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長く滞在していられなかったので二人は外に出て、β地区の道中で話の続きを始める
かな「でも、なんでβ地区に行く予定なの?」
りさ「ふふ、ちゃんと理由はあるよ」
そう言って、りさはスマートフォンくらいの大きさである”携帯式スクリーン”を取り出し、録音を再生する
圧を感じてしまうほど低く、だが加工が施されているほど不自然でもない、人間らしき男の声だ。
男「娘が、謎の組織によって連れ去られ、GPSを追ったところβ地区に居ます、ということで、娘を助けてはくれないでしょうか?」
そして、りさの声も録音の中に入る
りさ「娘さんを…」
りさ「すみませんが、娘さんのお名前は?」
男「現です」
りさ「_どうやって私の電話番号を?私は電話番号を公に公開したことなどなかったと記憶していますが」
見知らぬ男の電話に、りさは強い警戒を示すかのように声のトーンを低くする
男「誰もこんな男のヘルプに耳を傾けてくれないではありませんか、だから_」
男「サイクルを使ったんですよ。」
ここでりさは録音を止める
かな「サイクル…たまにかかってくる、あれ?」
りさ「そうね、それに私が出たら、こんな依頼を渡された。」
りさ「明らかに怪しい男だったけど、目的を知りたくなって、ね。」
かな「…なるほどね…」
りさ「…えぇ。」
二人は電車に乗り、β地区の最寄り駅で降りる
かな「…β地区、私達は行ったことないよね」
「そうね、私達が色んなところを歩いていた頃はずっと閉鎖されていたから。」
かな「…なんで閉鎖を?」
りさ「分からない、私もあの電話を貰うまで閉鎖が解かれたことすら知らなかったし」
かな「確か…20年くらい閉鎖されてたよね」
かな「…地理の授業で、ちょっとだけ聞いた記憶がある。」
りさ「…そうね、確かそれくらいだったかな…」
りさ「行こう、β地区は徒歩じゃないと入れないから」
かな「電車が通ってないの?」
りさ「えぇ、特殊な事情があるらしくて」
二人は歩きながら、雑談を交わした。
ホログラムのビルが、月に照らされる
かな「すごい…こんなの見た事ない!」
かなは始めての景色になんだか興奮する
りさ「あと少しで、別地区みたい」
かな「…!」
冬空 に増えた少しの星と、街を彩る
ホログラムで型を取り、街が形成される
賑やかな街があると_
かな「…えぇ?」
ぁ…あぁ…
呻き声が何重にも重なり、共鳴する
かな「…っ!!うわっ…」
かな「…これ、人、なの?」
かな「こんな…」
かなは、街に蔓延る”人ではないなにか”に怯えを見せた
りさも若干狼狽える
りさ「ゾンビ、みたいね」
ネオン街の人々に、意思が宿っているとは到底思えない
ゾンビものというのは無差別に人を襲うものだろう、だがβ地区に蔓延るゾンビは、生者には目もくれず地区内を彷徨い続けている
目的もなく、ただ前へ、前へと
時々曲がったとて、また前へ
ぐるり、ぐるぐる彷徨って
かな「…はっ、早く行こう?ちょっとここ居心地悪いんだよねー!」
りさ「そうね!し、指定されてる座標はわ、わかんないけどとりあえず人気のないとこに行こっか!うん!」
二人は滝汗をかきながら目配せをし、そそくさと街に入っていった。
かな「はぁ…りさ、どこにあるの…ここ怖いんだけど…」
りさ「うーん…」
二人が裏路地の壁に寄りかかりうんうん唸っていると、人型ではないロボットが2人に近づき、機械音声でこちらに話しかけてきた
?『お二方、何かお困りでしょうか?』
りさ「…ロボット…」
りさ (配膳ロボットみたいな見た目だけど…意思疎通できるみたい)
りさ(…都合がよすぎるけど…頼るしかないかな)
りさ「現と呼ばれる少女を探してるんだけど、何か知らない?」
?『現様ですね、検索致します』
?『__申し訳ございません、身体の特徴等は覚えておられますか?』
りさ「身体の特徴…」
りさ「…少女ということしか私は聞かされてない」
?『少女_』
?『___検索完了、位置情報を特定しました。』
かな「は、早くない!?そんな曖昧な情報で…?」
?『案内致しましょうか?』
りさ「ならお願い、さっさとここを出た方がいい気がするから」
?『了解致しました。』
二人はロボットについていく
りさ「君、なんて呼べばいいの?」
?『私でしょうか?名前は存在しないのですが_No.13、とでもお呼びください』
りさ「じゃあ、13、現って子が居るのは、どういうところなの?」
13『検索_おそらく図書館でしょうか、とても広いところですよ。』
そう言って13はブルースクリーンを共有した
かな、りさ「…………は?」
かな「なにこれ…」
スクリーンはビルの一角を写している、だが_
位置を写すマークは、ビルから大きく外れた場所にあった。
大きく外れた場所にあるが、まるで中心をハッキリさせるかのように集まる線を見れば、マークは建物内であることを写していた。
かな「……?????」
りさ「…は??」
二人は明らかにおかしい地図に困惑を隠しきれなかった
かなは一応バグではないか聞いたが、13は確かにこの状態であると言い切った。
一行が図書館に到着すると、図書館全土に人工的な明かりが着く、本当にマップが示しているくらいの広さがあるということが分かる。
かな「…このさらに奥だよね、広すぎておかしくなりそう」
りさ「そうね…13がガイドしてくれるから良かったけど_」
13『…』
りさ「…13?」
一行が図書館の中央通路を歩いていると、13は突然動きを止める
13『エラー、エラー、エラー、エラー』
かな「「は?え??」」
かな「13!!13!?」
13は不自然に、エラーを吐き続ける
かな「ど、どこに行けばいいの!?どこなら13を…」
りさ「いや、見捨てましょう」
かな「り、りさ?」
りさ「おそらくこの場所になにか特別な力がある、13がおかしくなるのが急すぎるから」
りさ「かな、行こう?」
かな「あっちょ、りさ!??」
りさは図書館の奥へ進む
りさ「…何この数字」
りさが最奥の壁にたどり着くとかなに通信を繋げる
かな『りさ〜どこ〜??』
りさ「ごめんごめん」
かな『そういえば、図書館の地図があったよ』
りさ「地図…こっちは北の壁に辿りついてて、4桁…いや12桁…の数字があった。」
かな『数字…十八番なら謎解きってところなのかな?』
『でも桁が分からないってどういう…』
かな「数字が複数あるの、それが区切られてる」
りさ「謎解き…確かにそうかも、13の耳障りなエラーって声がずっと聞こえるから人の気配はないし…」
かなは西側の壁に写される電子の地図を凝視する
かな (縦列が5、横列が40かな)
りさ『えっと_2,24、5,09.、4,28、1,08』
かな「…メモするね」
かなはもう一度一連の数字を聞きながらメモを取る
かな「図書館は縦に5列、横に40列あるから、おそらく縦2列目横24列目_とかに仕掛けがあると思う」
かな「多分入口から見てだから大丈夫…なんだけど」
かな「どういう仕掛けがあるんだろう…」
りさ『…分からない、けど…とりあえず4,28に行く。』
かな「分かった、…私は_南の見てないところと、東にも何かあるかもしれないから一先ずそっちを見に行くね。」
りさ『OK。』
繋がれた通信が切れた。
かな「…なんで仕掛けなんて作ったんだろう、そんなにまずいものなのかな…」
りさ「…28でも遠い…40近くのものとかあっても良かったのに」
「着いた着いた…とりあえず押してみようかな」
独り言を呟きながら、正面に倒そうとしてみたり、回そうとしてみたりするが、ビクともしない
りさ「__本を取り出すとかなのかな、うーん_」
りさ「1、2、3_……26」
りさ「26?なんか中途半端…いや、待てよ…」
りさはあるひとつの結論に至る
英語の文字だ。
りさは、すぐに通信を繋ぐ
そして
『かな、分かったことがあるから共有する。』