している頃、私プリンセスこと愛称プリンと言われる私はゴザルさんと共にエリア中心の【森林エリア】を目指していた。ちなみに最短距離で進んでいたら暴れていた『グレン』さんとかち合ってもしかすると戦闘になっていたのであえて遠回りしてそのリスクを避けて中心に入ろうとしていた。
「このルートを通れば俺たちの方には気が付かないだろう。あの場から動いていなければの話だが…。」
「むしろ動かれてたら困るんですけど?」
「そうだな。俺も真っ向勝負は好きじゃないからやめてもらいたいところだ。」
「今は第二ラウンド収縮中ですけど私らは変わらず待機ですか?」
「このイベントのシステム的に後半になればなるほど逆転のチャンスが増えて大きくなる。これを活かしすために俺らはあえて何もせず潜む。」
「確かTOP10に居る人達のポイントが倍になるとかそういうあれでしたよね?」
「そうだ。だから漁夫の利を狙えばいいだけだ。もちろんこの考えは皆行き着くだろうが冷静に考えろ。相手はTOP10に入る実力がある人物なんだから、ランク外のやつが勝てるかと言われたらほぼ不可能だろう。それが漁夫の利だとしてもだ。」
「まぁ、確かに?極端に言えばアリVSゾウみたいなもんだもんね。そりゃ勝てねぇわ。」
「けど、漁夫の利を狙ってる大半の人間は自分の実力と相手の実力の差を明確には分かっていない。そのため、物差しがかなり雑に作られているんだ。」
「どゆこと?」
なるべく簡単に言うのならば自分が今何が出来て何に弱いのかという自己分析が出来ておらず、そのくせして相手の情報も『噂』や『ネットの上辺のみの情報』と言った具合に全てがふわふわしているんだ。確かに分かるのは『自分は相手よりも弱者』ということと『相手はほとんどのプレイヤーよりも強い』という至極当たり前のことしか分かっていない。故になんかラッキーパンチでもいいから当たりに行ってヒットしたらいいなぁ、というような浅い思考になるわけだ。そして、そういう奴がきっと散っていく訳だがそれが起これば起こるほど相手のポイントは加算され相手はスタミナだけを消費していく。俺らのやろうとしてる漁夫の利はココだ。
「つまり、自分の実力が分からない奴らを撒き餌にしてトップを走る奴らを肥えさせて、そのトップと見合う奴らがやり合いだした時に初めて私らも美味しいところだけをいただくって言う事ね。」
「その通り。それさえ出来ればトップの維持は簡単だ。幸か不幸かこの場に来るまでにも俺達はそういう奴らに絡まれてきたからな 」
「おかげで私もまだランキングを維持してるわけなんですけどね…。」
「一度でも狙われるようになった時点でそれは逃れられない運命だから仕方ないな。」
「それじゃあ動きがあるまで私らはこの辺を縄張りとして木の上とかに潜んでおこっか」
「……タイミングよく第二収縮前に中心に来れたのになんであの人がいるんですか?」
「んなもん私も知らないわよ。執念の力とかいうアレじゃないの?」
「クフフフ……。良くも私の前から逃げてくれたわねぇ?」
「勝てないと判断したら逃げるのは普通でしょ?勝てないと分かりきってる戦いからは私逃げるって決めてるの。私が戦う時は自分が勝てると確信した時しかないの。」
「そうやって全てから逃げてばかりじゃあ人は進歩できないわよォ……。」
「クソ魔法使い…。アイツ目が血走ってて怖いんだけど……。」
「漏らしても大丈夫なようにオムツは履いてきたか?」
「そんなものはこのゲームに存在しないし、存在しても装備するわけないでしょバカ!」
「んで、どうやって先回りしたの?執念の力とかいうオカルト的な回答抜きでお願いね」
「簡単な話よ…。爆破魔法を地面に撃ってその勢いでここまで来ただけよ。あなたたちを追ってたのは事実だけど会えたのは偶然ね」
「執念の力って凄いんだね。私恐怖してきちゃった。」
「なんにせよもうこれで私らは逃げることが出来ないわけだ。」
「さぁ!!さっきは良くも逃げてくれたわね?今度はもう逃がさないし逃げるならその前にぶった斬る!」
「クソガキ腹くくれよ?私も死ぬ気で戦うからさ。」
「あったりまえでしょ!どうせアンタ私の銀狼使わないと逃げれないんだからね!」