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第8話
「おい…アントーニョ!それ言ったらマズイやつだって!」
焦った顔でフランシスがアントーニョの肩を叩く
「ぁ!?ヴェスト…この事はギルには言ったこと秘密にしといてな…?」
そんなに兄は秘密にしてろと言ってたのか…
そんなに俺に言いたくなかったのか
いつから気づいていたんだ?
「ぁあ…わかったさ」
…許せないな
なんで自分がこんなにも腹が立っているのか
分からない…
理由を考えていると
俺の目の前が急に暗くなり
何故かスクリーンに
昔の俺らしき人が映し出された
俺が戸惑っていると
ソイツはいくつかの事を言ってきた
「自分に相談してくれなかったから?」
違う…
「心配させられたから?」
違う…!
「ギルベルトの事が嫌いになったから?」
「き…急にどうしたの?大きい声出して…?」
フランシスが困った顔で俺を見ていた
「す…すまない…少し取り乱してな…」
どうやらアイツが言ってきた事は
頭の中の出来事だったらしい
「無理もないで、実の兄が急に居なく なるかもなんて…俺やったら耐えれんもん…」
俺の肩に手を置いて、優しい口調でアントーニョがそう言った
「…もう…帰る…な…
今日はありがとう…」
俺は逃げるようにその場を去った
そうすると、またアイツが話しかけてきた
「自分に絶望したんじゃないか?」
…
「ギルベルトは気付いてくれるのに
俺は気づいてあげられない」
…そうかもしれないな
早く家に帰ろう…
そうして…兄と…いや
ギルベルトと話をつけなきゃいけない