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#ワンナイトラブ
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常葉くんの手が布の上から撫でるように滑る。私の形を確認するように、ゆっくりと柔らかく触れる指先。
いつもは好きなところを刺激してくるのに、指の腹で触れるだけの触り方に違和感を覚えてしまう。
軽く首筋にキスを落とされると、耳朶を舌先でつつかれて形に沿うように丹念に舐められてしまう。
快楽と共に水濁音が直に響けば口からはどうしても声が漏れるので逃げようと首を逸らした。
だけど、大きな手が後頭部を支えるので逃げることは敵わない。
「……ハグってなに?」
毒気を孕んだ声が、脳内に直に響く。
「……あの人と常葉くんを、間違えたんです」
「間違えた?」
「……っ、ごめ、」
謝る前に、そこを甘噛みされて軽い痛みと甘い刺激が駆け巡る。
「…あとは何話してたんですか?」
再び脳内に響く声。素早く首を横に振り「なんでも、」と拒否すると、背中の窪みを撫でられてつま先まで神経が通う。
「言って」
タレ目がちな甘い目元が目下でゆらゆらと揺らめいて
逃げることは早々に白旗を翻した。
「っ、か、軽い子が好きって」
「昔はね。他は?」
「〜っ、年下が、本当は好き?」
「どうだろう、好きな子次第ですよ」
「ほんとに?……柿原さんは?」
先刻まで気を揉んでいた話を告げれば、常葉くんは揶揄するように口元だけに笑みを作る。
「……今度は柿原さんとの事を心配してんの?」
肌をやわやわとなぞられながら言われるので、涙を浮かべながら必死で頷いた。
「あの子は好意と言うより……」
常葉くんはお構い無しに一度手の動きを止めて何かを考え始める。言いかけた言葉の続きが欲しくて「どういう事?」と催促するとやっとその瞳がこちらに向かう。
「明日、話したら?」
「わ、かった」
「もう全部?」
「……す、こし、前付き合ってた人、聞いて、どんな人か気になって」
羞恥と戦いながら胸の内をさらけ出すと、「ふーん」とだけ言ってくすりと目元を細めて小さく笑う彼。
そ、それだけ……?
肩透かしにあった気分さえいれば、常葉くんは下から一気に突き上げた。
首をもたげて天を仰ぎ、浴びせられる快楽に溺れないよう必死に理性を保つ。
「心配しなくて良いですよ、」
「ふぁ、あっ、あっ、」
「今見てんの、あんただけなんで」
沸騰しそうな頭に、甘い声が響いて意識が飛びかける。それに耐えるように、その背中に爪を立てた。
「い、つき、樹ぃ、」
欲望のまま彼にしがみついて良いのか、まだ分からない。
分からないのに、結局私は今日も与えられる熱に溺れていく。