TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


それからすぐに部屋を出た。石川は「案内する」と言って一旦外へ出た。庭は外から見ると広くは感じられなかったが、けっこう奥に続いていた。そしてそこには小屋が建っていた。なるほど、あそこが実際の仕事関係の部屋になるわけだな。きっといま通された部屋は社長室なんだろう。

小屋は見た目は綺麗だった。普通に部屋を増築したと言われたら、そうだろうなと思うくらいに造りはしっかりしていた。石川はドアを開けた。小さな玄関があった。そこには靴が脱ぎ捨てられていて、お世辞にも綺麗とは言えなかった。俺は「こんにちは、お邪魔します」と声をかけ靴を脱いだ。左側には小さな扉が見えた。右側が部屋のようだった。石川が中に入ると「お疲れさまです」と声がかかった。

「なンだ、お前ら暇してたのかよ」

中には男が五人居た。二人は入ってすぐの簡易ダイニングテーブルみたいなところに座っていた。残りの三人はカーペットの敷いてある床に座っていたようだ。石川の姿を見るとみんな直立不動していた。テーブルに座っている二人は残りの三人よりも明らかに年上だ。というか床に座っていた三人は俺よりも年下じゃないだろうか。幼い顔つきをしていたから、十代であることは間違いない。

「いえ、あの」テーブルに座っていたはずの男が言った。スキンヘッドで大柄な男だ。だがぷよぷよの脂肪が多めでどこかの漫画の魔人に似ていた。

「まあいい。今日から組に入った木崎だ。俺の下につく」

俺はすぐに「よろしくお願いします」と頭を下げた。何故か若者組からおーという感嘆の声が漏れた。

「それって……」もう一人のテーブル組の男が何か言いかけた。背は俺より低いがわりとガッチリした身体をしていた。出っ歯のせいか口が開いたままだった。

「俺の仕事を手伝ってもらう。だから指示は俺が出す」

石川がそう言うと、出っ歯は明らかに苦い顔をした。

「それよりコイツらヒマさせておくなよ」石川は若者組を親指で指し、舌打ちをした。その瞬間何故か場が凍った。

「す、すんません」

「俺は今からコイツらに仕事させっから、木崎に説明しとけ」そう言って石川は踵を返して歩き出した。若者組は慌てて石川を追って行った。部屋には魔人と出っ歯と俺が残された。

「説明ってなんだよ?」魔人は出っ歯に言った。

「分かんねえっす」

「あの……木崎碧です。よろしくお願いします」俺は頭を下げた。二人は「お、おう」と答えた。

「春日だ」魔人が言った。「俺は井上」出っ歯が続いた。そこで会話は止まった。

「──あの、もしよかったら説明前に掃除させてもらえませんか?」

俺がそう言うと二人は目を丸くしたが、すぐに「じゃ、じゃあ頼むわ」と春日が言った。


ルスト フォア ライフ

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

2

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚