テラーノベル
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私は、水の魔女。今日、私の心はいつになく踊っていた。
なぜなら、久しぶりに親友である氷雪の魔女、アイラに会えるのだから。
入国を終え、街に入ると真っ先に彼女の家へ向かった。
水の魔女「アイラ〜!いる〜!?」
氷雪の魔女「久しぶりね、水の魔女。元気にしてた?」
水の魔女「ええ、とても!」
再会を喜び合い、尽きることのない思い出話に花を咲かせる。
アイラの家で過ごす時間は、何物にも代えがたい安らぎだった。
だが、運命はあまりにも残酷に、その平穏を打ち砕く。
数日後——。
ゴゴゴゴ……地響きと共に、地面が大きく揺れ出した。
氷雪の魔女「……まずいかも」
アイラが窓の外を見つめる。
水の魔女「どうしたの?」
アイラ「噴火するかもしれない。お願い、噴火を止めるのを手伝って!」
私たちは急いで家を飛び出し、黒煙を上げる火山へと向かった。
火の粉が舞い、逃げ惑う人々で溢れかえる街。
そこで、一人の子供が泣き叫んでいた。
子供「お母さん!嫌だよ、なんで一緒に行けないの!」
アイラ「私はいいから、あなたは早く逃げなさい……っ」
子供の母親は、崩れた建物の下敷きになっていた。
迫りくる火砕流。一刻の猶予もない。
私は、アイラの顔を見た。
アイラは、小さく、けれど迷いのない瞳で頷いた。
アイラ(……行きなさい。あの子たちを助けて)
声にはならなかったけれど、私には確かにそう聞こえた。
私が親子を助けに行けば、アイラは一人で噴火に立ち向かうことになる。
それが、二度と会えない別れになるかもしれない。
分かっていながら——私はアイラの遺志を継ぐように、親子の方へと箒を向けた。
水の魔女「今、助けるから!」
瓦礫をどかし、親子を箒に乗せたその瞬間。
凄まじい轟音と共に、火山が爆発した。
水の魔女「アイラ……ッ!!」
叫びは爆鳴にかき消される。
私は溢れそうになる涙を堪え、水の結界を最大まで展開した。
灼熱の空を、親子を連れて必死に別の島へと逃げ延びた。
噴火が収まった後。
私は、変わり果てたあの島に立っていた。
水の魔女「アイラ……どこなの、アイラ……!」
分かっていた。もう、この世に彼女はいないのだと。
けれど、探さずにはいられなかった。
灰をかき分け、焼け焦げた大地を彷徨い、ようやく彼女の家の跡地に辿り着いた。
そこには、一つだけ。
周囲の灰とは対照的に、白く輝く小さな箱が置かれていた。
まるで、そこだけ時間が凍りついたかのように。
震える手で中を覗くと、そこにはアイラと二人で楽しく笑い合う写真が入っていた。
水の魔女「……バカだよ、アイラ。こんなの、魔法で守らなくてよかったのに」
写真に涙がポタポタとこぼれ落ちる。
水の魔女「アイラぁ……っ!!」
私はその場に泣き崩れた。
すると、静寂の中に雪が降り始めた。
目の前で、白い光が柔らかく輝き始める。
どこか懐かしく、温かい光。
光が強くなり、思わず顔を覆ったその時——。
氷雪の魔女「水の魔女。……来るの、遅かったじゃん」
光の中に、アイラが立っていた。
彼女の身体は、雪の魔力でできた淡い光をまとっていた。
私は言葉にならない声を上げ、彼女に強く抱きついた。
二人の再会を祝うように、そして彼女を讃えるように、島では小さな宴が開かれた。
私たちは朝まで笑い、語り、そして飲み明かした。
翌朝。
二日酔いでガンガン響く頭を押さえながら、私は旅の支度をする。
アイラ「もう行くの?」
水の魔女「ええ。あなたの守ったこの世界を、もう少し見て回らなくちゃ」
アイラに笑顔で見送られながら、私は再び歩き出す。
またいつか、この雪が降る場所で会えることを信じて。
私たちは、まだ知らなかった。
さらなる絶望が、私達に振りかかることを。
私の旅は、続く。
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