テラーノベル
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大学二年の夏休み、帰省した友人たちとの飲み会で、僕は陽葵の話題を避けていた。しかし、共通の知人である拓海が、容赦なくその名前を出す。
「そういえばさ、陽葵、向こうでいい感じの人がいるらしいぞ。同じサークルの先輩だってさ」
その瞬間、心臓が凍りついたような感覚に陥った。グラスを持つ手が微かに震える。動揺を隠すために一気にビールを飲み干したが、喉を通る液体は砂のようにざらついていた。
「へえ、そうなんだ。幸せそうで何よりだよ」
心にもない祝福の言葉が口をついて出る。諦めるべきだと頭では理解していても、感情の振り子は大きく揺れ動く。彼女の幸せを願いたい自分と、誰の隣にもいてほしくない自分。矛盾した二つの心が、僕の中で激しく衝突を繰り返していた。
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いけ!嫉妬で狂え!欲しくば奪え!